災害時にも備えたい家庭の食品ストックと栄養の考え方

2026/6/10

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食品ストックは特別な非常食だけではない

地震、台風、大雨、大雪などの災害では、電気、ガス、水道、物流が一時的に止まることがあります。避難所に行かず自宅で過ごす場合でも、食品や水が手に入りにくくなることがあります。そのため、家庭で食品を備えておくことは、日々の暮らしを守る準備のひとつです。
災害時の食品ストックというと、長期保存用の非常食だけを思い浮かべるかもしれません。しかし、実際には普段から食べ慣れている食品を少し多めに買い置きし、使った分を補充するローリングストックが続けやすい方法とされています。食べ慣れた食品があると、災害時の不安や食欲低下にも対応しやすくなります。

水と主食を基本に考える

食品ストックでは、まず水の確保が大切です。飲料水だけでなく、調理や口腔ケア、薬を飲むときにも水が必要になります。農林水産省の食品ストックガイドでは、最低三日分から一週間分程度を人数分備える考え方が示されています。地域の災害リスクや家庭の状況によっては、さらに多めに備えることも検討します。
主食になる食品としては、米、パックご飯、乾麺、カップ麺、レトルト粥、シリアル、クラッカーなどがあります。停電や断水を想定すると、加熱しなくても食べられるもの、少ない水で用意できるもの、開けやすい容器のものを組み合わせると安心です。

主菜や副菜になる食品も備える

災害時は、主食に偏りやすく、たんぱく質、ビタミン、ミネラル、食物繊維が不足しやすくなります。魚や肉の缶詰、豆類、レトルト食品、フリーズドライ食品、常温保存できる豆腐、野菜ジュース、乾燥野菜、海藻、ナッツ類などを組み合わせると、食事の幅が広がります。
ただし、塩分が多い食品もあるため、日常的に食事制限を受けている人は、主治医や管理栄養士に相談して備蓄内容を考えておくとよいでしょう。アレルギーがある人は、対応食品を必ず確保し、家族全員が保管場所を把握しておくことも大切です。
缶詰を備える場合は、缶切りが必要かどうかを確認します。高齢の家族や子どもがいる場合は、開けやすい容器、食べやすい形状、スプーンや紙皿などの備品も一緒に用意しておきましょう。

乳幼児や持病がある人の備え

乳幼児、妊娠中の人、高齢の家族、持病がある人では、一般的な食品だけでは対応しにくいことがあります。乳児用ミルク、液体ミルク、離乳食、介護食、とろみ調整食品、経口補水液、栄養補助食品など、本人に必要なものを確認しておきましょう。
薬を服用している人は、薬そのものの備えに加え、薬を飲むための水、食事のタイミング、低血糖や脱水を防ぐ食品も考えておく必要があります。災害時に体調が悪化した場合に備え、病名、薬の名前、かかりつけ医、アレルギー情報をメモにして持ち出せるようにしておくと役立ちます。

無理なく続けるための見直し方

食品ストックは、一度そろえたら終わりではありません。期限が近い食品から普段の食事で使い、使った分を買い足すことで、廃棄を減らしながら備えを保てます。家族構成、体調、食の好みは変わるため、半年に一度程度は内容を見直しましょう。
災害時の食事は、栄養だけでなく安心感にも関わります。好きな味の食品、温かく食べられる食品、甘味のある食品なども、心を落ち着ける助けになることがあります。自分や家族が実際に食べられるものを備え、生活の延長として食品ストックを整えていきましょう。

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