記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
閉経後には、腟や外陰部の乾燥、かゆみ、ひりつき、性交時の痛み、頻尿などが現れることがあります。これらは、エストロゲンの低下に伴う腟、外陰部、尿道、膀胱の変化をまとめた、閉経関連泌尿生殖器症候群という状態に含まれます。英語名の頭文字からGSMとも呼ばれます。ほてりなどの更年期症状が時間とともに軽くなる一方、GSMの症状は自然には改善しにくく、徐々に気になりやすくなる場合があります。恥ずかしさから相談を控える人もいますが、生活の質に関わる健康問題の一つです。
腟や外陰部では、乾燥感、灼熱感、かゆみ、痛み、少量の出血、おりものの変化などがみられます。排尿に関しては、尿が近い、急に強い尿意が起こる、排尿時にしみる、膀胱炎を繰り返すといった症状があります。ただし、感染症、皮膚疾患、骨盤臓器脱、婦人科の腫瘍などでも似た症状が現れます。すべてを加齢やホルモンの影響と考えるのは適切ではありません。特に閉経後の出血、血尿、悪臭を伴うおりものがある場合は、原因を確認する必要があります。
外陰部は強くこすらず、ぬるま湯でやさしく洗います。洗浄剤を使う場合は、香料や刺激の少ないものを選び、腟の中まで洗う必要はありません。洗いすぎは粘膜や皮膚の防御機能を損ない、乾燥やかゆみを悪化させることがあります。通気性のよい下着を選び、汗や尿で湿った状態が続くときは早めに交換します。腟や外陰部用の保湿剤は、日常的な乾燥を和らげる目的で用いられます。性交時の摩擦には潤滑剤が役立つことがありますが、痛みを我慢して続けないことが大切です。
診察では、症状が始まった時期、排尿の状態、出血やおりものの有無、服用中の薬、乳がんなどの既往歴を確認します。治療には、保湿剤や潤滑剤のほか、症状に応じて低用量のエストロゲン腟用剤などが検討されます。全身に作用するホルモン補充療法とは、使用目的や薬の届き方が異なります。乳がんや子宮体がんの治療歴がある人、抗がん薬や内分泌療法を受けている人は、自己判断でホルモン製剤を使わず、担当医と婦人科医の双方へ相談してください。
介護を受けている女性では、尿失禁パッドの長時間使用、排泄後の拭き取り、入浴回数の減少などが外陰部の刺激につながる場合があります。一方で、清潔にしようとして何度も強く洗うことも負担になります。介助では、本人の羞恥心とプライバシーに配慮し、痛み、かゆみ、出血、においの変化を穏やかに確認します。認知機能の低下がある人では、落ち着かない、排泄介助を嫌がる、下着に触れる行動が増えるといった変化が、不快感の表れである可能性もあります。気づいた内容を記録し、看護師や医師へ共有しましょう。
閉経後の性器出血、肉眼で分かる血尿、発熱と背中の痛み、排尿できない状態、急激に強くなった下腹部痛がある場合は、早めに医療機関へ相談してください。出血量が多い、意識が遠のく、冷や汗が出るなど全身状態が悪い場合は、緊急の対応が必要です。軽い乾燥や頻尿であっても、長く続いて生活や睡眠に影響している場合は受診の対象になります。GSMは珍しい状態ではなく、治療やケアによって負担を軽くできる可能性があります。婦人科、泌尿器科、女性外来など相談しやすい窓口を選びましょう。