ホルモン補充療法を始める前に確認したいこと 検査と継続中の注意点

2026/6/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ホルモン補充療法の目的

ホルモン補充療法は、閉経前後に低下するエストロゲンを補い、更年期症状を和らげる治療です。特に、ほてり、のぼせ、発汗などの血管運動神経症状に効果が期待されます。腟の乾燥や性交時の痛み、睡眠の不調などに用いられることもあります。飲み薬、貼り薬、塗り薬、腟用剤などがあり、子宮の有無や症状、既往歴に応じて組み合わせが決まります。すべての更年期症状に同じように効くわけではなく、症状の原因が別にある場合もあるため、治療前の評価が重要です。

治療前に医師へ伝える内容

診察では、最後の月経の時期、出血の状態、症状が生活に与える影響を伝えます。乳がんや子宮体がん、血栓症、心筋梗塞、脳卒中、重い肝疾患などの既往歴は、治療方法を決めるうえで重要です。子宮筋腫、子宮内膜症、高血圧、糖尿病、片頭痛、胆石症などがある場合も伝えましょう。喫煙習慣、家族の病歴、使用中の処方薬、市販薬、サプリメントも確認されます。過去の病気を忘れている場合は、お薬手帳、健診結果、手術歴が分かる書類を持参すると役立ちます。

検査と薬の選び方

治療前には、問診、血圧測定、婦人科診察などが行われ、必要に応じて血液検査、乳がん検診、子宮頸がん検診、子宮内膜の評価などが検討されます。子宮がある人が全身に作用するエストロゲンを使用する場合は、一般的に子宮内膜を守るため黄体ホルモンを併用します。貼り薬や塗り薬は皮膚から吸収されるため、飲み薬とは体内への入り方が異なります。皮膚のかぶれ、服薬のしやすさ、費用なども含め、続けやすい方法を医師と相談します。

開始後に起こることがある変化

治療開始後には、乳房の張り、下腹部の張り、おりものの増加、頭痛、不正出血などがみられることがあります。治療の方法によっては、予定された月経様出血が起こる場合もあります。多くは経過をみながら薬の量や種類を調整できますが、出血が長引く、量が増える、一度止まった後に再び始まる場合は診察が必要です。症状が改善しても、処方された薬を独自に増減したり、中止したりしないでください。治療を続けるかどうかは、効果と負担を定期的に見直して決めます。

検診と定期的な再評価

治療中は、症状の改善度、副作用、血圧、体重、出血の状態などを確認します。乳がん検診や子宮頸がん検診は、年齢や自治体の案内、個別のリスクに応じて受けます。検診は症状のない人を対象とするため、新しいしこりや乳頭からの血性分泌、閉経後出血などがある場合は、次の検診を待たずに診療を受ける必要があります。治療期間に一律の上限があるわけではありませんが、漫然と続けるのではなく、現在も治療による利益があるかを定期的に医師と確認することが大切です。

緊急性のある症状

片脚の急な腫れや痛み、突然の胸痛、呼吸困難、血の混じった痰、急な片側の手足の麻痺、ろれつが回らない状態などは、血栓症や循環器の病気が疑われる症状です。直ちに医療機関へ連絡してください。激しい頭痛や視覚の異常が突然現れた場合も、早急な評価が必要です。ホルモン補充療法には期待できる効果と注意すべき点の両方があります。インターネット上の情報だけで適否を決めず、症状、生活上の希望、病歴を医師と共有したうえで選択しましょう。

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