ブロック注射とは ― 腰や肩の痛みに耐えられないときは

2019/1/18

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

ブロック注射という治療法を聞いたことはありますか?ブロック注射とは、痛みが強い疾患や、手術後に強い痛みが残っている場合に対して行われる治療法です。

ブロック注射とはどんなものなのでしょうか?また、使われている薬はどのような作用によって痛みを抑えるのでしょうか?

ブロック注射ってどんなもの?

ブロック注射とは、痛みのある部分の神経の近くに麻酔薬を注射し、痛みの伝わる経路をブロックすることで痛みを取る治療法です。ブロック注射は入院の必要のない注射で、日帰りで行うことができ、保険が適用されます。ブロック注射は、腰や肩・膝・首・手足など、全身の痛みに対して適用できます。他にも、帯状疱疹・突発性難聴・顔面神経麻痺などにも有効です。

ブロック注射は1回で痛みが完治するわけではなく、薬物療法と併せて複数回実施する必要があります。痛みが緩和されると血流が良くなり、筋肉のこわばりもなくなります。また、ブロック注射にはいくつか種類があり、痛みの種類や症状によって使い分けます。主なブロック療法に、星状神経節ブロック、硬膜外ブロック、トリガーポイント注射などがあります。

星状神経節ブロックは、首の付け根(喉元)にある「星状神経節」という交感神経の節に薬剤を注射し、交感神経の機能を一時的に抑えます。硬膜外ブロックは、背骨の下の方(腰のあたり)に薬剤を注射し、神経の興奮を抑えて痛みを取ります。トリガーポイント注射は、筋肉に直接薬剤を注射し、痛みを取ります。

ブロック注射が推奨されるのは、以下のような方です。

  • 薬を飲んでいるけれど効かない
  • 痛みを今すぐなんとかしたい
  • 電気治療やマッサージなどでは楽にならない
  • 入院して手術できるほど長期間休めない
  • 手術後に痛みや違和感が残っている

このような方には、ブロック注射がおすすめです。

ブロック注射で使われる薬は?

ブロック注射には一般的に局所麻酔薬が使われます。局所麻酔は、一時的に神経の伝達を遮断する作用のある薬で、リドカイン・メピバカイン・ブピバカイン・ロピバカイン・レボブピバカインなどがあります。知覚神経や交感神経を遮断するのであれば、局所麻酔薬を生理食塩水で薄めて使用します。知覚神経だけを長時間遮断するためにブロック注射を行う場合は、高濃度の局所麻酔薬を使うこともあります。

リドカイン
作用発現が速く、あらゆる種類のブロックにもっともよく用いられる
メピバカイン
リドカインよりも多少作用時間が長く、毒性が少ない
ブピバカイン
作用発現は遅いが、作用時間が長い
ロピバカイン
ブピバカインを改良して開発され、作用時間が長い
レボロピバカイン
ブピバカインと同等の効力を持つが、心疾患系や中枢神経系への副作用が少ない
ジブカイン
局所麻酔薬の中でも効力が強いが、同時に毒性も強い

ブロックの効果を長期間にわたって持続させる必要がある場合は、神経破壊薬を使用します。神経破壊薬には無水アルコール・フェノールグリセリン・フェノール水などがあり、これらはブロックの種類によって使い分けます。神経破壊薬を使用する前には、必ず局所麻酔薬でブロックの効果を確認します。三叉神経ブロックでは皮膚の感覚が長期間にわたり消失し、痺れた感覚が続くため、神経破壊薬を使用する前にその状態が受け入れられるかどうかを確認してからブロック注射を行います。

無水アルコール
アルコールの脱水作用を利用し、末梢神経を変性させる
神経の再生が始まる約半年から1年後まで、神経の遮断効果が得られる
ブロックを繰り返すと、顔面の感覚はないのに痛みを感じる状態になることがある
フェノールグリセリン
タンパク質の変性・凝固・沈殿作用によって神経細胞と神経線維を破壊する
アルコールと比べると神経破壊効果の持続時間が短く、効果が弱い
ジブカイン
ジブカインは局所麻酔薬でもあるが、その神経毒性を利用する
1%以上の高濃度のものを神経破壊薬に準じて使用する

局所麻酔薬、神経破壊薬のいずれを注射する前にも、針が正しい場所に置かれていて、ブロックする必要のない神経の方向に薬剤が流れていかないか、薬液の流れに問題がないかを確認するために、造影剤を注射することがあります。造影剤は単独で局所麻酔薬や神経破壊薬の前に駐車する場合と、局所麻酔薬に混ぜて使う場合があります。

また、同時に神経の炎症を抑えるため、副腎皮質ステロイド薬剤(水溶性)を局所麻酔薬に添加して一緒に注射することもあります。

ブロック注射の効果は?

ブロック注射のメインの効果は一時的な麻酔です。しかし、それだけではなく、興奮して過敏になった神経を落ち着かせ、患部の状態を改善させることも大きな目的です。これは、痛みの悪循環を断つことで、痛みによって神経が興奮し、血管や筋肉が緊張し、血行が悪化し、さらに痛みが増すと言う負のサイクルをブロック注射によって止めることです。

麻酔によって痛みが落ち着くと、神経が落ち着きます。それによって血管や筋肉の緊張がほぐれます。すると血行も改善されるため、麻酔が切れても注射を打つ前と比べて幹部の状態が改善され、麻酔薬そのものの効果が切れても長期的に痛みが和らぐ効果が期待できます。

副作用はないの?

ブロック注射は医療行為であり、体に針を刺す注射であるため、合併症や副作用の危険性がゼロではありません。可能性のある合併症や副作用は、感染・出血・神経障害・局所麻酔中毒などがありますが、発生頻度は非常に少ないものです。また、緊張が強い患者さんの場合、気分が悪くなることもあります。

ブロック注射の副作用は、ほとんどが施術してから短時間のうちに起こります。そのため、病院によっては注射後しばらく安静にしていてもらうなど、副作用が起こってもすぐに対応できる体制を整えているところもあります。また、これらの副作用を避けるため、注射の際に発熱している場合やブロック注射の適応となる疾患以外に体調が悪い場合は、ブロック注射は行いません。

おわりに:ブロック注射によって痛みを抑え、悪循環を断ち切ろう

ブロック注射は、一時的に神経伝達をブロックする局所麻酔と、神経が再生するまでの間ブロックを続けることができる神経破壊薬の2種類があります。いずれの場合も痛みが伝わる神経伝達経路を遮断し、痛みによって神経が興奮し、血管や筋肉が緊張して血行が悪化し、さらに痛みが強くなるという悪循環を断ち切ることがもっとも大きな目的です。

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