記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/6/30
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
高血圧の予防や治療では、食塩の取りすぎを控えることが重要とされています。ただし、食卓で塩やしょうゆを使わなければ十分とは限りません。みそ汁、漬物、麺類の汁、干物、練り製品、ハムやソーセージ、総菜、弁当などにも食塩が含まれます。長年慣れた味を急に変えると食欲が落ちることがあるため、本人の食事量や楽しみを保ちながら、摂取源の大きいものから少しずつ調整することが現実的です。
日本人の食事摂取基準2025年版では、成人の食塩相当量の目標量は男性7.5グラム未満、女性6.5グラム未満です。高血圧の予防や治療では、学会の指針などで一日6グラム未満が示されています。必要な目標は、年齢、血圧、腎臓や心臓の状態、治療内容によって異なります。医師から具体的な指示がある場合は、その内容を優先してください。まずは一日の食事を振り返り、汁物、加工食品、外食、卓上調味料のうち、どこから多く取っているかを見つけます。
みそ汁やスープを毎食飲む人は、回数を一日一回にする、小さめの椀を使う、具を増やして汁を少なくするなどの方法があります。だしのうま味、きのこ、海藻、野菜の風味を生かすと、調味料を減らしても満足しやすくなります。麺類は汁を全部飲まずに残すことで、食塩摂取量を減らせます。外食では、たれやドレッシングを別添えにし、初めから全量をかけないようにします。漬物や佃煮は毎食の習慣にせず、小皿に一回分を出して量を見えるようにすると調整しやすくなります。
減塩では、味をなくすのではなく、塩味以外の要素を組み合わせます。酢、レモン、ゆずなどの酸味、こしょう、しょうが、しそ、ねぎ、カレー粉などの香りや辛味、焼き目の香ばしさを利用できます。しょうゆやたれは料理全体に混ぜ込むより、食べる直前に表面へ少量つけると、少ない量でも味を感じやすいことがあります。温かい料理は温かく、冷たい料理は冷たく提供し、食感に変化をつけることも満足感につながります。高齢者では味を感じにくくなる場合がありますが、濃い味だけで補わず、口の乾燥や薬の影響も確認します。
包装された食品には、栄養成分表示として食塩相当量が記載されています。一食分なのか、百グラム当たりなのかを確認し、実際に食べる量に合わせて見ます。同じ種類の商品でも食塩量に差があるため、購入時に比較すると無理なく減らせます。減塩しょうゆや減塩みそも選択肢ですが、安心して量を増やすと摂取量が多くなることがあります。計量スプーンを使い、家庭でいつも使うしょうゆやみその量を一度測ると、感覚との差に気づきやすくなります。
野菜や果物に含まれるカリウムは、ナトリウムの排出を促し、血圧を下げる方向に働くとされています。野菜料理を毎食取り入れ、果物を適量食べることは、食事全体を整えるうえで役立ちます。ただし、腎機能が低下している人や、カリウムを上げる薬を使用している人では、摂取量の調整が必要なことがあります。健康によい食品でも、持病や治療によって適量は変わります。自己判断で野菜ジュースやサプリメントを大量に取らず、主治医や管理栄養士へ相談してください。
高血圧のある人だけ別の薄味料理にすると、本人が取り残されたように感じたり、調理する家族の負担が増えたりします。まずは家族全体の汁物や煮物を薄めに作り、必要な人だけ食卓で少量の調味料を足す方法があります。煮物と漬物、干物とみそ汁など、塩分の多い料理が同じ食事に重ならないよう献立を組みます。味を変えた直後は物足りなくても、段階的に調味料を減らすことで慣れる場合があります。食欲や体重が落ちるほど厳しく制限せず、管理栄養士に相談しながら続けられる形を探しましょう。
家庭で血圧を測る場合は、できるだけ同じ時間帯と条件で記録し、受診時に見せます。減塩を始めても、処方薬を自己判断で減らしたり中止したりしてはいけません。強い頭痛、胸の痛み、呼吸困難、片側の手足の動かしにくさ、ろれつが回らないなどの症状が突然現れた場合は、血圧の数字だけで様子を見ず、救急受診を考えます。日常の減塩は、完全を目指すより、汁を残す、調味料を測る、加工食品を重ねないといった行動を継続することが大切です。定期受診では家庭血圧の記録と食事上の困りごとを伝え、治療と生活の両方を無理なく調整していきます。