白内障による見え方の変化と生活上の工夫

2026/6/30

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

白内障は水晶体が濁る病気

白内障は、目の中でレンズの役割をする水晶体が濁り、光が通りにくくなる病気です。加齢に伴って起こることが多く、一般的にはゆっくり進行します。視力表の数値が大きく変わっていなくても、物がかすむ、まぶしく感じる、暗い場所で見えにくい、色の違いが分かりにくいといった症状が現れることがあります。片方の目で見たときに物が二重や三重に見える人もいます。変化が緩やかなため本人が慣れてしまい、家族が照明の使い方や行動の変化から気づく場合があります。見えにくさを年齢のためと決めつけず、眼科で状態を確認することが大切です。

生活の中で現れるサインを確認する

新聞や薬の説明書を顔に近づける、眼鏡を替えても見えにくい、夕方になると動きにくいといった変化は、受診を考えるきっかけになります。日差しや車のライトを強くまぶしく感じるため、外出や夜間の運転を避けるようになることもあります。食事の色や衣類の汚れが分かりにくくなり、家事や身だしなみに影響する場合もあります。介護者は、できなくなったことだけでなく、どの明るさ、時間帯、距離で見えにくいかを確認します。片目ずつ隠して見え方を比べると、左右差に気づくことがありますが、家庭で病名を判断することはできません。

明るさとまぶしさの両方を調整する

見えにくい場所を単に明るくするだけでは、光が目に直接入り、まぶしさが強くなることがあります。照明は手元や足元を照らしながら、光源が直接見えにくい位置に置きます。昼間はカーテンやブラインドで直射日光を調整し、屋外では帽子や適切なサングラスを用います。階段の端、スイッチ、食器とテーブルなどに色の差をつけると、位置を確認しやすくなります。小さな文字は拡大し、薬や日用品は形や置き場所でも区別します。家具の配置を頻繁に変えず、通路に物を置かないことも、見えにくい人が安心して動くために重要です。

手術は生活への影響を踏まえて検討する

白内障の主な治療は手術ですが、診断されたらすぐに全員が手術を受けるわけではありません。見え方が読書、仕事、運転、家事、介護などにどの程度影響しているか、ほかの目の病気がないかを確認して時期を検討します。手術では濁った水晶体を取り除き、眼内レンズを入れます。眼内レンズには種類があり、遠くと近くのどちらを重視するか、眼鏡をどのように使うかによって選択が異なります。期待できる見え方と限界、手術後の通院や点眼について、本人と家族が説明を受けて決めることが大切です。

眼鏡だけで改善しない場合もある

老眼では、主に近くへ焦点を合わせにくくなりますが、白内障では水晶体の濁りによって光の通り方が変わります。そのため、眼鏡の度数を調整しても十分に見えない場合があります。反対に、白内障以外にも、緑内障、加齢黄斑変性、糖尿病網膜症などで見えにくくなることがあります。眼鏡を何度も作り替える前に、眼科で目の状態を確認しましょう。介護施設や在宅介護では、本人が使っている眼鏡が合っているか、レンズが汚れていないか、左右を取り違えていないかも確認します。

急な視力低下は早めに受診する

白内障は一般的に徐々に進みます。急に見えなくなった、視野の一部が欠けた、黒い影や光が突然増えた、目に強い痛みや充血がある場合は、白内障だけでは説明できないことがあります。激しい頭痛や吐き気を伴う場合も、早急に眼科へ相談します。顔や手足の片側の麻痺、言葉の出にくさと同時に視覚症状が現れた場合は、脳血管障害の可能性があるため救急要請を検討してください。見え方の変化を我慢せず、生活への影響を具体的に伝えることで、眼鏡、環境調整、治療の中から本人に合う方法を選びやすくなります。

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