記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/8/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
更年期を迎えるころから、腟や外陰部の乾燥、ヒリヒリする感じ、かゆみ、性交時の痛みなどが気になることがあります。こうした変化には、閉経前後に女性ホルモンの一つであるエストロゲンが減少することが関係しています。さらに、症状は腟や外陰部だけでなく、頻尿、排尿時の違和感、尿路感染を繰り返すなど、尿道や膀胱周辺に及ぶ場合があります。これらをまとめて閉経関連尿路性器症候群、GSMと呼ぶことがあります。症状の種類や程度には個人差があり、すべての人に同じ変化が起こるわけではありません。
乾燥感やかゆみ、排尿時の違和感があると、更年期の変化だと考えて様子を見たくなることもあるでしょう。しかし、似た症状はカンジダ腟炎、膀胱炎、外陰部の皮膚疾患などでも起こります。日本産婦人科医会は、GSMが疑われる場合にも、症状を幅広く確認し、必要に応じてほかの病気を除外することが重要としています。特に、おりものの色やにおいが急に変わった、強いかゆみや痛みがある、排尿痛が続くといった場合は、自己判断で市販薬を使用するより、婦人科や泌尿器科などで原因を確認することが大切です。
症状が軽い場合は、デリケートゾーンへの刺激をできるだけ減らすことから始めます。清潔を保つことは大切ですが、強くこする、洗浄力の強い製品で何度も洗うといった習慣は、乾燥や刺激感を強めることがあります。ぬるま湯を中心にやさしく洗い、通気性のよい下着を選ぶなど、負担を少なくする工夫が向いています。乾燥感や性交時の摩擦には、腟や外陰部に使用できる保湿剤や潤滑剤などの非ホルモン製品が選択肢になる場合があります。使用する製品について迷うときは、婦人科や薬剤師に相談すると安心です。
生活上の工夫だけで改善しない場合には、婦人科で治療を検討できます。症状や既往歴などに応じ、局所に使用するエストロゲン製剤などが検討されることがあります。ただし、更年期の症状に使われるホルモン治療には複数の方法があり、適している治療は一人ひとり異なります。過去にかかった病気や現在使用している薬も含め、医師に伝えたうえで選択することが大切です。介護が必要な女性では、本人が症状を言葉にしにくい場合もあります。排尿回数の変化や外陰部を気にする様子が続く場合は、本人のプライバシーに配慮しながら受診につなげます。
閉経後の腟や外陰部の不快感は珍しいものではありませんが、すべてを加齢や女性ホルモンの変化だけで説明できるとは限りません。出血がみられる、外陰部に治りにくいただれやしこりがある、強い痛みが続く、発熱を伴う、血尿がみられるといった場合は、医療機関に相談してください。また、乾燥や性交痛、頻尿などが日常生活の負担になっている場合も、我慢を続ける必要はありません。症状を言葉にすることに抵抗がある場合は、いつからどのような症状があるかをメモして持参すると伝えやすくなります。原因を確認し、自分に合ったケアを選ぶことが、更年期以降の生活を整えることにつながります。