記事監修医師
川崎たにぐち皮膚科、院長
「疥癬(かいせん)」という病気をご存知でしょうか?ダニがもたらす皮膚病の一種で、周囲へと感染を広げていく恐れがあります。今回はこの疥癬の症状を中心にお伝えしていきます。
疥癬は、ダニの一種「ヒゼンダニ」が人の皮膚に寄生することで起こる皮膚病の一種で、疥癬患者との長期的な接触や、寝具の共有などで人へと感染します。
疥癬には感染しているヒゼンダニの数によって「通常疥癬」と「角化型疥癬」の2種類があり、それぞれ次のような症状を伴います。
数十匹以下のヒゼンダニが寄生している状態で、免疫力が正常でも通常疥癬になることがあります。通常疥癬の場合は、以下のような症状が特徴です。
100~200万匹ものヒゼンダニが寄生している状態で、通常疥癬と比べて患者の抵抗力は低下しているためヒゼンダニが増えてしまうことで発症します。数が多いので感染力も強いです。角化型疥癬の場合は、以下のような症状が特徴です。
丘疹やしこり、疥癬トンネルのほか、皮膚のかゆみも疥癬の代表的な症状の一つです。これは寄生したヒゼンダニが落とした糞や抜け殻へのアレルギー反応で、通常疥癬の患者さんの場合は丘疹とともに強いかゆみを訴える場合が多く、角化型疥癬の患者さんの場合は免疫力が落ちているためにアレルギー反応が弱く、軽度のかゆみを訴える場合が多いといわれています。ただし、かゆみの感じ方には個人差があるため、中にはほとんどかゆみを感じない人もいます。
疥癬は肌と肌の接触で感染したり、シーツや衣類の共有でも感染する可能性のある皮膚病です。疥癬トンネルや丘疹、かゆみなど特徴的な症状に気づいたら、周囲へ感染を広げる前に、すぐに皮膚科を受診してください。また、予防のためにはダニ対策も大切ですので、こまめな掃除を徹底しましょう。