記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/8/12
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
乳幼児は、頭が痛い、息が苦しい、おなかが気持ち悪いといった不調を言葉で正確に伝えることが難しいものです。言葉を話せるようになってからも、痛みの場所や程度をうまく説明できないことがあります。そのため、子どもの体調をみるときは、本人の訴えだけでなく、普段と比べて様子が違わないかを確認することが大切です。
日本小児科学会が運営する「こどもの救急」でも、発熱などの症状を判断する項目として、元気があるか、ぐったりしていないか、水分を取れているか、あやすと笑うか、尿が普段どおり出ているかなどが示されています。体温など一つの数値だけではなく、食事、睡眠、遊び方、泣き方、顔色などを合わせて観察すると変化を捉えやすくなります。
毎日一緒に過ごしている家族が感じる、いつもより静か、抱いても反応が弱い、好きな遊びをしないといった変化も体調を知る手がかりになります。病名を家庭で判断することより、いつもとの違いを整理して医療者へ伝えることが重要です。
子どもの具合が悪いときによく使われる表現に、ぐったりしているという言葉があります。ただし、眠いだけなのか、体調が悪く反応が低下しているのか判断に迷うこともあります。そのような場合は、呼びかけたときに目を開けるか、保護者と視線が合うか、あやしたときにいつものような反応があるか、好きな飲み物やおもちゃに興味を示すかなどを確認します。
日本小児科学会の「こどもの救急」では、意識状態をみる手がかりとして、呼びかけへの反応、視線が合うか、あやすと笑うか、飲み物を見て飲もうとするかなどが挙げられています。
発熱していると普段より眠る時間が増えることはありますが、起こしてもほとんど反応しない、視線が合わない、呼びかけへの反応が明らかに悪いといった場合は注意が必要です。意識がおかしく、いつものような呼吸も確認できない場合は、119番へ連絡し、指令員の指示に従って対応します。
乳幼児は息苦しいと自分から伝えられないことがあります。呼吸器の症状があるときは、咳の回数だけでなく、呼吸そのものに負担がかかっていないかを確認します。
普段より呼吸が速い、肩を上下させながら息をする、鎖骨の上や肋骨の下が呼吸のたびにへこむ、ゼーゼーと音がするなどは、呼吸が苦しいときにみられることがあります。日本小児科学会では、呼吸が苦しそうで意識がぼんやりしている、唇が紫色に見えるといった状態では救急車を呼ぶ目安としています。
乳幼児では、呼吸が苦しいために母乳やミルクを十分に飲めなくなることもあります。泣く声が弱い、いつものように声を出せない、飲もうとしてもすぐ口を離すといった変化も合わせて観察します。呼吸状態が急に悪化している場合は、自宅で長く様子をみず、速やかに医療機関へつなげることが大切です。
小さな子どもでは、のどが渇いたことを自分から伝えられない場合があります。発熱、嘔吐、下痢などがあるときは、何を食べたかだけでなく、水分を取れているかと尿が出ているかを確認します。
日本小児科学会の「こどもの救急」では、下痢の際に確認する項目として、口や唇の乾燥、目のくぼみ、水分摂取の状況、尿やおむつの濡れ方などを挙げています。 いつもより明らかにおむつが濡れない、トイレへ行く回数が減った、口の中が乾いている、何度も吐いて飲み物を保てないといった状態では、脱水を含めた評価が必要になることがあります。
水分が取れる場合は、体調に合わせて少量ずつ与えます。ただし、吐き続けている子どもへ無理に大量の水分を飲ませる必要はありません。ぐったりしている、水分をほとんど取れない、尿が明らかに減っている場合は医療機関へ相談しましょう。
痛みを言葉で説明できない子どもでは、行動から痛みの場所を推測できることがあります。耳を繰り返し触る、片方の腕を使おうとしない、歩きたがらない、体を丸めて泣くなど、いつもと違う動作がないかを見ます。
腹痛では、赤ちゃんが長時間不機嫌になる、おなかを触られることを強く嫌がる、繰り返し吐く、おなかが大きく張るといった変化が受診を考える手がかりになります。日本小児科学会の「こどもの救急」でも、こうした症状や血便などが確認項目として示されています。
ただし、痛みの場所を確かめようとして強く押したり、けがをした手足を何度も動かしたりする必要はありません。どのような姿勢を嫌がるか、いつから泣き始めたか、触れると反応が変わる場所があるかを無理のない範囲で確認します。突然強く泣き始めておさまらない、繰り返し嘔吐する、血便がある、顔色が悪いなどの症状を伴う場合は、早めに医療機関へ相談します。
診察では、子ども自身が症状を詳しく説明できなくても、家族からの情報が手がかりになります。いつから様子が違うか、最後に食事や水分を取った時刻、尿や便の状態、発熱や嘔吐の有無、眠れているかなどを簡単にまとめておくと伝えやすくなります。
症状が繰り返し起こる場合は、回数や時間を記録します。発疹など見た目に変化がある症状や、普段と異なる呼吸や動きについては、安全を優先できる状況で写真や短い動画を残しておくと診察の参考になることもあります。ただし、撮影のために救急要請や必要な対応を遅らせないようにします。
生後3か月未満の乳児に発熱がある場合や、年齢にかかわらず呼吸困難、意識の異常、けいれん、顔色の明らかな悪化、水分を取れない状態などがある場合は、早めの医療相談が必要です。 夜間や休日に受診するべきか判断に迷う場合は、子ども医療電話相談の#8000を利用できます。#8000では、小児科医師や看護師などから、症状に応じた対処や受診について助言を受けられます。
子どもが症状を上手に伝えられないときは、保護者が病名を見つけることより、普段との違いを具体的に観察することが大切です。元気、呼吸、水分、尿、意識、痛みの様子を確認し、いつもと明らかに違う状態や急激な悪化があれば、医療機関への相談につなげましょう。