食べる速さを見直すための食事の工夫

2026/8/12

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

食べる速さは毎日の習慣になりやすい

忙しい日が続くと、食事を短時間で済ませることが習慣になることがあります。食べる速さは自分では気づきにくく、家族や同僚と比べて初めて速いと分かることもあります。厚生労働省のe-ヘルスネットでは、速食いの習慣がある人では、そうでない人と比べてBMIが高い傾向がみられた疫学調査が紹介されています。ただし、食べる速さだけで体重や健康状態が決まるわけではありません。食事量、運動、睡眠など多くの要素が関係するため、速く食べることだけを健康上の問題として捉える必要はありません。普段ほとんど噛まずに飲み込んでいる、周囲よりかなり早く食べ終わる、食後に食べすぎたと感じることが多い場合には、毎日の食べ方を見直すきっかけにするとよいでしょう。

ゆっくり食べるためには噛む回数だけにこだわらない

食べる速さを落とす方法として、一定回数噛むことを意識する方法があります。ただし、すべての食品を決められた回数だけ噛まなければならないと考えると、食事そのものが負担になることがあります。まずは、一口の量を少し小さくする、口の中の食べ物を飲み込んでから次の一口を運ぶ、途中で箸やスプーンを置くといった方法から始めると取り組みやすくなります。また、軟らかい麺類や丼物だけでは短時間で食べ終わりやすいため、野菜料理や肉、魚、大豆製品など、異なる食感の料理を組み合わせる方法もあります。食事の基本としては、主食、主菜、副菜などを組み合わせ、多様な食品をとることが勧められています。ゆっくり食べることだけを目的にせず、食事内容も一緒に整えることが大切です。

時間がない日の食事は事前の準備で整える

朝の支度や仕事の休憩時間など、食事に使える時間が限られている場面もあります。そのようなときに、無理に時間をかけて食べようとすると続きにくくなります。朝食なら、パンだけで終わらせず、ヨーグルトや卵、果物など準備しやすい食品を組み合わせておく方法があります。昼食では、丼物や麺類を選ぶ場合に、副菜を一品加えると食事に変化が生まれます。夕食を急いで食べてしまう人は、空腹が強くなりすぎる前に食事をとれる生活リズムを考えることも一つの方法です。家族の食事を準備する場合も、健康のために食べる時間を厳しく管理するのではなく、それぞれの生活時間に合わせて無理なく食事を確保することを優先します。主食、主菜、副菜がそろった食事は栄養バランスを整える目安として活用できます。

食べる速さだけを原因と決めつけない

食後の腹部膨満感や胸部の不快感、体重の増減などが気になると、食べる速さが原因だと考えることがあります。しかし、症状には胃腸の病気や薬の影響、ストレス、食事内容などさまざまな要因が関係します。また、噛みにくい、口が開きにくい、歯が痛むなどの問題があると、食べやすい食品ばかり選ぶようになり、結果として食事が単調になることもあります。急に食事に時間がかかるようになった場合も、単にゆっくり食べるようになったと判断せず、口や身体の変化がないか確認しましょう。食事は毎日続くものなので、理想的な食べ方を厳密に守ることより、自分の体調や生活に合わせて続けられる方法を選ぶことが重要です。

食べ方を整えながら体調の変化にも目を向ける

食べる速さを見直す場合は、一口量を少なくする、食事の途中で少し間を置く、主食だけで終わらせず複数の料理を組み合わせるなど、できることから始めます。数日で結果を求めるのではなく、以前より落ち着いて食べられる場面が増えたかどうかを見るとよいでしょう。一方、食事中に強い胸痛がある、食べ物がつかえる感じが続く、繰り返し嘔吐する、意図せず体重が減っているなどの場合は、食べ方だけで対応せず医療機関へ相談してください。急な呼吸困難や意識の異常などを伴う場合には、速やかな医療対応が必要です。食べる速さの調整は健康管理の一部であり、体調を確認しながら食事全体を整えていくことが大切です。

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