記事監修医師
前田 裕斗 先生
2018/7/2
記事監修医師
前田 裕斗 先生
望まないタイミングでの妊娠を避けるために使用する「避妊具」ですが、避妊具の種類や使い方について、どのくらい知っていますか?
今回は避妊具のうち、女性側の意思で使用できる「避妊リング」と呼ばれるものについて、種類や使い方、ピルとの違いなどを解説していきます。
避妊リングとは別名「子宮内避妊用具」とも呼ばれ、子宮内にリング状の避妊用具を挿入しておくことで、受精卵の着床を防ぐ効果のある避妊具です。ピルと同じくらい確実な避妊効果を得ることができ、一旦挿入すると2~5年にわたって避妊効果を発揮し続けてくれます。
このため、生活習慣や持病などにより定期的・継続的なピルの服用が難しい人や、多忙で継続した通院が難しい人、今後長期的に妊娠を考えていない人にはおすすめの避妊方法です。
避妊リングには大きく分けて「ミレーナ®︎」「ノバT®︎」の2種類があり、どちらも子宮内に挿入するという点は共通していますが、避妊のための仕組みが異なります。
以下に「ミレーナ®︎」と「ノバT®︎」の特徴や作用の違いをそれぞれまとめました。
女性ホルモンの一種である黄体ホルモンの薬剤を付加した避妊リングです。ピルの持つ「ホルモンの作用による避妊効果」と、避妊リングの持つ「異物反応による長期的な避妊効果」の両方を併せ持っており、IUSとも呼ばれています。
付加された黄体ホルモンは子宮内で少しずつ放出され、避妊と同時に経血となる子宮内膜を薄くし、月経による諸症状を抑える効果も発揮します。
コイル状に巻き付けた銅線を子宮内に挿入することで異物反応を起こし、精子の活動を低下させたり、子宮粘膜の質を変えることで避妊効果を発揮する避妊リングです。
先に紹介したIUS「ミレーナ®︎」と違い「ノバT®︎」はIUDと呼ばれ、ホルモンの薬剤を使用せず、異物反応のみで高く長期的な避妊効果を期待できます。
女性ホルモンの作用によって避妊効果を得るという点は同じですが、避妊リングミレーナ®︎とピルには、以下のような違いがあります。
ここまで紹介してきたミレーナ®︎・ノバT®︎など避妊リング(IUS・IUD)のメリットをまとめると、以下のようになります。
しかし一方で、デメリットとしては以下のような要素が挙げられます。
また、以下の条件に1つ以上当てはまる人は「IUDを装着してはいけない」「IUD装着にあたって注意が必要な人」と判断されます。
避妊リングを使用できるかどうかは、最終的には医師の判断によって決定されます。特に将来的な妊娠を考えている場合は、避妊リングの使用にあたって気になることはすべて医師に確認し、判断を仰いだうえで使用するかどうかを決めてくださいね。
飲み忘れの恐れや持病などにより、ピルの服用が難しい人にとって、同程度の高い避妊効果が長期的に得られる避妊リングは、魅力的な選択肢です。しかし、メリットが多い一方でデメリットもあり、使用に注意が必要な場合もあります。避妊リングに興味がある方は、産婦人科の医師に相談して効果やリスクをよく理解したうえで、避妊リングを使用するかどうかを決めてください。