子どもの便秘で確認したい生活習慣と受診のポイント

2026/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

子どもの便秘は排便回数だけでは判断できない

子どもの排便が数日ないと、家族は便秘ではないかと心配になるものです。ただし、排便のペースには個人差があり、回数だけで状態を判断することはできません。硬い便が出る、排便するときに強く痛がる、大きな便が出る、便を我慢する様子が続くといった場合も便秘を考える手がかりになります。

国立成育医療研究センターでは、一般的に排便が週2回以下の場合のほか、硬い便や排便時の痛み、非常に大きな便などがある場合に慢性便秘症の可能性があるとしています。便秘が続くと、腹痛や食欲低下、便漏れなどにつながることもあります。

幼い子どもは「便が出にくい」「排便すると痛い」と十分に説明できません。トイレを嫌がる、足を交差させて便を我慢する、食欲が落ちるなど、日常の変化も一緒に観察することが大切です。

便を我慢すると便秘が続きやすくなる

排便時に痛い経験をすると、子どもは次の排便を避けようとして便を我慢することがあります。便が腸内に長くとどまると水分が吸収されてさらに硬くなり、次の排便も痛くなるという悪循環につながります。

トイレトレーニングの時期や、保育園、幼稚園、学校など生活環境が変化した時期に、排便を我慢するようになる子どももいます。失敗を責めたり、排便を強く急かしたりすると、トイレそのものへの抵抗感が強まる場合があります。毎日の排便を無理に求めるのではなく、その子の便の硬さや痛み、生活の様子を確認することが重要です。

便秘の状態を把握するには、排便した日、便の硬さ、腹痛の有無などを簡単に記録しておく方法があります。長く続いている場合は、記録を医療機関へ持参すると診療の参考になります。日本小児栄養消化器肝臓学会は2025年に「小児慢性機能性便秘症診療ガイドライン」を改訂しています。

家庭では食事と生活リズムを整える

便秘が気になるときは、食事、水分、運動、トイレの習慣をまとめて見直します。野菜、果物、豆類、穀類などを組み合わせ、年齢に応じたバランスのよい食事を続けることが基本です。水分が不足していないかも確認しましょう。

朝食のあとなど、腸が動きやすい時間帯にゆっくりトイレへ座る習慣をつくる方法もあります。足が床に届かない場合は足台などを使い、力みやすい姿勢をつくるとよいでしょう。排便できなかったとしても責めず、トイレへ座れたこと自体を肯定的に受け止めることが続けるポイントです。

一方、水分や食物繊維を増やせばすべての便秘が改善するわけではありません。すでに便が多くたまっている場合などには医療的な治療が必要になることがあります。長引く便秘を生活習慣だけの問題と考えず、必要に応じて小児科へ相談してください。

薬や浣腸は医療者と相談しながら使う

小児の便秘では、便をやわらかくする薬などを使って排便を整えることがあります。治療にはある程度の期間が必要となるケースもあり、便が一度出たからといって自己判断で薬を中止すると、再び便がたまることがあります。処方された薬は、医師の説明に沿って使用することが大切です。

市販の便秘薬や浣腸についても、子どもの年齢や症状に適しているかを薬剤師や医師に確認してから使用しましょう。特に繰り返し使用する場合は、便秘の原因や治療方針を一度確認しておくことが望まれます。

強い腹痛が続く、何度も吐く、おなかが著しく張る、血便がみられる、体重が減っている、元気がないといった症状が伴う場合には、便秘だと決めつけず医療機関を受診してください。強い腹痛では、便秘以外の病気との区別が難しいことがあります。

おわりに 排便しやすい環境をつくり長引く場合は相談する

子どもの便秘では、排便回数だけでなく、便の硬さや痛み、排便を我慢する様子などを確認することが大切です。食事や水分、生活リズム、トイレ環境を整えることは日常のケアとして役立ちます。

ただし、便秘が慢性化すると家庭での工夫だけでは改善しにくい場合があります。痛みを伴う排便が続く、便漏れがある、生活に影響しているといった場合には、早めにかかりつけの小児科へ相談しましょう。適切な治療で「排便すると痛い」という経験を減らすことも、便秘の悪循環を断つうえで重要です。

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