子どもの咳とゼーゼーで確認したい呼吸の状態と受診の目安

2026/9/7

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

咳の強さだけでなく呼吸全体を観察する

風邪などをきっかけに子どもが咳をすると、音の大きさや回数が気になるものです。しかし、受診の必要性を判断するときは、咳だけでなく呼吸全体の様子を見ることが重要です。

発熱や鼻水に続いて咳が出ることはよくありますが、喘息や細気管支炎などで空気の通り道が狭くなると、「ゼーゼー」「ヒューヒュー」といった喘鳴が聞こえることがあります。また、本人がうまく苦しさを説明できない年齢では、呼吸の速さや胸の動き、顔色などが重要な手がかりとなります。

日本小児科学会の「こどもの救急」では、咳やゼーゼーがある場合に、ぐったりしていないか、呼吸が荒く苦しそうではないか、唇の色が悪くないか、胸が呼吸のたびにへこんでいないかなどを確認するよう案内しています。

肩や胸の動きから呼吸の苦しさを確認する

呼吸が苦しいときには、普段は使わない筋肉を使って息をしようとすることがあります。肩を上下させながら呼吸する「肩呼吸」や、息を吸うたびに鎖骨の周辺や肋骨の下がへこむ「陥没呼吸」がみられる場合は、呼吸に負担がかかっている可能性があります。

子どもが眠っているときも、胸やおなかの動きが普段と大きく違わないかを確認します。呼吸が速くても、泣いた直後や発熱時など一時的に速くなっていることもあるため、落ち着いた状態で観察することがポイントです。

家庭では安静にし、水分を飲める場合は少しずつ補給します。たばこの煙や強い香りなど、呼吸器への刺激となるものは避けましょう。喘息などで医師から発作時の薬や対応方法を指示されている場合は、その指示に沿って対応してください。

突然始まった激しい咳では異物にも注意する

それまで元気だった子どもが、食事中や小さな物を口にして遊んでいる最中に突然激しく咳き込み始めた場合は、食べ物や異物が気道に入った可能性も考えます。

特に豆類などを食べていた直後に咳が続く場合は、咳が少し落ち着いたからといって安心できないことがあります。「急に咳き込み始めた」「何を食べていたか」といった情報は診断の手がかりになるため、受診時に医師へ伝えてください。日本小児科学会も、急な咳込みが続く場合には受診を勧めています。

明らかに窒息して声や咳が出せない、呼吸ができないといった場合には緊急対応が必要です。年齢に応じた異物除去法や救急要請が必要になるため、日頃からこども家庭庁などが公開する応急手当情報を確認しておくことも役立ちます。

呼吸困難や意識の変化は速やかな受診が必要

呼吸が苦しく会話や泣くことが難しい、唇が紫色になる、胸が大きくへこむ、意識がぼんやりしているといった場合は緊急性が高い状態です。日本小児科学会は、呼吸が苦しそうで意識がぼんやりしている場合や唇が紫色の場合には救急車を呼ぶよう案内しています。

また、咳とともに水分がとれず尿が減っている、高熱が続く、ぐったりしている、生後間もない乳児に症状がある場合も、早めに医療機関へ相談してください。

咳が長期間続く場合や、夜間や運動時に繰り返す場合、毎回ゼーゼーする場合には、急性の感染症以外の原因を確認したほうがよいことがあります。症状が出た時間帯、発熱の有無、咳や呼吸音を可能な範囲で記録しておくと診察の助けになります。

おわりに 咳の音より呼吸の苦しさを確認する

子どもの咳では、回数や音だけに注目するのではなく、胸や肩の動き、呼吸の速さ、顔色、意識、水分摂取などを総合して観察することが大切です。

元気があり、水分もとれている場合は経過を見られることもありますが、陥没呼吸や唇の色の変化、意識の異常などがあるときは速やかな医療機関への相談が必要です。判断に迷うときは「#8000」などを活用し、子どもの状態に応じて適切な受診につなげましょう。

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