記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/7
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子どもは遊びや運動のほか、ベッドや遊具からの転落などで頭をぶつけることがあります。頭に大きなたんこぶができたり、出血したりすると心配になりますが、外から見える傷の大きさだけで頭の中の状態を判断することはできません。まずは意識、呼吸、顔色、手足の動きなど、子どもの全身状態を確認することが大切です。
ぶつけた直後にしっかり泣き、その後いつものように受け答えができている場合でも、しばらくは経過を観察します。年齢が低い子どもでは「頭が痛い」「気持ちが悪い」と十分に説明できないことがあります。不機嫌が続く、いつもより反応が鈍い、遊ぼうとしないなど、普段との違いも重要な手がかりです。
頭をぶつけた場面を見ていた場合は、どのくらいの高さから落ちたか、どの部分を打ったか、意識を失った時間があったか、直後に吐いたかなどを覚えておきましょう。医療機関を受診するときの判断材料になります。消防庁の目安では、頭を強くぶつけた後に意識がない、けいれんがある、出血が止まらない場合は、すぐに救急車を呼ぶよう示されています。
頭をぶつけた部分が腫れている場合は、タオルなどで包んだ冷却材を当て、痛みが強くならない範囲で冷やします。冷却材を皮膚へ直接長時間当てると低温による皮膚障害につながることがあるため注意しましょう。
頭皮から出血している場合は、清潔なガーゼやタオルで傷口を圧迫します。頭皮は血流が多いため、小さな傷でも出血が多く見える場合があります。一方、圧迫しても血が止まらない場合や、傷が深く開いている場合は医療機関での処置が必要になることがあります。
吐いた回数や頭痛の程度も確認します。泣きすぎや強い緊張などで一度吐くこともありますが、頭をぶつけたあとに何度も吐く場合は注意が必要です。消防庁の救急受診に関する資料でも、頭や首をけがした子どもについて、繰り返す嘔吐や手足の動きの左右差、耳や鼻からの液体、止まらない出血などが緊急性を判断する項目として挙げられています。
ぶつけた直後に元気でも、その後に症状が現れる場合があります。当日は激しい運動や長時間の外出などを控え、できるだけ大人が様子を確認できる環境で過ごすとよいでしょう。
観察するときは、会話が普段どおりできるか、歩き方に変化がないか、手足を左右同じように動かせるか、頭痛が強くなっていないかなどを確認します。乳幼児では、抱いても泣きやまない、ミルクや食事をとらない、視線が合いにくいなどの変化にも注意します。
眠ってしまった場合は、呼吸や顔色が普段と変わらないかを確認します。極端に起こしにくい、呼びかけへの反応が普段と明らかに違う場合は、単に眠っていると判断せず医療機関への相談が必要です。症状がはっきりしない場合でも、受傷時刻やその後の変化を記録しておくと、医師へ経過を伝えやすくなります。
頭部CTは頭の中の出血や骨折などを確認するために用いられる検査ですが、すべての軽い頭部打撲で必要になるわけではありません。国立成育医療研究センターでは、小児のCTについて、診断上の必要性と放射線被ばくなどを考慮して適応を判断することが重要としています。検査の必要性は医師が症状や受傷状況を踏まえて判断します。
頭を強くぶつけたあとに意識がない、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんが起きた場合は緊急性の高い状態です。呼吸が弱い、顔色が著しく悪い、手足を動かしにくそうにしている場合も、ためらわず救急車を呼んでください。
繰り返し吐く、頭痛が時間とともに強くなる、歩き方がおかしい、鼻や耳から血液以外のさらさらした液体が出る場合も医療機関への相談が必要です。また、交通事故、高い場所からの転落など、受けた衝撃が大きい場合には、一見元気に見えても受診が勧められることがあります。
赤ちゃんでは症状を判断しにくいため、強く頭を打った可能性がある場合や、保護者から見ていつもと様子が異なる場合は早めに相談するとよいでしょう。休日や夜間に受診の必要性を判断しにくいときには、子ども医療電話相談の#8000を利用できます。小児科医師や看護師などから、症状に応じた受診や家庭での対応について助言を受けられます。
子どもが頭をぶつけたときは、たんこぶや傷だけでなく、意識、呼吸、顔色、嘔吐、手足の動きなどを確認することが大切です。直後に元気であっても、その後の変化を落ち着いて観察しましょう。
意識障害、けいれん、止まらない出血、繰り返す嘔吐などがある場合は、家庭で長く経過を見ることを避け、速やかに医療機関へ相談してください。どのようにぶつけたか、症状がいつ始まったかを記録しておくことも、適切な診療につながります。