薬が増えてきたときに見直したい服薬管理のポイント

2026/9/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

薬が多いだけで「問題」とは限らない

いくつかの病気や症状を治療していると、飲む薬が増えることがあります。高血圧や糖尿病、痛み、不眠など、それぞれに必要な薬が処方されていることもあるでしょう。
そのため、薬の数が多いこと自体が、すぐに問題になるわけではありません。
気をつけたいのは、薬が増えたことで副作用が起こりやすくなったり、飲み間違いが増えたり、必要な薬をきちんと飲めなくなったりしている場合です。このように、複数の薬を使うことで困りごとが起きている状態を「ポリファーマシー」といいます。
大切なのは、「薬を減らせばよい」と考えることではありません。今の自分にとって、薬の種類や量、組み合わせが合っているかを確認することです。
体調や病気の状態が変わると、同じ薬を同じ量飲んでいても、効き方が変わることがあります。長く飲み続けている薬でも、体調や生活が変わったときには、一度見直してもらうと安心です。

眠気やふらつきも薬の影響かもしれない

薬の副作用というと、発疹や吐き気を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし実際には、眠気、ふらつき、食欲がない、便秘、口が渇く、尿が出にくい、ぼんやりするなど、普段の生活の中で起こる変化として現れることもあります。
特に複数の薬を使っていると、薬どうしの作用が重なり、思わぬ不調につながることがあります。
新しい薬を飲み始めたあとや、薬の量が変わったあとに、それまでなかった症状が出たときは、「いつから」「どんな症状があるか」をメモしておきましょう。本人では気づきにくくても、家族や周りの人が変化に気づくこともあります。
ただし、その症状が薬のせいなのか、病気によるものなのかを自分で判断するのは難しいものです。気になる症状があっても、処方された薬を自己判断でやめるのは避けましょう。
気になる変化があれば、医師や薬剤師に伝えて相談することが大切です。

お薬手帳や薬の情報は一つにまとめる

いくつかの病院やクリニックに通っていると、医師がほかの医療機関で出ている薬をすべて把握できていないことがあります。
また、飲み合わせに関係するのは処方薬だけではありません。ドラッグストアで買った市販薬や漢方薬、サプリメントが影響することもあります。
今使っているものは、できるだけまとめて医師や薬剤師に伝えましょう。
お薬手帳を使っている場合は、病院ごとに分けず、一冊にまとめておくと確認しやすくなります。
薬の名前を全部覚えていなくても大丈夫です。お薬手帳のほか、薬そのものや処方内容が書かれた紙、薬のパッケージを撮影した写真などを見せる方法もあります。
「飲み忘れたことがある」「薬を飲んだあとに眠くなる」「食欲が落ちた」といった日常の変化も、薬が合っているかを判断する大切な情報になります。

飲み忘れは「仕組み」で防ぐ

薬を飲み忘れてしまっても、単に「気をつければよい」とは限りません。
薬の数が多すぎる、飲む時間が何回もある、錠剤を取り出しにくい、飲み込みにくい、何のために飲んでいる薬なのか分からないなど、さまざまな理由があります。
仕事や家事、外出などで、薬を飲む時間が生活リズムに合っていないこともあるでしょう。
まずは、「なぜ飲み忘れてしまうのか」を考えてみることが大切です。
医師や薬剤師に相談すると、薬によっては飲む回数を減らしたり、一回に飲む薬を一袋にまとめる「一包化」ができたりする場合があります。
服薬カレンダーや薬ケース、スマートフォンのアラームなどを使う方法もあります。便利な方法はいろいろありますが、自分の生活に合っていなければ長続きしません。
無理なく続けられる方法を選びましょう。
家族などが薬の管理を手伝う場合も、すべて代わりにやる必要はありません。本人ができることは続けてもらい、難しいところだけをサポートすると、無理のない服薬管理につながります。

こんなときは薬を見直すきっかけに

薬は、一度処方されたらずっと同じままでよいとは限りません。
たとえば、入院や退院をしたとき、新しい病気の治療が始まったとき、通う医療機関が増えたとき、新しい薬が追加されたときは、薬全体を見直すよいタイミングです。
強い眠気やふらつきが出るようになった、食事の量や体重が大きく変わった、体調が以前と違うと感じるといった場合も、一度相談してみましょう。
相談するときは、単に「薬を減らしてください」と伝えるよりも、「最近、昼間も眠くて困っている」「薬が多くて飲み忘れることがある」など、困っていることを具体的に伝えるのがおすすめです。
そのうえで、それぞれの薬が今も必要なのか、量や飲み方が合っているのかを医師や薬剤師に確認してもらいましょう。
また、呼びかけても反応が悪い、息が苦しい、急に意識がもうろうとしたなど、いつもと明らかに違う症状がある場合は、薬の影響を含めて急な体調変化が起きている可能性があります。すみやかに医療機関へ相談してください。
薬は、病気や症状を治療し、毎日の生活を支えるためのものです。
必要な薬を安全に使い続けるためにも、「今の薬は自分に合っているかな」と、ときどき振り返ることが大切です。

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