記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/13
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
地震や水害などの災害が起きたとき、要介護高齢者では避難そのものに時間がかかることがあります。歩行に介助が必要な人だけでなく、認知症がある人、視覚や聴覚に障害がある人、日常的に医療的なケアを受けている人なども、普段とは違う環境への対応が難しくなる場合があります。
内閣府では、自ら避難することが難しい高齢者や障害者などを避難行動要支援者として位置づけ、市町村による個別避難計画の作成を進めています。
災害時の介護を考える際に重要なのは、非常持ち出し袋を用意することだけではありません。誰が本人へ声をかけるのか、どこへ避難するのか、移動には何が必要なのかを平常時から確認しておくことが大切です。
自宅が安全な場合には屋内で安全を確保することが適切な場合もあり、災害の種類や自宅周辺の危険性によって必要な行動は変わります。
一般的な指定避難所まで行けば介護に必要な環境がすべて用意されているとは限りません。車いすを使用している人では段差や道路状況、認知症がある人では人の多さや騒音などが負担になる可能性があります。
まず自宅が洪水、土砂災害、津波などの危険区域に含まれているか、自治体のハザードマップなどで確認します。そのうえで、自宅から安全な場所まで誰とどのように移動するかを考えます。
本人を一人で抱えて避難させる計画では、実際の災害時に介護者も被災して支援できない場合があります。家族だけでなく、地域や自治体、ケアマネジャーなどと相談し、利用できる支援について確認しておきます。
個別避難計画の対象になる可能性がある場合は、市区町村の防災や福祉の窓口、ケアマネジャーなどへ相談するとよいでしょう。
災害時には、いつも利用している医療機関や薬局をすぐに利用できない場合があります。普段飲んでいる薬の名称、量、服用方法、アレルギー、持病、緊急連絡先などを家族が確認できるようにします。
お薬手帳は日常の通院だけでなく、災害時に薬の情報を伝える手段にもなります。紙のお薬手帳を利用している場合は、すぐ持ち出せる場所へ置いておきます。
おむつ、尿取りパッド、手袋、口腔ケア用品など、介護に必要な消耗品についても余裕を持って備えておきます。ただし、保管できる量には家庭ごとの差があります。自治体が推奨する備蓄内容も確認しながら準備します。
食事について特別な形態が必要な人では、普段食べている介護食品などを災害時にも確保できるようにしておくと安心です。
災害時には停電や断水が起こる場合があります。電動ベッド、吸引器、在宅医療機器などを使用している人は、電気が使えない場合の対応を平常時に確認します。
医療機器については、主治医、訪問看護師、機器の事業者などに、停電時にどの程度使用できるのか、予備電源やバッテリーが必要かを確認しておきます。本人の状態によっては、早めの避難が必要になることもあります。
断水時には、飲み水だけでなく排泄や清潔保持にも影響が出ます。おむつを使用していない人でも、トイレが使えなくなる可能性を考えて簡易トイレなどの備えを検討します。
本人に認知症がある場合は、停電で室内が暗くなったり、避難所など慣れない場所へ移ったりすることで不安が強くなることもあります。名前や連絡先、必要な介助内容を書いた情報を携帯できるよう準備することも役立ちます。
介護状態は時間とともに変化します。半年前には歩けていた人が車いすを使うようになった、薬が変更された、介護者が高齢になったなど、以前の避難方法が適さなくなることがあります。
ケアプランを見直す時期などに、災害時の対応についても確認するとよいでしょう。本人が可能であれば、避難先や持ち出すものについて本人の希望も確認します。
災害が迫ってから介護方法を考えるのでは、安全な避難が難しくなる場合があります。特に大雨や台風など予測できる災害では、高齢者等避難など自治体からの情報を確認し、必要な人は早めに行動します。
本人の安全と同時に、介護する家族自身の安全を守ることも大切です。一人の介護者だけに頼らず、地域、行政、医療・介護職を含めた支援方法を平常時から確認しておきましょう。