記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/9/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
腎臓は、血液から不要な物質を取り除いて尿をつくるほか、体内の水分やミネラルのバランスを保つなど、さまざまな役割を担っています。
慢性腎臓病はCKDとも呼ばれ、腎臓の働きが低下している状態や、尿たんぱくなど腎臓の異常を示す所見が一定期間続く状態です。腎機能の低下や尿たんぱくなどの異常が3か月以上続く場合には、CKDと判断されます。
腎機能が少し低下した段階では、本人が症状を感じないことがあります。症状がないから腎臓は問題ないとは限りません。そのため、健康診断などで血液検査や尿検査を定期的に確認することが大切です。
CKDが進行すると腎不全につながる可能性があるだけでなく、心臓や血管の病気とも関係します。早い段階で気づき、進行を抑えることが重要です。
健康診断などで腎臓の状態を確認する際によく使われる指標の一つがeGFRです。eGFRは血液中のクレアチニン値や年齢、性別などから推算し、腎臓が血液をろ過する働きがどの程度あるかを示します。
ただし、1回のeGFRだけでCKDと決まるわけではありません。脱水など体調によって数値が変化する場合があり、継続して異常があるかを確認することが必要です。
尿検査では尿たんぱくも重要です。血液検査の腎機能が保たれているようにみえても、尿たんぱくが続いている場合には腎臓に問題がある可能性があります。
健康診断の結果を受け取ったときは、基準値から外れているかだけではなく、前年までの値と比較します。少しずつeGFRが低下している場合などは、かかりつけ医に相談します。
CKDにはさまざまな原因があります。高血圧や糖尿病などの生活習慣病も、腎臓の状態と深く関係しています。
血圧が高い状態が続くと腎臓の細い血管に負担がかかり、腎機能の低下につながることがあります。一方、腎臓の機能が低下することで血圧の管理が難しくなる場合もあります。
糖尿病がある人では、糖尿病に関連した腎臓病にも注意します。血糖値だけを管理するのではなく、血圧、尿たんぱく、腎機能なども定期的に確認します。
日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2024」では、早期発見に加えて、高血圧や糖尿病、生活習慣、栄養・食事、薬物療法などを含めて総合的に管理することの重要性が示されています。患者向けの「CKD療養ガイド2024」でも、「CKDと食事」が独立した章として扱われています。
高齢の場合でも、年齢だけを理由に腎機能の低下を放置せず、その人の健康状態や生活状況に合わせて管理することが大切です。
CKDの進行を抑えるうえで、毎日の食事も大切です。ただし、「腎臓に良い食品をたくさん食べればよい」「腎臓が悪いから何でも制限すればよい」というものではありません。腎機能の程度や血液検査の結果、年齢、体格、ほかの病気などによって、必要な食事内容は異なります。
食事で特に意識したいものの一つが食塩です。日本腎臓学会の「CKD診療ガイド2024」では、CKD患者の食塩摂取量は1日6g未満を基本としています。一方、高齢者などでは無理のない目標を設定するなど、個々の状態に合わせることも必要とされています。
減塩のためには、漬物や加工食品、汁物など塩分の多い食品をとり過ぎないことや、しょうゆやソースを必要以上にかけないことなどが役立ちます。だしや香辛料、酸味などを活用すると、味の満足感を保ちながら塩分を減らしやすくなります。
たんぱく質については、CKDの進行度によって摂取量の調整が必要になる場合があります。ただし、自己判断で肉や魚、卵などを極端に減らすと、エネルギーや栄養が不足し、特に高齢者では筋力低下やフレイルにつながる心配があります。日本腎臓学会でも、たんぱく質の調整はCKDのステージに応じて行い、進行したCKDでは腎臓専門医や管理栄養士などの管理のもとで行うことが望ましいとしています。
カリウムについても全員が同じように制限するわけではありません。腎機能が低下して血液中のカリウムが高くなっている場合などには、野菜や果物を含めて摂取量を調整することがあります。自分の検査結果を確認し、制限を指示されている場合は医師や管理栄養士に具体的な食べ方を相談します。
厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2025年版)」でも、CKDの重症化予防に栄養・食事指導が重要な役割を持つことが示されています。
腎臓を守るためには、禁煙、適度な運動、適正体重の維持、血圧や血糖の管理などが基本となります。しかし、CKDの状態によっては一般的な健康情報をそのまま実践することが適さない場合があります。
例えば、「野菜や果物をたくさん食べる」「高たんぱく質の食事をとる」といった食べ方が、すべてのCKD患者に適しているとは限りません。食塩、たんぱく質、カリウムなどは、腎機能や検査結果に応じた調整が必要になることがあります。
水分についても同様です。「腎臓のために水をたくさん飲んだほうがよい」と自己判断で大量に飲むのではなく、心臓や腎臓の状態、むくみの有無などを踏まえて適切な量を考えます。
市販の痛み止めやサプリメント、健康食品などが腎臓に影響する場合もあります。CKDを指摘されている人は、処方薬だけでなく市販薬や健康食品についても医師や薬剤師へ伝えます。
食事について迷う場合も、一律に食品を禁止するのではなく、医師や管理栄養士に相談しながら、無理なく続けられる方法を考えることが大切です。
CKDが進行すると、むくみ、息切れ、疲れやすさ、食欲低下などがみられる場合があります。ただし、これらは心臓病などほかの病気でも起こるため、症状だけで腎臓病と判断することはできません。
健康診断で腎機能や尿たんぱくの異常を繰り返し指摘されている場合は、症状がなくても医療機関へ相談します。糖尿病や高血圧の治療中であれば、腎臓の検査結果についても主治医に確認します。
尿が極端に少なくなった、急にむくみが強くなった、呼吸が苦しい、意識状態がおかしいなどの急激な変化がある場合には、早めの医療対応が必要です。
CKDは、症状が出るまで待つのではなく、検査値から早めに気づくことが重要です。健康診断を受けた後は結果を保管して前年からの変化を確認するとともに、血圧や血糖、毎日の食事なども含めて日々の健康管理に生かしましょう。