記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2026/10/15
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
がんの治療を受けている人の中には、以前はおいしく感じていた料理の味が分からなくなったり、口の中に苦味や金属のような味を感じたりする人がいます。また、料理のにおいに敏感になり、食事をとることが負担になる場合もあります。
こうした変化には、薬物療法や放射線治療の影響などが関係することがあります。
味覚とは、甘味、塩味、酸味、苦味、うま味などを感じる働きです。舌などにある味を感じる細胞が治療の影響を受けたり、唾液の分泌量が減少したりすると、味の感じ方が変わる場合があります。また、口内炎や口の中の感染症などが関係することもあります。
ただし、味覚の変化の程度や症状が続く期間には個人差があります。
がん治療中の味覚変化は、食事量の減少や栄養不足につながる可能性があるため、無理なく食べられる方法を考えることが大切です。
味を感じにくくなった場合は、料理の風味を工夫することで食べやすくなることがあります。
例えば、かつお節や昆布、干ししいたけなどのだしを活用する方法があります。だしにはうま味成分が含まれており、料理の風味を整えることに役立ちます。
また、本人が酸味を好む場合は、酢やレモンなどを少量使用する方法もあります。ただし、口内炎がある人では、酸味が刺激となって痛みが強くなる場合があります。そのため、味覚の変化があるからといって、すべての人に酸味の強い料理が適しているわけではありません。
また、塩味を感じにくい場合でも、調味料を大量に加えることは避けましょう。特に、高血圧や腎臓病などがある人では、食塩の摂取量に注意が必要です。
料理の温度によって味の感じ方が変わる場合もあるため、本人が食べやすい温度を試してみることもよいでしょう。
がん治療中には、味だけでなく、においの感じ方が変化することもあります。例えば、炊きたてのご飯や温かい料理のにおいを不快に感じる場合があります。
そのようなときは、料理を少し冷ましてから提供することで、においが気になりにくくなることがあります。
また、調理中のにおいが負担になる場合は、換気を行ったり、別の部屋で休んだりする方法があります。家族が調理を担当している場合は、本人が苦手に感じるにおいを確認しておくとよいでしょう。
市販の惣菜や冷凍食品などを活用し、調理の負担やにおいへの接触を減らすことも選択肢になります。
ただし、がん治療中には、免疫機能が低下して感染症に注意が必要になる場合があります。食品の衛生管理や加熱の必要性については、治療内容に応じて医療機関の指示を確認しましょう。
味覚や嗅覚の変化によって食欲が低下すると、必要な栄養を十分に摂取できなくなる場合があります。
そのような場合は、一度に多く食べようとせず、少量ずつ食べる方法があります。例えば、食べられる時間帯に、おにぎりや卵料理、ヨーグルトなどを取り入れる方法が考えられます。
ただし、治療中の症状や食事制限によって、適切な食品は異なります。
また、食べやすさを優先するあまり、長期間にわたって特定の食品だけを食べ続けると、栄養バランスが偏ることがあります。
食事量が減少している場合は、管理栄養士などへ相談し、必要な栄養を補う方法を確認しましょう。栄養補助食品を活用する場合も、治療内容に合った製品を選ぶことが大切です。
味覚の変化がある場合は、口の中の状態を確認することも重要です。口内炎や口の乾燥があると、食べ物を口に入れること自体が負担になる場合があります。
口腔ケアでは、歯や舌、入れ歯などを清潔に保ち、必要に応じて保湿を行うことが大切です。ただし、治療によって口の中の粘膜が傷つきやすくなっている場合は、ケアの方法について歯科医師などへ相談しましょう。
また、味覚の変化が長く続く、食事量が大きく減る、体重が急激に減少する場合は、担当医へ相談してください。
発熱、強い口内炎、飲み込みにくさなどがある場合も、医療機関で評価を受けることが大切です。
水分をほとんどとれない、意識がはっきりしない、呼吸困難がある場合は、速やかな救急対応が必要です。
がん治療中には、味やにおいの感じ方が変わることがあります。症状の出方には個人差があるため、本人の好みに合わせて調理方法や料理の温度などを工夫しましょう。
また、食事量が減った場合は、栄養不足にも注意する必要があります。
家族や介護職は、無理に食事を勧めるのではなく、本人の感じ方を尊重しながら、医療職と連携して食事を支えていきましょう。