記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/6/15 記事改定日: 2018/3/23
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
妊娠中の喫煙は、妊婦さんにとってもお腹の赤ちゃんにとっても悪い影響を及ぼします。
妊娠中にタバコを吸うことで具体的にどのようなリスクがあるのか、この記事で詳しく見ていきましょう。
妊娠中の喫煙は妊婦さんにも胎児にも好ましくありません。
それぞれに起こり得るリスクは以下の通りです。
妊娠中の喫煙は早期破水・前置胎盤・胎盤異常などの原因となります。
また、早産や妊娠期間の短縮によって胎児の成長が制限されることがあり、赤ちゃんが低体重で産まれる可能性が高くなります。
(※低出生体重児の赤ちゃんは体温の調節や呼吸機能や母親からの免疫抗体などが十分でないため、しばらくの間は保育器の中で育てられることが多いです。死亡率こそ減っているものの、未熟であることでさまざまな合併症が起こりやすくなるというリスクがあります)
この他、異所性妊娠(日本では子宮外妊娠と呼ばれることが多い)、自然流産なども、妊娠中の喫煙が原因で起こる可能性が高くなると指摘されています。
タバコに含まれているニコチンや一酸化炭素には血管を収縮させたり血中の酸素濃度を低下させる作用があるため、栄養や酸素が赤ちゃんに届きにくくなり、赤ちゃんが脳や心臓に疾患をもって生まれてくるリスクが高くなります。
また、乳幼児突然死症候群(SIDS)と呼ばれる、産後何の前触れや兆候もなく赤ちゃんが突然死してしまう病気を発症するリスクも高くなるといわれています。
加えて、生まれた赤ちゃんが先天性異常や口蓋裂を発症するリスクも高いです。
受動喫煙とはタバコの火のついた先から立ち上る「副流煙」を自分の意思とは関係なく吸ってしまうことで、発がんリスクを高めたり妊婦さんや赤ちゃんに悪影響を及ぼすことが判明しています。
妊婦さん本人が喫煙をしていなくても、家族や身近な人が喫煙者であれば「受動喫煙」をしていることになります。
受動喫煙によって赤ちゃんの出生体重の減少や低出生体重のリスクが増加することが判明しています。
「換気扇の下で吸っているから平気」
「室内でなくベランダで吸っているから大丈夫」
などと言う方がいますが、そのような方法で受動喫煙はほとんど防げません。
受動喫煙の影響を無くすためには、部屋の開口部から5m以上離れるか、喫煙者がベランダにいるときは喫煙後数十分間窓を完全に閉め切らなければなりません。
また、喫煙をした呼気の中に大量の喫煙物質が含まれていますので、喫煙から数十分間は妊婦や子供のいる屋内への立ち入りを避ける必要があります。
パートナーが喫煙している場合は赤ちゃんに影響があることを伝え、妊娠期間中だけでもタバコをやめてもらいましょう。
電子タバコは電気で液体を加熱して発生させた水蒸気を吸い込んで味わい、タバコを吸っているような気分になれるというもので、タバコの代替品として禁煙の補助などに使用されることが多いです。
しかし、ニコチンが含まれているものもあり、その他タールなどの有害物質についても通常のタバコよりも量は少ないもののゼロではありません。
そのため、胎児への影響を考えて、通常のタバコと同様に妊娠中の利用は避けるべきです。
原則として、妊娠したらできるだけ早く喫煙をやめるべきです。
以下におすすめの禁煙法を紹介するので、禁煙に取り組む際の参考にしてみてください。
灰皿やライターなど、煙草関連のものを捨てましょう。
また、喫煙可能な場所やコンビニなどの煙草を買えるお店にはできるだけ行かないようにしましょう。
喫煙欲求に対処するには、タバコ以外のことを考えること、気分転換をすることがおすすめです。
タバコを吸いたいと思ったら、散歩をしたり、ガムをかんだりアメをなめたりなど、煙草の代わりになるものをつくりましょう。
ヘビースモーカーの場合は禁煙外来を利用するのもひとつの手です。
病院で処方される禁煙の薬を飲んだほうが煙草をやめやすい傾向があります。特に妊娠中は服用可能な薬が限られるので、必ず医師に処方してもらった薬を服用してください。
妊娠中の喫煙は、妊婦さんにも腹の赤ちゃんにも悪い影響を及ぼす行為です。
喫煙していた場合は、妊娠がわかった時点からできるだけ早く禁煙に取り組みましょう。
また、パートナーが喫煙している場合は、出産までは禁煙するように協力してもらいましょう。