腹膜炎の症状の特徴とは?どんな変化に注意すればいい?

2017/5/16 記事改定日: 2019/11/29
記事改定回数:1回

前田 裕斗 先生

記事監修医師

前田 裕斗 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

お腹の痛みのなかには、腹膜炎のようにガマンしてはいけないお腹の痛みもあるんです。
今回は、死のおそれもある腹痛の原因、腹膜炎についてご紹介します。
いざというときのためにも、特徴を覚えておきましょう。

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腹膜炎は何が原因で発症するの?

腹膜炎は、お腹の内側を覆う組織の薄い層(腹膜)が炎症を起こした状態のことです。

腹膜炎は、細菌や真菌の感染がきっかけで発症します。
腹膜自体の感染症によって発症することもあれば、以下のように「別の部分」への感染や損傷によって発症するものもあります。

胃潰瘍で胃に穴が開く
急性虫垂炎(いわゆる盲腸)
虫垂の炎症がひどくなると腸の壁が破れて腹膜炎を発症することがある
クローン病
消化管に穴があき、腹膜炎を発症することがある
憩室炎
大腸(とくに結腸に多い)に憩室という多数の袋ができ、そこに感染して発症する

腹膜内に直接感染が起こることは一般的ではないものの、以下のような原因で感染が起こります。

肝硬変
慢性肝炎が続いて肝臓が線維化する。貯留した腹水によって腹膜炎が起こる
腹膜透析
腎不全患者への治療法。お腹の中に流す腹膜透析液を介して感染する

腹膜炎の症状は?病院へ行ったほうがいいのはどんなとき?

腹膜炎は放置すると死に至ることもある恐ろしい病気です。早急な治療が必要ですが、症状があっても単なる腹痛と考えて受診が遅れることも少なくありません

腹膜炎では次のような特徴的な症状が現れます。
胃腸炎などによる腹痛とは異なりますので、思い当たる項目がある場合はできるだけ早く病院を受診するようにしましょう。

  • お腹全体が強く痛む
  • お腹全体が板のように固くなり、押すと反射的にさらに固くなる
  • 高熱が出る
  • 歩いたり飛んだりしてお腹に刺激が加わると痛みが強くなる
  • お腹を押して離したときに痛みが強まる
  • 便やガスが出ない

腹膜炎は、どうやって治療するの?

腹膜炎は、合併症を防ぐためにも、速やかな診断・治療が求められ、通常は検査や治療のために入院することになります。

原因となっている感染症は、その原因に応じて、抗生物質または抗真菌薬の注射で治療されます。場合によっては、感染の根底にある原因を治療するために手術が必要な場合があります。

合併症

腹膜炎が悪化すると、次のような合併症を引き起こす危険があります。中には命に係わるケースもありますので注意が必要です。

  • 敗血症
  • 腹水
  • 膿瘍(膿の塊がお腹の中にできる)
  • 腸閉塞
  • 腸管壊死

おわりに:腹痛のなかには、命に関わるものもある。思い当たる症状があるときは病院へ

腹膜炎を発症すると、ひどいときには命を落とすこともあります。
腹膜炎は、急性であれば激しい痛みに襲われますが、慢性化した場合はそこまでひどい腹痛にならないことも少なくありません。併発した症状を確認して腹膜炎のような症状があるときは、早めに病院を受診しましょう。

※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。

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