記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/5/22 記事改定日: 2018/2/19
記事改定回数:1回
記事監修医師
前田 裕斗 先生
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
トイレが近くなる、トイレに行っても残尿感があってスッキリしない・・・など、膀胱炎になると不快な症状が出てきます。膀胱炎は、膀胱に細菌が入ったために発症してしまいます。いったいどうして膀胱に細菌が入ってしまうのでしょうか。この記事では、膀胱炎の原因とともに、膀胱炎になりやすい人の特徴や膀胱炎の予防法についてご紹介します。
膀胱炎とは、尿道、膀胱、尿管、腎臓を含む尿路部分に細菌(ほとんどの場合大腸菌が原因ですが、黄色ブドウ球菌やプロテウス菌、クレブシエラ菌、腸球菌などが原因となることもあります)が入り込むことで起こる感染症であり、尿路感染症(UTI)に含まれます。尿路に細菌が入り込むきっかけになるものとして、以下のようなものがあります。
ほとんどの場合、細菌が尿道などに入り込んでも尿と一緒に洗い流されるため、膀胱に細菌が入ったからといって必ず膀胱炎を発症するわけではありません。しかし、睡眠不足やストレスなどで疲れがたまっていると、免疫力が下がって細菌の増殖を食い止めることができなくなるため、膀胱炎を発症してしまうのです。
膀胱炎は、何らかの原因で膀胱内で細菌が増殖して炎症を起こす病気です。膀胱炎を発症すると、トイレに行く回数が増えたり(頻尿)、排尿中に膀胱や尿道に焼けるような痛みを感じたり(排尿痛)、用を足したあともスッキリしないと感じたり(残尿感)します。
また、尿が白っぽく濁るのも膀胱炎の症状のひとつです。膀胱内で増殖した細菌と戦うために集まった白血球や、炎症を起こした膀胱の粘膜がはがれたりすると、尿が白く濁ります。尿に膿のようなものが混ざったり、細菌が膀胱の粘膜を傷つけたために血尿が出たりすることもあります。
膀胱炎は誰もが発症する可能性がある病気ですが、女性は身体の構造上、特に発症しやすいと言われています。それは、女性の尿道の入口は肛門や腟と近い位置にあることや、尿道が男性と比べて短いため、細菌が膀胱に侵入しやすい構造になっているためです。
女性の中でも、特に膀胱炎を発症しやすいのが、妊娠中の女性と閉経後の女性です。
妊娠中の女性の場合、妊娠中はお腹の赤ちゃんが膀胱を圧迫するため、膀胱を完全に空にすることが難しくなります。そのため、膀胱内で細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎を発症する可能性が高くなります。
また、閉経後の女性も、膀胱炎を発症しやすいと言われています。女性ホルモンであるエストロゲンには、膀胱や尿路の機能を正常に保つ働きがあります。閉経するとホルモンの分泌が少なくなるため、膀胱炎が発症しやすくなるのです。
男性が膀胱炎を発症する原因は、尿路結石や前立腺肥大などが原因で膀胱を完全に空にできないことが考えられます。男性の場合、背後に膀胱や前立腺、直腸などになんらかの病気が隠れている可能性があるため、詳しい検査が必要です。
糖尿病の人は免疫力が低下しているため、膀胱で細菌が繁殖しやすく、膀胱炎を発症する可能性が高くなります。
膀胱炎の発症を予防するために、日常生活でどのようなことに気をつければよいでしょうか。
長時間膀胱に尿をためすぎてしまうと、膀胱の機能が低下して細菌感染しやすくなります。尿意をもよおしたら、ガマンしないでできるだけ早くトイレに行きましょう。
水分をたくさん飲んで尿量を増やすと、細菌が体の外に出やすくなります。
後ろから前へ拭いてしまうと、肛門に付いていた細菌が尿道に入ってしまうリスクがたっかうなります。排尿後は、必ず前から後ろへ拭くようにしましょう。
性行為の後はふたりともすぐに排尿して、性行為中に尿道に侵入した可能性のある細菌を排出しましょう。
栄養不足にならないよう、バランスの取れた食事を心がけることが大切です。また、睡眠時間を確保したり、疲れたときはしっかり休んだり、ストレスをためこまないようにするなど、自分の体調管理にも気を配りましょう。
腰まわりが冷えると膀胱炎を発症しやすいので、カイロやブランケットなどで腰まわりを温めたり、温かい飲み物を飲んだりして、体を冷やさないようにしましょう。
膀胱炎は細菌感染が原因で発症しますが、日ごろから尿道に細菌を侵入させないよう心がければ発症を抑えることができます。女性の中でも、特に妊娠中の女性や閉経を迎えた女性は膀胱炎を発症しやすいと言われています。膀胱内で細菌が増殖しないよう、日ごろから食事や睡眠などに気をつけましょう。