熱中症になると体にどんな影響があるの?

2017/6/15 記事改定日: 2019/5/8
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

暑い日が増えると、熱中症のリスクも上がります。毎年ニュースなどのメディアで紹介されているので注意している人も多いと思いますが、そもそも熱中症は体にどのような影響をおよぼすのでしょうか。
熱中症の基礎知識としてきちんと覚えておきましょう。

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熱中症になると体にどのような影響があるの?

熱中症とは、人の体温が安全値を超えたときに起きる症状全般を意味します。
熱中症になると様々な症状が現れますが、主に下記の3つの段階に分けられます。

熱痙攣

熱中症の最初のサインです。暑い中激しい運動を始めたばかりの人や、運動中の水分補給が不足している人などに見られます。
熱痙攣は以下のような症状が特徴です。

  • 痛みを伴う筋肉の痙攣(脚、腕、腹部、背中など)
  • 多量の発汗
  • 全身の脱力感
  • めまい

熱疲労

熱痙攣の段階で適切な治療をしないと、次は熱疲労の段階へ移行します。
熱疲労は以下のような症状が特徴です。

  • 吐き気
  • めまい
  • 喉の渇き
  • 瞳孔が普段よりも大きくなる
  • 大量の発汗
  • 肌が赤く(または青白く)なり、冷たく湿っぽくなる

熱射病

熱中症のうち、最も深刻な形態が熱射病です(日射病ともいわれます)。ショック症状や脳へのダメージ、最悪の場合は死を引き起こす恐れもあります。
熱射病は以下のような症状が特徴です。

  • 発熱
  • 肌の赤み
  • 瞳孔の縮小
  • 呼吸が速く浅くなる
  • 鼓動が速く弱くなる
  • 汗をかかなくなる
  • 衰弱
  • 気絶

熱中症はどうやって対処するの?

熱中症の段階ごとの治療法を以下でご紹介していきます。

熱痙攣や熱疲労

熱中症が深刻化する前に、熱痙攣や熱疲労の段階でしっかり治療や対策を行うことが大切です。熱痙攣や熱疲労の症状が現れたら、すぐに暑い場所から離れ、500mlの水に小さじ1杯の塩を入れたものを1~2時間にわたって飲み続けてください。

熱射病

熱射病は、熱中症の中で最も危険な段階です。熱射病の疑いがある場合は、すぐに病院を受診し、治療を受けてください。病院では、患者の体温をできるだけ速く安全に下げるさまざまな冷却治療法があります。症状によっては、薬が投与される可能性もあります。また、熱射病になった人は長い間体温が不安定になる可能性があるため、数日間にわたって医師のもとで経過観察が行われることがあります。

病院に行くまでの間、家でできる対処法には下記のものがあります。

  • 日陰や涼しい場所に患者を休ませ、足を高い位置に置かせる
  • 患者の衣服を脱がせる(あるいは緩める)
  • 電解質の飲み物か、500mlの水に小さじ1杯の塩を加えたものを飲ませ続ける
  • 濡れた布で患者を包み、扇風機を当てて体を冷却する
  • 冷湿布を貼る(首、わきの下、鼠頸部など)

熱中症で後遺症がのこることはある?

熱中症は重症化すると脳などの中枢神経系に重大なダメージを与え、高次脳機能障害や嚥下障害などの後遺症をのこすケースも報告されています。
後遺症をのこさないためにも、熱中症になった場合には早期発見・早期治療が大切です。

熱中症にならないよう注意することももちろん重要ですが、思い当たる身体の変化がある場合には無理せず上記のような対処を行い、症状が改善しない場合には病院を受診するようにしましょう。

おわりに:熱中症の初期症状を見逃さないように注意しよう!

どんなに健康な人でも、熱中症の初期症状を無視してしまうと重篤な症状に発展してしまう恐れがあります。できれば熱中症になる前から予防を徹底するのがベストですが、もし熱中症になってしまった場合は、初期段階から適切な治療を施すようにしてくださいね。

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