食事や運動でがん予防!?生活習慣とがんの関連性

2017/1/30

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

日本人の死因の多くを占める「がん」。
いまのところ、がんを予防する確実な方法はありませんが、一方で食事や生活習慣によるリスク軽減方法が研究されています。

「どんなものを食べるといいの?」
「どんな食事は危険なの?」
「どんな生活習慣にすればいい?」
などなど、現段階で明らかになっている情報をご紹介します!

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

食生活とがんの関連性

研究によると、食事と各がんの関連性は以下のとおりです(まだ可能性の段階であり、立証された情報ではありません)。

・魚、果物、野菜、豆、全粒粉などの地中海食:がん全般のリスク低下
・カルシウムとビタミンD:結腸直腸がんのリスク低下
・食物繊維が豊富な食品(全粒粉のパスタ、パン、シリアル、米、豆、果物、野菜など):腸がんのリスク低下
・野菜や果物など植物化学物質※を含む食品(ブロッコリー、カリフラワー、ニンジン、トマト、ニンニク、エンドウ豆、大豆、全粒、ナッツ、亜麻仁、グレープフルーツなど):肺・口腔・食道・胃・大腸がんのリスク低下

※植物化学物質…ベータカロテン、ビタミンC、葉酸、ビタミンE、イソフラボン、フラボノイド、フィトステロールなどのことです。ただし、ベータカロテンは肺がんのリスクを高めることがあります。

ハーブやサプリメントはがん予防に効果的って本当?

ハーブやサプリががんを予防・治療するという話を聞いて、つい飛びついてしまう人もいるかもしれません。ですが、これは実証されていない話なので注意が必要です。また、抗酸化物質サプリメントによくみられるベータカロテンは、喫煙者などの肺がんリスクを高めることもあります。
食事にハーブやサプリを追加する前に、必ず主治医に相談してください。食事を極端に変えると、新しい病気のリスクが出てくるかもしれません。

がん発症リスクが高いのはどんな食品?

がんリスクを高める可能性をもつ食品は以下のとおりです。
・赤身肉や、ハム、ベーコン、ソーセージ、サラミ、ボローニャなどの加工肉:結腸直腸がんのリスク増加(1日あたり70グラム程度が望ましいとされています。)
・飽和脂肪が多い食品:体重が増加することで、がん全般のリスク増加
・アルコール:口・喉・食道・肝臓・乳房・結腸直腸がんのリスク増加
男性の場合は1日2杯、女性の場合は1日1杯までにしてください(ビール(4.5%)350ml、ワイン(12.9%)140mlの場合) 。

がんのリスクを下げる理想的な生活習慣は?

以下の習慣は、がんのリスクを下げるのに効果的と考えられています。
・バランスの取れた食事
・健康的な体重維持
・体をよく動かす
・飲酒量を減らす
・禁煙
・日焼けから肌を守る

バランスの取れた食事でがん予防!

健康でバランスの取れた食生活を心がけると、がん発症のリスクを低下させることができます。以下のような食事を摂るようにしてみてください。
・1日あたり5単位分の果物や野菜
・パン、米、ジャガイモ、パスタなどのでんぷん質(食物繊維が多く含まれる全粒粉が理想)
・肉、魚、卵、豆などのタンパク質
・牛乳や乳製品

ケーキやポテトチップス、ビスケットなどの脂肪分や糖分が多い食べ物や飲み物は控えめにしましょう。

肥満とがんの関連性は?

肥満だと、以下のようながんのリスクが高まる可能性があります。
・大腸がん
・膵臓がん
・食道がん
・乳がん(閉経後の女性の場合)
・子宮がん
・腎臓がん

運動とがんの関連性は?

運動によって、腸や乳がん、子宮内膜がんのリスクを減らせることが証明されています。リスク減少の詳しい過程ははっきりとわかっていないものの、定期的な運動がホルモンのレベルを正常に保つといわれています。なお、ホルモンのレベルが高いと、がんのリスクが高まる可能性があります。
また、運動による体重維持も、がんのリスク軽減に効果的です。

飲酒量とがんの関連性は?

飲酒は、以下のようながんのリスクを高めると考えられています。
・口腔(こうくう)がん
・咽頭がん、喉頭がん
・食道がん
・男性の結腸直腸がん
・乳がん

禁煙とがんの関連性は?

禁煙すると、がんの発症リスクが大幅に軽減されます。禁煙が早ければ早いほどその効果は大きく、30歳で禁煙する人は非喫煙者と同じくらい長生きし、50歳で禁煙する人もリスクを半減させられると考えられています。

日焼けとがんの関連性は?

日焼けには皮膚がんのリスクがあります。以下のことに気をつけましょう。
・午前11時から午後3時までは日陰で過ごす
・絶対に日焼けしないようにする
・Tシャツ、帽子、サングラスで体を覆う
・子どもが日焼けしないよう気をつける
・SPF15以上の日焼け止めを使う

ほくろやそばかすにも注意してください。今までより大きくなったり、出血したりする場合は、がんの初期症状である可能性があります。

おわりに

「バランスの取れた食生活」「定期的な運動」「禁煙」といった基本的な健康法が、がん予防にもなるなんて一石二鳥ですね!スタンダードな内容ではありますが、今日から生活習慣の改善を心がけ、がんに負けないカラダ作りを始めてみてはいかがでしょう。

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