男性の性的興奮のメカニズムと性機能障害の原因とは?

2017/3/14 記事改定日: 2019/8/9
記事改定回数:3回

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

二宮 英樹 先生

記事監修医師

東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック

二宮 英樹 先生

男性も女性も性的に興奮しているときは、段階的に状態が変わっていきます。こうした男性の体の仕組みを知って、男性は自分の体のために、女性ならパートナーのために理解して、セックスに及ぶことで、今までよりもさらに親密さや満足度を高めることができます。この記事では、男性の性的興奮時のメカニズムについてみていきます。

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性的興奮とはどのような状態?

性的興奮とは、性行為へ向けて体が準備するための生理的な反応です。男女とも、体温の上昇や脈拍数の増加がみられる点で共通していますが、以下のような違いもあります。

男性

性的に興味を惹くものが目に入ったり感じたりすると、脳がそれを感知してNO(一酸化窒素)が体内で作られます。

NOは血管に作用して、cAMPの産生を促します。cAMPは血管の拡張を促す効果があるため、陰茎の血管がcAMPの作用によって拡張されて通常より多くの血液が流れ込み、海綿体組織が充血して陰茎全体の体積が大きくなります。このような現象を「勃起」と呼び、性行為に向けての準備を行うのです。

女性

男性と同じメカニズムで腟や外陰部の血流が増加すると、性行為に向けて腟分泌液が増加し、陰核の肥大などが生じます。女性には男性のように目に見えて分かりやすい性的興奮は現れませんが、体の中では受精に向けて確実な変化が生じています。

男性の性的興奮の勃起の4段階のメカニズム

男性が勃起するとき、体は4段階(興奮、安定、オーガズムと射精、収束)で性的反応を起こします

第1段階:興奮

男性は、身体的刺激や心理的刺激、またはその両方を受けることで勃起します。勃起は陰茎の海綿体というスポンジ状の組織に多くの血液が流れ込んで起こります。勃起すると、陰茎が固く、太くなり、陰嚢(睾丸が入っている袋状の部位)が体に向かって引き上げられます。

第2段階:安定

この段階では、亀頭(陰茎の頭)が大きくなります。睾丸と肛門の間のあたり(会陰)が温かくなっていくような感覚があります。これらの反応と同時に心拍数と血圧が上がります。呼吸も速くなり、太ももと臀部が締まり、オーガズムに近づいていきます。

第3段階:オーガズムと射精

男性がオーガズムに達すると、一連の収縮により、精液が尿道(尿と精液を体外に出すための管)に流れ込んでいきます。この収縮は骨盤の筋肉と精管(睾丸から陰茎に精子を運ぶ管)によって起こるものです。精嚢や前立腺も収縮し、両方とも精子に液体を加えます。精液は、精子、前立腺液、精嚢分泌液の混合物です。骨盤の筋肉と前立腺が収縮して、精液が陰茎から放出されます。これが射精です。

第4段階:収束

射精後は、陰茎が通常の大きさに戻る段階に入ります。男性の呼吸は深くて速く、心拍数も高く、汗をかいているかもしれません。 射精後しばらくは、再びオーガズムに達するのは不可能です。この時間は男性によって異なり、数分から数時間のインターバルが必要になります。一般的に、年齢が上がるとこの時間は長くなります。

性機能障害が原因で性的興奮が起こらなくなることも?改善策は?

男性の性機能障害とは、勃起が起こらなくなったり、勃起の硬さが不十分で腟内への挿入ができない、挿入しても途中で勃起が終了してしまうことなどによって、性行為を行えなくなる状態のことを指します。

このような性機能障害が生じる原因には、過度なストレス、喫煙、飲酒などの他にも薬の影響や糖尿病などの神経障害を引き起こす病気などが挙げられます。このような原因によって性機能障害が生じると、性的興奮自体が起こらないことがあり、特にストレスによるものでは治療が難しい場合も少なくありません。

解決のためにはパートナーとよく話し合い、緊張を引き起こさないような雰囲気づくりをして性行為を迎えるなどの対策が必要です。また、喫煙や飲酒などの生活習慣は、パートナーと協力しながら改善していくのがよいでしょう。

おわりに:男性が性的に興奮しないのは、深刻な原因があることも。パートナー同士話合い、専門家への相談も検討を

  • 男性の性的興奮は、4段階で起こる
  • 女性の興奮に比べると、男性の興奮は目に見えてわかりやすい
  • しかし、このことが原因で、男性の性機能不全が自分の責任ではないかとパートナーが不安になってしまうケースも多い

セックスがうまくいかないなどの「性機能不全」の原因はさまざまです。解決のためには男性の性的興奮の仕組みを理解することも大切ですが、まずはパートナー同士が話し合って原因を探してみることも大切です。必要に応じて専門家に相談しながら、お互いの絆を深めていきましょう。

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