食欲が抑えられない!ドカ食いと嘔吐を繰り返す過食嘔吐

2017/3/15

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

「どうしてこんなに食べてしまったのか?」
「食べても食べても満足できない」

過食症のコントロールできない食欲は、
“家のなかのありとあらゆる食べ物を食べ尽くした・・・”
“スーパーで値引き品を大量に買い込んで、全部食べてしまった・・・”
といった状況を生み出し、

そして、過食後、
「どうしてこんなに食べてしまったのか?」
「なぜ、自分は食べるのをやめることができないのか?」
と激しく自分を責め、うつ状態に陥り、そして、太ることへの嫌悪感から、自ら口に指を入れ、嘔吐を起こし、食べたことをリセットしようとします。

食べては吐き、食べては吐き、を繰り返す「過食嘔吐」。最初のうちは苦しくとも、慣れるとともにラクに吐けるようになり習慣化。
「後で吐けば大丈夫」という安心感から、さらに過食がエスカレートすることも。

しかし、胃酸で歯は蝕まれ、胃には炎症、月経不順や無月経、むくみ、唾液腺の腫れ、栄養状態が偏りによる貧血や冷え、肌荒れ、倦怠感、うつ、不安、焦燥etc...体は過食嘔吐で過剰な負荷がかかり、ボロボロになっていきます。

こんな事態へ陥らないよう、ここでは、過食嘔吐を引き起こす過食症について学んでいきます。

摂食障害であり、精神疾患でもある過食症

過食症は、摂食障害でもあり、精神疾患でもあります。食欲をコントロールできずに大量の食べ物を無制限に「食べてしまう」症状です。異常な食欲で、異常な量を食べるのが特徴です。過食症を患っている人は、食欲がコントロールできず、食事の量を無制限に食べます。そして、わざと嘔吐したり、下剤を使って食べ物を体の外に過度に出そうとして、自分の体重を管理しようとします。

さまざまな合併症に加え、過食症は、以下のようなことを精神面に引き起こします。
・激しい自己嫌悪
・卑下
・アルコールの過剰摂取
・うつ病
・自傷行為

「太りたくない」思いから、自分で嘔吐を起こす「過食嘔吐」、吐かずに過食のみを続ける2タイプがありますが、いずれも、自律神経を乱し、ホルモンの分泌異常を起こすことで、さまざまな合併症だけでなく、うつ状態を引き起こし、自殺に発展する場合もあります。

過食症の判断基準

過食症は、「食べすぎ」「大食い」ではありません。過食症は「食べすぎ」とは、明らかな境界線が存在します。以下に、一例を挙げます。
・大量の食べ物を一気に食べる
・無理に食べている感じがある
・食べるのをコントロールできない感覚がある
・体重が増えないよう嘔吐、下剤を使っている
・過食と絶食を繰り返す

過食症と浄化

摂食障害は、食べ物または理想の体型に対し、異常な考え方を抱いていることが関係しているといわれています。食習慣は、人によって異なり、たとえば、食物アレルギーの人々は、特定の食物を食べないようにする必要があります。
しかし、摂食障害に苦しむ人は、感情的苦痛に対処するために食習慣や食に対する考え方を変え、食べ物、カロリー、脂肪、太っていることに対して異常なほどの恐怖心を持っています。

この恐怖心から、過食症の人は自身の過食を嫌悪する傾向があります。制御できず食べ過ぎてしまう期間(過食)と、その後、わざと吐いたり下剤を使って食べたものを外に出そうとする期間(浄化)を繰り返します。食べたものを外に出そうとする理由は、過食によって体重が増えることを恐れ、食べ過ぎてしまったことに罪悪感を覚え、恥ずかしいと思うからです。このようなサイクルは、空腹やストレス、精神的な心配事によって引き起こされます。

危険な兆候

過食症の兆候には、食べ物や食べることに対する強迫観念、体重や体型を過度に気にすることなどが挙げられます。食後に頻繁にトイレに行き、戻ってきたときには顔が赤く、指の関節に傷(嘔吐タコ)ができている(嘔吐するために指を喉に突っ込むため)ような場合も過食症の疑いがあります。過食症は、過度の嘔吐、下剤の過度な使用で、栄養失調をはじめとする身体的な悪影響を及ぼし、精神面にもダメージをあたえます。

どのような人が過食症になるのですか?

ほかの摂食障害と同様、女性のほうが男性よりも過食症になりやすい傾向があります。しかし、近年では男性にも増えてきており、イギリスでは、推定160万人が何らかの摂食障害を抱え、そのうち25%が男性であると推測されています。
最近の研究では、約8%の女性が過食症になると考えられています。この症状はどの年代にも起こり得るものですが、16歳~40歳くらいで発症するケースが多ほとんどです(平均では、18歳か19歳のころにはじまる)。過食症は小さい子どももなることがありますが、極めてまれです。

過食症を治すためにするべきこと

過食症などの摂食障害がある場合、問題があるということを自覚することが重要です。そして、医師の診断を受け、どのような治療が必要か相談してください。
過食症と疑われる人がいる場合、よく話をして、医師に診てもらうように説得してください。回復への第一歩は、症状を認識すること、そして、回復したいと心から思うことです。自己啓発の本も、過食症の人に非常に効果があるということもわかってきました。友人や家族が協力してくれれば、なお効果的です。

おわりに:周囲のサポートが大切

なんらかの摂食障害を抱えていることがわかる程、痩せている場合が多い拒食症に対し、過食嘔吐を繰り返す人は、見た目では判別不能のケースがほとんどです。痩せている人のほうが多いとも言え、一見では気づきにくいのが特徴です。少しでもおかしいと感じたら、話を聞いてみてください。
過食症は、自分だけで対処するのは、とても難しい症状です。周囲のサポートが絶対的に必要です。

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