知っておくべき拒食症の危険性とは ~ 心当たりがあるなら注意!

2017/6/19

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

拒食症は深刻な精神状態に陥っている摂食障害で、体重をできる限り少ない状態に保とうとする障害です。拒食症は女性に多く見られる摂食障害ですが、近年は男性の患者も増えてきています。
では、拒食症になることで体にどのような危険性があるのでしょうか?この記事で詳しく見ていきましょう。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
冷凍宅配食の「ナッシュ」

拒食症の人の特徴

拒食症の人は、体重を減らすために、食べ物の量を制限したり、わざと嘔吐したり、過剰に運動したりします。
太ることへの恐怖心と、痩せたいという強い願望によって生まれる「体型や体重の心配」が増えれば増えるほど症状が進行します。

拒食症の人の多くは、自分自身に対して偏った評価をする傾向があり、実際は太っていなくても太っていると感じてしまうのです。
また、拒食症はうつ病、不安神経症、低い自己評価、アルコール乱用、自傷などの精神的な問題を引き起こすこともあります

それは拒食症のサインかも?!

拒食症の人は、体重を減らすためにしている行為を家族や友人に内緒にしたり、食事をしていないのにしたと嘘をついたり、食べたふりをすることがあります。
拒食症やその他の摂食障害の兆候には、具体的に以下のようなものがあります。

・食事を取らないことがある、少ししか食べない、脂肪の多い食べ物を避ける
・食事のカロリーを執拗に計算する
・食べたものを吐くために食事が終わるとすぐにトイレに行く
・食欲抑制剤、下剤、利尿剤(体内の水分を外へ出すための薬)を服用する
・何度も体重をはかったり鏡で自分の体型を確認する
・めまい、抜け毛、皮膚の乾燥のような身体的症状がある

拒食症によって起こりうるリスク

拒食症の治療が長引いてしまうと、それ以外の症状が現われる可能性が高くなります
たとえば、骨粗しょう症・不妊症・不整脈・その他の心臓に関わる病気・嘔吐時の胃酸によって歯のエナメル質が溶けて虫歯になりやすくなるといった症状などが挙げられます。

また、拒食症で亡くなる人(栄養失調や自殺によるものが多い)の数は、精神疾患で亡くなった人の中でも上位を占めています

治療法について

適切に体重を増やすための心理的療法と、食事や栄養に関するアドバイスの両方からアプローチする場合がほとんどです。
治療には一般診療医、精神科医、専門看護師、栄養士など、ヘルスケアの専門家たちが関わります。
拒食症の人のほとんどは、通院による治療を受けていますが、深刻な場合には病院や摂食障害の専門のクリニックに入院が必要なケースもあります。

治療の前にすべきこと

拒食症を治療をはじめるにあたっては、医師か摂食障害の専門家による身体的・精神的な評価が必要です。
これによって、より適切なケアを受けやすくなります。

サポートを受けることを恥ずかしいと思わずに・・・

拒食症の人は自覚がないことも多く、自ら助けを求めることは稀です。
それどころか、その状態を何年も隠していることもあります。
しかし、拒食症の回復の最も大きな一歩となるのは、回復したいと思うことと同時にサポートが必要であるという自覚を持つことなのです。

もしも「拒食症かもしれない」と思ったら、家族や親友など信頼できる人に相談したり、病院に付き添ってもらったり・・・なるべく早くサポートを受けると良いでしょう。
人からのサポートを受けることは恥ずかしいことではありません
「人の手を借りるなんて自己コントロールができていない・・・」などと、助けを求めることに対して自分を責めることのないようにしてください。

おわりに:拒食症の兆候に気づいたら早めのケアを

長引くとその他の症状を併発してしまう可能性もあり、最悪の場合は死に至る危険もある拒食症。
「ダイエットみたいなもの」「気持ちの問題」などと軽く考えず、兆しを感じたら信頼できる人に相談したり、医療機関の手を借りるなど、早い段階で治療を受けるようにしましょう。

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