記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/21 記事改定日: 2018/6/11
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
HIVの感染者の数は、今もなお拡大を続けています。その原因は不注意によるものが大半であり、早期に発見さえできれば治癒が可能であったと考えられるものでした。症状の悪化をもたらす前に、伝染を防ぐための手立てとして、HIV検査の重要性がますます認識されています。
HIVはヒト免疫不全ウイルスの略称です。HIVは免疫システムを攻撃し、感染症や病気と戦う体の抵抗を弱めます。
感染の段階に応じて
などの症状が現れます。
HIVは、精液、腟液、肛門液、血液、母乳などを通じて体内に侵入します。しかし、体外では長く生きることはできないため、HIVは汗や尿によって伝染することはありません。 HIV感染で最も多い原因が、コンドームを使用しないセックスです。まれではありますが、オーラルセックスや性的玩具を介して伝染する場合もあります。
感染の原因で特に多いのが、不特定多数、コンドームを使用しない性行為や注射器具の使いまわしです。また、出産、母乳などを通じて、HIV陽性の母親から妊娠中の子供に感染する場合もあります。
HIVを完治する方法はありませんが、発症を抑えることは可能であり、現在の医療であれば発症前に適切な治療が行われれば長く健康な生活を送ることができるといわれています。
そのため、できるだけ早くに検査を受け、HIVへの感染を発見できるかが大切になってきます。HIVの感染が気がかりになったら、できるだけ早く検査を受けてください。
病院での検査では、問診で感染の兆候がないかを確認した後、血液や唾液をサンプルにして検査を行います。詳細な血液検査の結果を得るまでに数日を要すこともありますが、数分で結果を知ることができる場合もあります。
インターネットでHIV検査キットを購入し、簡易的に調べることも可能です。ただし、個人輸入で購入したものに関しては精度が高くないものもあるので、専門機関で検査を受けることをおすすめします。
HIV検査は医療機関でも行うことができます。しかし、自治体や保健所が行う無料検査とは異なり、多くの場合は自費での検査となります。費用は5000円~10000円が相場です。しかし、手術を受ける予定があるなどは健康保険を適応して3割負担で検査を受けることも可能です。
また、自治体病院などで相談室を併設しているような医療機関では無料で検査を受けられるところもありますので、お住いの自治体などに問い合わせてみるとよいでしょう。
HIVは性行為での感染が最も多く、体液や血液を介して肝炎や梅毒・クラミジアといった性感染症を同時に感染していることがあります。
特に梅毒はHIV感染者の多くが同時感染を生じているとわれており、同時に検査することがすすめられています。
これらの感染症は、HIVの血液検査で同時に確認することができ、保健所や自治体の検査室ではHIVの検査と当時に無料で検査することが可能です。また、医療機関でも検査できますので、HIVの検査を受ける場合には同時にこれらの検査も受けるようにしましょう。
予約は各保健所や自治体によって方法が異なりますので、検査を受ける予定の機関に事前に問い合わせるようにしましょう。
HIVの検査は簡易的なスクリーニング検査とスクリーニング検査で陽性となった場合に行う確認検査があります。
スクリーニング検査は体の中にHIVに対する抗体がないかを調べる検査であり、抗体がある場合にはHIV感染が疑われます。
この検査は20~30分ほどで結果が判明しますが、100%正確な検査ではなく、稀に抗体がないにも関わらず検査では「抗体あり」と判断されてしまう擬陽性となることがあります。
このため、スクリーニング検査で陽性となった場合には、血液中にHIVが存在するかどうかを遺伝子検査する確認検査が行われます。確認検査には約一週間を要しますが擬陽性は出ずに確実な診断を行うことができます。
HIVは、感染してすぐに治療を開始すれば、進行を食い止め、症状を緩和させることが可能です。心配なときは恥ずかしがったりせず、積極的に検査を受診するようにしましょう。