学習障害の人の健康維持。難しい体重コントロールをサポート!

2017/6/23

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

学習障害は、読み書き能力や計算力など、特定の能力に関する特異的な発達障害のひとつ。
この学習障害に関して、例えば、自閉症の人やてんかん患者にその症状が見られることがある他、ダウン症の人は全員、ある種の学習障害をわずらっているそうです。
ここでは、このような学習障害と関連した健康状態の異変について解説します。

学習障害の原因


学習障害は、生まれる前、出生時、あるいは幼児期のいずれかの時期に脳の発達が阻害されたことが原因と考えられますが、原因がはっきりしないケースもあります。
脳の発達に悪影響を及ぼす要因としては、以下のものが挙げられます。
・妊娠中の母親の病気
・出生時のトラブルによって脳に十分な酸素が供給されなかった場合
・胎児が特定の遺伝子を発現した場合
・学習障害を引き起こしやすい特定の遺伝子を両親から受け継いだ場合(遺伝性学習障害)
・髄膜炎などの病気、または幼児期の傷害

子供が重度重複学習障害(PMLD)を持っていた場合


子供が複数の障害を持っていて、最も顕著なものが学習障害であった場合、重度重複学習障害(PMLD:profound multiple learning difficulties)と診断されます。
重度重複学習障害と診断された子供の多くは、知覚あるいは身体的障害、複雑な健康上の問題、あるいは精神的な問題を抱えているでしょう。PMLDを持つ人は、食事、洗濯、トイレへの移動など、日常生活のほとんどの場において1人以上の介助者を必要とします。

学習障害を持つ人の体重管理


学習障害を持つ人の中には、健康的な体重維持が困難な人がいます。
そして、食生活や栄養、調理、定期的な身体活動に関する情報やアドバイスを理解するための助けを必要としている場合があります。

学習障害慈善団体Mencapは、学習障害を持つ人は体重不足または過体重になる可能性が高いと述べています。
深刻な複数の学習障害を持つ人は、摂食不良や嚥下(えんげ)障害のために低体重であることが多く、他方で、健康的な食事や生活習慣の選択に必要なサポートを得ていないことで太りすぎになってしまう場合もあります。

また、学習障害は過体重や身長に影響を及ぼすダウン症候群、食欲不振の原因となるプラダー・ウィリー症候群などの他の病気と関連しているとされ、これらの病気は特に体重管理を困難にする可能性があります。

学習生涯の人を介護する場合は、健康的な体重を維持する方法を学ぶ必要があります。体重不足または過体重は、重大な健康上の問題のリスクを上昇させ、生活の質に影響を及ぼす可能性があります。

体重をチェックする

体格指数(BMI)は、身長に対して健康的な体重であるかどうかを判断する最も一般的な指標です。
しかし、学習障害のある人の体重をチェックするには、BMIを使用するだけでは十分でない場合があります。例えば、障害が、もしくは障害と関連のある他の病気が、その人の体重や身長に影響を与えているかもしれません。なるべく早く、かかりつけ医に相談してください。

おわりに:健康的な体重コントロールをサポートしましょう

多様な症状として現れる発達障害ですが、学習障害は読む、書く、計算するといった能力が極端に劣っている状態です。しかし、脳だけの問題ではなく、健康状態や体のさまざまな病気とも関連していることがわかっています。
その中で、健康のバロメーターでもある体重のコントロールに困難を抱えている学習障害の人は多く、彼らに対する理解を深め、サポートをしてあげられるようにしましょう。

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