肥満とオサラバ!癌と無縁の健康生活

2017/6/22

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

日本人の癌で亡くなる死亡者の割合は毎年3割近くを占め、脳卒中や心臓病を大きく上回っています。喫煙、運動不足、不摂生な食生活などは癌のリスク因子となるとともに、肥満の原因にもなります。すなわち肥満を解消することは、癌の発生リスクを抑制し、その他の疾病を未然に防ぐ健康への一番の近道なのです。

癌とは

人間の体は細胞が集まってできています。 細胞は増殖、分裂して最後に死滅しますが、一部の変異細胞は正常細胞よりも過剰に分裂し、集まって腫瘍を形成することがあります。 この腫瘍が悪性化したものが癌となって体内の組織を冒し、全身に転移していきます。

成人の主な癌は、 皮膚癌、肺癌、 大腸癌、 乳癌 、卵巣癌、前立腺癌、肝臓癌などがあります 。 多くの種類がありますが、全ての癌は細胞が変異して制御不能になることにより発生します。

少しの減量が大きな効果をもたらす

体重が少ししか落ちなくても、悲観的になる必要はありません。軽度の減量であっても、健康に良い影響があると考えられています。肥満は、癌、心臓病、糖尿病のほか、血圧・コレステロールの上昇を招く可能性があり、単なる美容の悩みだけにとどまりません。

減量計画を立てようとするときは、できもしないような無謀な目標をつくりがちです。しかし、大切なのは健康な生活習慣を続けることであり、計画どおりに実行ず目標の体重には届かなかったとしても、健康的な生活習慣を送っている限り、健康面のリスクは軽減しているということを忘れないようにしましょう。

減量=健康ではない

あまりに厳しすぎる減量計画は逆効果です。絶食や減量薬を服用するような無理な取り組みは、血圧や血管系にストレスをかけ、肥満以上に健康を害する可能性があります。また、極端にカロリーを制限すると精神的ストレスを強く感じ、ストレスホルモンであるコルチゾールレベルが上昇することが分かっています。その状態が長く続くと、食欲を抑えきれなくなって食べすぎてしまい、腹部脂肪が蓄積されて、ますます体重が増えてしまうのです。これをリバウンドといいます。

体重は目標の目安にすぎません。最終的な目標は、より健康的な体を手に入れ、すこやかな生活を送ることです。単純な数値の変化に一喜一憂しないようにしましょう。

おわりに:ライフスタイルを見直して癌を防ぎましょう

単純に体重を減らすという目標のもと、健康によい習慣を続けた場合、体重の変化がなくても、健康効果は得られている可能性があります。2003年3月に the Annals of Internal MedicineにCDCが発表した研究で、減量に取り組む人の寿命は平均よりも長くなることがわかりました。

食生活を改善し、飲酒、喫煙を控え、運動の量を増やしていけば、体質は確実に改善し、癌や心臓病、糖尿病などのリスクを減らすことができます。また、まったく体重を落とすことができなくても、健康的な生活を長期間続けることは体にとって大きなメリットになるはずです。癌と肥満の直接的な因果関係は明らかにはなっていませんが、健康的な生活を送ることが癌の予防に役立つことは明らかです。無理のないダイエット計画を立てて、じっくり着実に継続していきましょう。

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