老化のもと! 座りっぱなしがよくない理由
2017/3/17
座っている時間が中心のライフスタイルは、今日ではすでに一般的になっていて、家庭やオフィス等、あらゆる場所で浸透しています。
しかも、イスやソファなどに座ったまま、いろんなものがリモコンで操作できるようになってきました。そのためか、移動自体がもはや不要になってしまっています。
それでも身体にとっては、少しの運動でも必要で、動いたほうが歳をとるスピードがずっと遅めることにつながります。この記事では、座ることと老化の関係について解説していきます。
座る時間が長いと、早く年を取る
2016年1月、カリフォルニア大学の研究者がAmerican Journal of Epidemiology(アメリカン・ジャーナル ― 疫学編)にて、運動不足による老化プロセスの加速に関する調査研究を紹介しました。研究の対象となったのは64歳から95歳までの1500人の女性で、更年期後の女性にみられる慢性的病気の研究のためになされた大規模な研究です。
動かないと老化が8歳すすむ?
調査の対象となった女性らに7日間の間、毎日、動きを感知するセンサーを腰の右側に身につけ、動きをすべて記録しました。
その結果、1日10時間以上を座って過ごし、その間に動いたのが30分未満であった女性は、より多く動いた女性と比較して、体内の細胞がはるかに高い年齢を示すものとなっていました。より多く動いていた同年代のグループに比べ、座っていた女性らの細胞はおよそ8歳分も年を取っていたそうです。
その際、座っている時間そのものは、そこまで問題とはなりませんでした。というのも、女性らは1日のうちの長い時間を座って過ごしましたが、その間に最低30分以上、動いた場合には、それによって座って過ごした時間の分のデメリットを補完することができていたからです。
DNAにも影響が
細胞が老化すると、そのテロメア(染色体の一部)も短くなります。細胞分裂ごとにテロメアは除々に一部分を失っていき、すべてなくなったときに寿命がつきるわけです。
肥満や喫煙といったものは、テロメアの短縮を加速させる原因となります。しかし、テロメアの短縮化に伴って引き起こされるのは、老化のみではありません。同時に心臓血管系の疾患や糖尿病、ガンのリスクをも高めてしまいます。
1日の大半を座って過ごし、その間にほとんど運動をしなかった女性らは、短いテロメアをもっていました。座る時間が中心のライフスタイルは結果的に寿命を短くすることも意味します。
大人も子ども注意が必要
座りっぱなしは代謝を悪くします。これにより血糖値、血圧が上がり、体脂肪が増えてしまいます。成人は一日に座っている時間が7時間以上という人が多く、年齢があがるにつれて時間が増え、10時間以上になる場合もあります。
しかし、一日のうち座ってすごす時間をどれくらいまで制限したらよいのかという確かな証拠はまだありませんが、すべての年代の人に対してそれぞれ、長時間座っていることは良くないことが示されています。
子どもの場合
研究では、座りがちの生活は、子供にとっても、肥満や認知発達の低下に繋がってしまうといいます。
そのため、子供がテレビを見たりゲームをする時間は一日1~2時間に制限したほうがよいでしょう。最近の研究によると、一日に最低60分運動すれば、長時間座っていることの悪影響をリセットすることができるとされています。幼いころの人生経験や習慣は、成長して大人になってからの健康に影響するため、親が気をつけて声をかけてあげることがポイントです。
高齢者の場合
65歳以上の人の多くは、一日に10時間以上を座って過ごします。高齢者が活動的ではなくなってしまう原因には、もちろん筋力の低下や病気もありますが、高齢者はゆっくりと休んだほうがよいという社会的な風潮も関係しています。
ですが健康のためには、高齢者も座ってすごす時間を最低限にできるようにしたほうがよいとされています。
おわりに:座っている時間を見直してみましょう
運動不足が原因で病気になるリスクを減らすためには、一週間に最低でも150分間の運動を定期的に行うことと、座っている時間を減らす必要といわれています。高齢になればスポーツをするのも難しくなりますが、散歩に行くというだけでもだいぶ変わってきます。
ご自身だけでなく家で、座っている時間が長い人と思う家族がいたら、動くように家事などを手伝ってもらうのもいいかもしれません。