風邪と勘違いしないための結膜炎対策

2017/6/26

渡辺 先生

記事監修医師

東京都内大学病院眼科勤務医

渡辺 先生

ウイルスや細菌、化学物質が原因で、目の結膜が充血して炎症を起こすことを結膜炎といいます。子供の発症が多いのが特徴で、ほとんどは数日で完治しますが、感染が広がりやすいという特徴があります。正しい予防方法を理解し、感染を広げないためにこの記事を参考にしてください。

結膜炎の原因と症状

結膜炎は細菌やウイルスの感染、化学物質、点眼薬への反応として起こります。また、花粉、タバコなどのアレルギー反応として生じることもあり、目の充血以外に喉の痛みや鼻水、咳や痰など、風邪とよく似た症状が現れることもあります。命にかかわることはほとんどありませんが、感染性が極めて強く、子供が集まる学校などで急速に広まってしまうおそれがあります。

主な結膜炎

結膜炎は大きく3つに分類されます。

ウイルス性結膜炎

ウィルス性結膜炎は、最も伝染性が高いとされる結膜炎であり、アデノウイルスによるものがほとんどです。通常片方の眼に感染しますが、こすってしまうと反対側の目にも広がるため、両目にかかることもあります。目から膿や粘液が流れたり、涙の量が増えて水のような分泌物が出てきて、耳のまわりや顎骨の下のリンパ節が腫れることもあります。一般的ではありませんが、ヘルペスウイルスによって水痘、帯状疱疹、痛みを引き起こすことがあります。

アレルギー性結膜炎

アレルギー性結膜炎の症状は、両眼に涙、かゆみ、赤みが生じ、鼻のかゆみや鼻水が見られることもあります。また、コンタクトレンズの長期使用によって起こるとされる巨大乳頭結膜炎は、目への慢性的な異物に対するアレルギーが原因だとされています。

細菌性結膜炎

まれではありますが、性感染症に起因して、淋菌やクラミジアなどの細菌によって結膜炎を起きることがあります。感染することはほとんどありませんが、適切に処置をしないと失明のおそれがあるので危険です。また、出産時に体内にクラミジア、淋菌などを保菌していると、赤ちゃんに結膜炎を引き継いでしまうこともあるので、注意が必要です。

結膜炎を予防するには


結膜炎は、主に手指やタオルなどを介した接触感染によって広まっていきます。ウイルスが付着した手で目をこすると、大量にウイルスが入ってしまいますので、子供にはかゆくてもこすらないことを守らせ、入念な手洗いを徹底させましょう。結膜炎を発症している人が不用意に歩き回ると、多くの人が集まる学校や会社などでは一気に感染が広がるおそれもあります。登校や出社は控えるようにしてください。

おわりに:特効薬がないからこそ適切な処置を

結膜炎の治療は対症的な治療が主であり、明確な治療法が確立されていません。だからこそ、日ごろから手洗いを徹底し、衛生を保つことを心がけることが重要です。万が一感染してしまったときは、あまり出歩かないようにしましょう。
適切な処置がとられれば2週間程度で完治し、まず命に別状はありませんが、抵抗力の弱い子供の場合、脱水症状などに陥るおそれもあります。目のかゆみや鼻水程度と軽く考えず、症状を見守り、医師に相談する準備を整えてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

アレルギー(63) 風邪(101) 結膜炎(13) アデノウイルス(16)