記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/6/26 記事改定日: 2018/4/16
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
塩を多く摂りすぎると血圧が上がり、血液が正常よりも高い圧力で動脈を通過します。これがいわゆる高血圧とよばれる状態です。高血圧はそのままにしておくと心臓病や脳卒中など、様々な健康上の問題を引き起こす可能性があります。
この記事では、高血圧を防ぐための減塩のコツをご紹介していきます。
塩分を多く摂ることで高血圧になることは一般的に広く知られていますが、明確なメカニズムは解明されていません。
しかし、塩分を多く摂ると、体液の濃度が高くなるため、濃度を一定にしようと、体内に多くの水分を蓄えて濃くなった体液を薄めようとする作用が働きます。体液量が多くなると、その通り道である血管には通常時よりも多くの負担がかかり、高血圧を誘発すると考えられています。
高血圧の人が「1日6g未満」に塩分を控えるように言われるのはそういった理由があるからです。
脂肪を多く摂ると、糖尿病や脂質異常症になりやすく、動脈硬化の原因となります。動脈硬化は血管の弾力性を損ない、血管の内側の細胞が傷ついた状態となります。脂質異常症の人は、その血管の傷にコレステロールがたまりやすく、血管が細くなります。そのため、血流が悪くなり、より多くの血液を流すには高い血圧が必要になります。この結果、高血圧を発症することがあるのです。
また、高血圧自体も動脈硬化を悪化させ、更に脂質異常症によるコレステロールの蓄積などが生じ、高血圧を悪化させるというスパイラルに陥ることもあります。
塩分の主成分はナトリウムという物質です。
血液中のナトリウムは腎臓を流れたときに一旦ろ過され、尿が生成されます。
この過程で一旦ろ過されたナトリウムの多くは血液に再吸収されますので、尿として排出されるナトリウムはごく一部になってしまいます。
カリウムは、このナトリウムの再吸収を妨げる働きがあり、結果として尿中へのナトリウムの排出を増加させることから、カリウムは塩分を排出する効果があるといわれているのです。
一般的に、カリウムは一日あたり、男性では3000㎎以上、女性では2600㎎以上摂ることが推奨されています。
カリウムは野菜や果物、海藻などに多く含まれており、特にホウレンソウやキウイ、バナナ、ひじきに多く含まれていますので、塩分が気になる人はカリウムの多い食材を積極的に摂って塩分の排出を促しましょう。
成人が1日に摂るべき塩の目安は6g以下・小さじ1杯分で、子供の場合はさらに少なくなります。
これは日本人にとっては厳しい基準ですが、食品の選び方や調理のときの工夫で基準に近づけることができます。
以下のことに注意しましょう
ラベルで食塩量を確認する習慣をつけましょう。また、漬物はベーコンは塩分が多いので、購入を控えるか減塩製品を選ぶことをおすすめします。缶詰などを買うときも無塩のものを選ぶようにしましょう。
醤油や味噌など日本食の調味料は塩分が高い物が多いので注意しましょう。醤油や味噌に比べると少ないですが、ソースも比較的塩分が高めです。直接かけないようにすることをおすすめします。また、中華だしやブイヨン、コンソメなども塩分が高いので注意してください。マヨネーズやケチャップは塩分が少ないといわれていますが、量を多くかけてしまいがちな調味料です。減塩製品を選ぶようにして、かけすぎないようにしましょう。
ポテトチップスやクラッカーの代わりに、ニンジンやセロリのスティック、フレッシュな果物、無脂肪ヨーグルト、野菜スープなどをおやつとして食べるようにしましょう。
スナック菓子を買うときも、脂肪や砂糖の含有量を確認するようにしてください。
塩の代わりにコショウやニンニク、トウガラシなどのスパイスやハーブを使ったり、お酢やレモン、ライムなどで風味付けをすると塩味が少なくても旨みを感じやすいです。
また、お出汁をしっかりとって野菜や肉、魚などの食材の旨み引き出すことも大切です。
高血圧は乱れた生活習慣が原因で引き起こされることが多く、特に食生活は注意すべきです。ここでは、高血圧予防に役立つおすすめ減塩レシピを3つご紹介します。
もやしと春菊、人参などのお好みの具材はサッと茹でて柔らかくしておきます。そこに、出汁・ごま油・白ワインビネガーを加えて和え、いりごまをまぶせば完成です。
出汁を使うことで塩やしょう油で味付けしなくても満足のあるうまみをプラスすることが可能です。
塩分の多いラーメンも工夫次第で減塩することができます。特に野菜のうまみを上手く利用したメニューにするとカロリーもオフ出来てダイエットにもおすすめです。
適量のお湯の中にトマト缶、ごま油、みじん切りにしたニンニク、カレー粉、胡椒を投入してとろみが出るまで煮立たせます。ここにもやしや水菜などお好みの野菜を入れて適度な硬さに茹でたら、市販の中華麺を入れて煮込んで完成です。
食事制限をしつつもがっつりした食事を楽しみたいという人におすすめです。
作り方は簡単で、食パンにコンソメ出汁で薄めたケチャップを塗り、その上にミニトマトやパプリカ、ほうれん草などお好みの野菜を乗せてピザ用チーズを振りかけ、オーブントースターでチーズがとろけるまで焼けば完成です。
コンソメ出汁を使うことで余分な味付けを省くことができ、減塩しながらもがっつりしたメニューを楽しむことができます。
日本食は塩分が高い料理が多いため、高血圧の人は意識して減塩に取り組む必要があります。まずは日ごろ食べている食品の塩分量を把握し、なるべく塩分を控えた商品を選ぶようにしましょう。また、お出汁やスパイスを使ってなるべく塩味を抑えて調理をすることも大切です。
楽しみながら減塩を続けていくためにも、今回紹介した方法を試してくださいね。