記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
2017/6/27
記事監修医師
東京都内大学病院眼科勤務医
渡辺 先生
短時間の手術で視力を劇的に回復させる「レーシック」。
長年眼鏡やコンタクトレンズの装着を続けてきた人なら、一度は興味を持ったことがあるのではないでしょうか。
ただ、レーシックにはさまざまな合併症があり、その最も一般的な症状として「ドライアイ」があります。
レーシックを検討中の方は、ぜひ目を通してみてくださいね。
ドライアイとは、涙の量や質が不十分な状態を指します。通常、目は水分を保つことで正常に機能し、快適な状態に保つのですが、水分量が不十分であったり質が低下したりすると、目が傷ついたり、よく見えなくなったりします。
ドライアイの主な症状は以下のとおりです。
・目の乾燥、不快感
・目のかゆみ
・目の焼けるような痛み
・目が光に敏感になる
・視野がぼやける
レーシック手術を受けた人の多くが、手術直後にドライアイになる傾向があるとされ、まれに、レーシックが原因で慢性的な重度のドライアイを発症してしまう人もいます。ただ、レーシック後のドライアイは通常、時間の経過とともに改善していくものがほとんどです。
また、基本的には「レーシックそのものがドライアイを引き起こす」というわけではありません。レーシック後のドライアイを報告した人々の多くは、そもそも手術前からドライアイの傾向があったといわれています。
下記に該当する人は、レーシック後にドライアイになる可能性が高いとされているので、念頭に置いておきましょう。
・レーシックを受ける前からドライアイが見られた
・女性
・コンタクトレンズをつけている
・糖尿病患者
・レーシック前は極度の近視だった(またはレーシックによって視力が大幅に矯正された)
なぜレーシック後にドライアイになるのかについては明確にはわかっていませんが、考えられる原因として下記の3つがあります。
・手術による角膜の神経の損傷
レーシック手術によって、角膜の神経が損傷する可能性があります。手術では角膜の下の組織の一部を切除して角膜を再形成するのですが、この切除のときに涙を流すための神経が損傷を受けたり、角膜と涙腺との連携が崩れたりして、ドライアイが引き起こされる可能性があります。ただし、通常この損傷はしばらくすると回復します)。
・手術による炎症
・角膜の形の変化
レーシック手術により角膜の形が変化することで、眼瞼と目の表面との相互作用が変わり、瞬きや涙の生成に影響することがあります。これにより、ドライアイになる可能性があります。
ほとんどの場合、ドライアイはレーシック手術直後の1ヵ月間で最も顕著に現れます。ただ、基本的には6~12ヵ月後には症状は改善していきます。
軽度のドライアイであれば、医師への相談は次回の診察時でも問題ないでしょう。ただし、重度の痛みや視力の問題などが現れた場合は、すぐに病院を受診してください。人工涙液などドライアイの治療薬を処方してもらえます。
レーシックはドライアイの直接的な原因というわけではありませんが、元々ドライアイの傾向がある人は、レーシックをきっかけにドライアイが引き起こされる可能性が高いようです。基本的には術後半年~1年程度で緩和していく症状ですが、目の不快感が気になる場合は無理せず病院を受診してくださいね。