記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/2/13
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
骨減少症(こつげんしょうしょう)をご存知ですか。この症状は体内の骨量が少なくなっているものです。骨折といった自覚症状はないものの、そのままにしておくと骨粗しょう症を発症するリスクがあると言われています。ここでは骨量が減少してしまう原因と対処法についてご紹介します。
年を取ると、骨に含まれるカルシウムが失われ、骨の内部に小さな空洞ができ始めます。これは「骨量(骨密度)の減少」と呼ばれる症状です。骨量は35歳前後をピークに、少しずつ減少し始めます。
骨減少症とは、骨量が正常値より低いものの、骨粗しょう症とみなされるほど減少していない状態です。病気ではないものの、骨粗しょう症を発症するリスクが高くなります。
骨量の減少は自覚症状がないため、骨減少症には症状がないのが特徴です。骨粗しょう症と異なり、骨折したり壊れたりすることはあまりありません。
骨は新陳代謝を繰り返しています。先に古い骨が分解されて体内に再吸収された後、新しい骨が成長します。 若いときは、古い骨が分解された量と新しい骨が生成される量がほぼ同じくらいに保たれていますが、年齢を重ねるにつれてこのバランスが崩れ、古い骨の破壊のほうがスピードが速くなります。このため、骨が弱くなってしまうのです。
骨減少症のリスクを増加させるものとして、以下のようなものが挙げられます。該当するものが多ければ多いほど、骨減少症になるリスクが高まります。
・高齢化
・早期閉経(45歳未満)
・閉経前に卵巣を除去する手術を受けたことがある
・ほとんど体を動かさない
・喫煙している
・大量の飲酒
・摂食障害(神経性食欲不振症および過食症)
・甲状腺機能亢進症、過活動甲状腺または甲状腺機能低下症の治療で多くの薬を服用している
女性は、男性よりも骨減少症を発症する可能性が高いと言われています。女性はもともと骨量が少ないこと、閉経後にエストロゲンレベルが低下すると骨量減少のスピードが上がることなどが、その背景にあります。
骨量が低くなっている場合、二重エネルギーX線吸収測定法(DEXA)と呼ばれる骨密度検査を受けます。この検査では、腰、脊柱および手首の骨の密度を測定します。
治療はまず、生活習慣の変更から始めます。身体活動、特に体重を支える運動は、骨を強くするのに役立ちます。また、運動により筋肉を作ってバランスを改善することができ、骨折のリスクも軽減できます。体重を支える運動の一例として、ウォーキングやジョギング、ハイキングなどがあります。
また、食生活の改善として、カルシウムとビタミンDを多く摂るようにします。ヨーグルト、チーズおよびミルクのような無脂肪および低脂肪乳製品はお勧めのカルシウム源です。また、カルシウムは乳製品のほか、乾燥豆、紅鮭、ホウレンソウおよびブロッコリーに含まれています。オレンジジュース、パン、朝食用シリアルといった食品はカルシウムまたはビタミンD、あるいはその両方を強化することができます。食事からを摂るのが難しいときは、ビタミンDまたはカルシウムのサプリメントを飲むでもかまいません。
いかがでしたか?そろそろ骨の健康が心配になり始めているようでしたら、ビタミンDやカルシウムが豊富な食品を積極的に食べるとともに、日常の中で散歩やジョギングなどに取り組んでみてください。