妊娠初期に飲酒しても大丈夫? ― お酒が赤ちゃんに与える影響とは

2017/7/2 記事改定日: 2018/3/16
記事改定回数:1回

三上 貴浩 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 医学博士

三上 貴浩 先生

前田 裕斗 先生

記事監修医師

国立成育医療研究センター フェロー

前田 裕斗 先生

飲酒は友達とのコミュニケーションに欠かせなかったり、ストレスの発散に一役買ったりと、いろいろなメリットが言われています。でも、妊娠中もこうした理由で飲酒してもいいのでしょうか。この記事では、妊娠中の飲酒について解説したいと思います。

妊娠初期に飲酒しても大丈夫?

妊娠中に飲酒をすると、胎児に長期的な害をもたらすことがあります。このため、胎児へのリスクを最小限に抑えるために、妊娠初期はもちろん、妊娠中はアルコールを一切飲まないことが推奨されています。

飲酒をすると、アルコールが血液から胎盤を通じて胎児のもとに流れます。胎児の肝臓は最後に発育する臓器のひとつで、妊娠後期にならないと成熟しません。このため、胎盤からアルコールが流れてきても、胎児は分解することができないのです。

妊娠中、飲酒し続けるとどうなる?

妊娠中に飲酒し続けると、胎児の成長に深刻な影響をおよぼすおそれがあります。特に、妊娠3カ月以降も飲酒し続けると、流産、早産、低体重児のリスクが高くなります。

また、飲酒は出生後の赤ちゃんの成長にも影響を及ぼすことがあります。それは胎児性アルコール症候群(FAS)と呼ばれるもので、学習困難や落ち着きのなさなどがみられるようになります。

胎児アルコール症候群(FAS)とは

胎児アルコール症候群(FAS)とは、妊娠中の飲酒が原因で胎児に発症する症状で、身体的・精神的な影響を及ぼすものです。胎児アルコール症候群を発症すると、お腹の中での成長が遅くなって低体重・低身長の赤ちゃんが生まれることがあります。

また、無事に生まれることができても、外見の奇形(眼球が小さい、顔が平らである、鼻が低いなど)がみられたり、学習や記憶力、注意力、コミュニケーション能力などに遅れがみられたり、ADHDやうつ病といった精神科的な問題や、まっすぐ歩けないといった障害などが生じることもあります。

現在のところ、妊娠中に飲酒しても胎児に影響がないといえる量は分かっておらず、人によっては少ない飲酒量でも胎児アルコール症候群を発症する可能性があります。これは胎児のアルコール処理能力が低いことや、いったん羊水に排泄されたアルコールを胎児が飲むことで、再び胎児の体にアルコールが取り込まれてしまうことなどが原因と考えられています。

つまり、妊娠中に大量に、あるいは定期的に飲酒していると、胎児に重度の障害を与えるリスクが高まることが最近の研究から指摘されています。

妊娠に気づかずに飲んじゃった!赤ちゃんに影響する?

妊娠に気づく前(妊娠超初期)のとき、飲酒をしてしまった・・・ということもあると思います。この段階で気づかずにお酒を飲んでしまっても、胎児への影響は低いので心配することはありません。実際、妊娠に気づかないままお酒を飲んでしまった方でも、健康な赤ちゃんを産んでいるママはたくさんいます。ただ、もし、どうしても気になる場合は医師に相談してみてもよいでしょう。

実はお酒が大好き。妊娠中ガマンできるか心配・・・

ほとんどの妊婦さんは妊娠初期の段階で味覚が変わるので、お酒をまずく感じるようになります。そのため、妊娠期間中に禁酒することはそれほど難しくないと思います。

とはいえ、中にはどうしても飲みたくなって、アルコール度数が低いビールやカシスウーロンのようなカクテル、あるいはノンアルコール飲料だったら大丈夫かな・・・と思うかもしれません。

繰り返しになってしまうのですが、どのくらいのアルコール量なら胎児に影響が及ばないのか、まだはっきりとはわかっていません。つまり、どんなにアルコール度数が低くても、胎児にリスクが及ぶ可能性がある、ということです。

また、市販のノンアルコール飲料には、ごくわずか(1%未満)ではあるものの、アルコールを含んでいるものがあります。1%未満とはいえ、蓄積すれば胎児への影響はゼロとはい言い切れません。したがって、ノンアルコール飲料も控えたほうが無難です。

妊娠中は、タバコもNG!

妊娠中の飲酒はもちろん、タバコも禁止です。ずっとタバコを吸っている方はもちろん、すでに禁煙している方も、タバコを吸ったことがない人に比べて流産のリスクが高くなります。もし赤ちゃんを授かりたいと思っているなら、今すぐタバコもやめましょう。

おわりに:お酒以外のストレス解消法を見つけよう

出産経験のある人から、「たまの飲酒であれば大丈夫」と聞いたりすることがあるかもしれません。しかし、「妊娠中に摂取しても絶対に問題ないアルコールの量」はまだ確立していません。したがって、妊娠が判明した時点、あるいは近々妊娠したいと考えているなら飲酒は控えましょう。

妊娠中の不意のトラブルはもちろん、出産後の赤ちゃんにつらい思いをさせないためにも、妊娠中の間だけでもお酒から離れてください。もし、友達とのコミュニケーションやストレス解消に欠かせないというのなら、散歩や映画、コンサートなど、別のストレス解消法を見つけて快適な妊娠生活を過ごしてください。

関連記事

この記事に含まれるキーワード

妊娠(189) 禁酒(13) 胎児性アルコール症候群(2) FAS(1)