記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
2017/3/15 記事改定日: 2018/7/3
記事改定回数:1回
記事監修医師
産業医科大学第1外科
佐藤 典宏 先生
「喉に違和感があり、食べようとすると吐き気が出てしまう・・・」
「口のなかに食べ物を入れると吐き気で飲み込めず嘔吐してしまう・・・」
というような症状がある場合嚥下障害の可能性があります。嚥下障害は何が原因で起こるのでしょうか。
この記事では、嚥下障害の原因について解説しています。
嚥下(えんげ)障害は嚥下(食べ物・水分を飲み込むこと)が困難であることを意味します。嚥下障害を持つ人は、固形物を飲み込む際に痛みを感じ、液体、唾液ですらまったく飲み込むことができない人もいます。
嚥下障害の原因として、以下が挙げられます。
嚥下障害は高齢者や脳梗塞などの後遺症がある人で問題になるというイメージがある人も多いと思います。
しかし、若い世代でも深刻な嚥下障害が生じるケースもあるので注意が必要です。
高齢者の嚥下障害は脳や咽頭部などの器質的な病気によって引き起こされることがほとんどですが、若い世代の嚥下障害の多くは、摂食障害やうつ病、心気症などの精神的な疾患が原因となります。このような心因的な嚥下障害は、喉の詰まりを自覚するものの、実際に嚥下をすると嚥下機能には問題が見られないことが特徴です。
また、その他にも向精神薬などの薬剤が原因で嚥下機能が低下する場合もあります。
嚥下障害を抱えている場合、以下のような症状が出ます。
医師は、どのような食べ物で嚥下に障害が出るか、また、痛みはあるか、胸焼けが頻繁にあるかどうかなどを尋ねます。咳が出たり、吐血したかどうか聞くこともあります。
障害があると診断した場合、バリウム嚥下と呼ばれるX線による検査を行い、原因を調べます。内視鏡検査を行うこともあり、その際は、がんやその他の嚥下障害の原因を除外するため、少量の組織を採取します。鎮静剤によって喉は麻酔状態になるため、内視鏡挿入時に痛みを感じることはありません。
治療法は原因によって異なり、食習慣が原因である場合は、よく噛み、食べている間にもっと水を飲むなど、食べ方と飲み込み方を改善する方法が指導されます。
また、嚥下中に頭の角度と位置を変えるように勧められたり、舌や食道のような嚥下筋肉を強化するための方法も指導されます。
嚥下障害の原因を治療するために、薬の処方や他の治療法を処置することもあります。
嚥下障害が胸やけによって引き起こされる場合は、制酸剤またはプロトンポンプ阻害剤を服用します。腫瘍や他の何かが食道を塞いでいる場合には、手術が必要になることもあります。
喉に違和感・異物感がずっと残り、心配があるのであれば、ぜひ、医師の診断を受けてください。内視鏡などで喉の検査をしても何の異常も見つからないストレス疾患の場合もありますが、嚥下障害の場合もあります。
食事が楽しめないのは、やはりつらいものです。病院で検査して原因を突きとめ、はやめに対策ができるようにしましょう。