禁煙で得られる10の健康メリットと実際に禁煙するための方法

2017/3/16

山本 康博 先生

記事監修医師

東大医学部卒、独立行政法人国立病院機構東京医療センター

山本 康博 先生

タバコはやっぱり健康によくありませんよね? 禁煙することで私たち人生に一体どんなメリットがあるか? これを知ればヘビースモーカーの人も禁煙してみたくなるかもしれません。ここでは禁煙のメリットと実践方法を紹介ていきます。

禁煙で得られる10の健康メリット

禁煙することによって、身体や生活面にあらわれる10個のメリットがあります。

禁煙のメリット①:呼吸しやすくなる

禁煙すると9ヵ月以内に肺活量がMAX10%向上するため、呼吸しやすくなり、また、咳こむことも少なくなります。

20代と30代の人の場合は、普段からランニングしている人でもなければ、喫煙による肺活量への影響は気づかないかもしれませんが、肺活量は年齢とともに徐々に減少していくものです。

高齢者になったときに最大の肺活量を持っていると、散歩や階段の昇り降りが元気にできる健康的なお年寄りでいられるか、息切れしてしまう老人になるかという違いが生じます。

禁煙のメリット②:もっとエネルギッシュになる

禁煙をはじめてから2~12週間以内に血液の循環が改善されます。歩く、走るといった動きがいまよりずっと楽になります。

また、免疫システムの機能も高まり、風邪やインフルエンザにかかりにくくなるというメリットもあります。体内の酸素が増えると、疲労や頭痛も減らすことができてしまいます。

禁煙のメリット③:ストレスを感じにくくする

タバコを吸っているときは、体のニコチンが減ってくると、ストレスが強くなってイライラしてきますよね。

このようなニコチンの離脱症状のストレスが、ほかのストレスと同じように感じてしまったりして、正常なストレスとニコチンの離脱症状とを混同しやすくしてしまっています。

タバコを吸うと、ほかのストレスを和らげてくれるように思ってしまいがちですが、実はそうではないのです。

現に、人のストレスレベルは禁煙後に低下することが研究によってわかっています。

もしご自身がストレスを受けやすいとわかっている方は、喫煙でストレスをまぎらわせるよりも、別の健康的なストレス解消法にかえることで、もっといい
生活を送れるようになります。

禁煙のメリット④:セックスの改善

禁煙すると体の血流が改善され、感度が良くなります。 禁煙した男性は勃起しやすくなりますし、女性はオルガスムが改善するので、興奮しやすくなることもあります。
また、一部のアンケートでは、タバコを吸わない人には、たばこを吸う人の3倍ほど「将来のパートナーとして魅力的に思う」という結果が出た調査もあります。

禁煙のメリット⑤:生殖機能が改善する

タバコを吸わない人は妊娠しやすいことがわかっています。禁煙すると、女性は子宮内壁の状態がよくなりますし、男性は自分の精子をより強くできます。

禁煙する人が増えることは、体外受精(IVF; In Vitro Fertilization)で妊娠する可能性も高くなり、さらに流産する確立も減ります。最も重要なのは、健康な赤ちゃんを誕生させるチャンスが増えることです。

禁煙のメリット⑥:嗅覚や味覚が改善する

禁煙すると、嗅覚と味覚が改善します。口や鼻がタバコに含まれる何百もの有害化学物質で鈍感になっていた状態から回復するので、食べ物の味やにおいがいつもと違うように感じられるようになっていきます。

禁煙のメリット⑥:肌の老化が改善する

禁煙すると顔の老化やしわができるのを遅らせるということもわかっています。
タバコを吸わない人の皮膚は、酸素はもとより、多くの栄養素を含んでいるので、喫煙者にありがちな浅黒くてしわの多い肌も、禁煙すれば改善できてしまいます。

禁煙のメリット⑦:白い歯と、さわやかな息

タバコをやめると歯の色素沈着がなくなり、息がさわやかになります。また、かつてタバコを吸っていた人でも、いま吸っている人よりは、歯ぐきの病気になる確立や早期に歯を失う可能性が低くなります。

禁煙のメリット⑧:長生きできる

長年にわたってタバコを吸っていた人の半数は、心臓病や肺がん、慢性気管支炎といった喫煙に関連する疾患で、早くに亡くなってしまう人も多いでしょう。

30歳までに禁煙した男性は10年長生きし、60歳で禁煙する人は、自分の命を3年伸ばすことができるそうです。

言い換えれば、禁煙から得られるメリットに遅すぎるということはないということですね!禁煙は、寿命を延ばすだけでなく、病気のない、豊かでより幸せな老後をおくれる可能性を大幅に高めてくれるのです。

禁煙のメリット⑩:愛する人を守れる

禁煙すると、タバコを吸わない友人や家族の健康も守ることができます。

受動喫煙(間接喫煙)は、タバコを吸わない人の肺がんや心臓病、脳卒中のリスクを高めるものです。子どもの場合、肺炎や耳の感染症、息切れ、喘息といった胸の疾患にかかるリスクが2倍になってしまうのです。

また、タバコを吸う親を持つ子どもは、タバコを吸わない親の子どもと比べて、肺がんになるリスクが3倍にもなります。お子さんがいる喫煙者の人はよく考えてみましょう。

今すぐ禁煙しましょう

さっそく禁煙してみようと思いませんか?では、実践的でわかりやすく、しかも簡単な手順で、すぐに禁煙する方法を解説していきます。

かかりつけ医に相談する

お医者さんが禁煙の手助けをしてくれることに気づいてない人は、まだ実は結構います。禁煙外来でパッチやガムなどのニコチン補充療法、もしくは禁煙補助薬を処方してもらったりすることができます。

ニコチン含有製品の使用を検討する

たばこは中毒性があるため、自己管理だけでは完全にやめることは難しいという人も多いかもしれません。

ニコチン補充療法(NRT)を行うことで、禁煙の成功を高めましょう。処方箋で利用できます。

また、電子タバコも検討してみてください。電子タバコはリスクがないとは言い切れませんが、タバコよりもはるかに安全で、禁煙に役立つでしょう。

禁煙治療とは

禁煙したい場合、現在はさまざまな治療法がお店や薬局、処方箋などで利用できます。これらを上手に使って、タバコの中毒に打ち勝って離脱症状を軽くしながら禁煙できるようになりましょう。

その治療法の主なものは次のとおりです。

・ニコチン置換療法(NRT)
・バレニクリン(Champix)
・ブプロピオン(Zyban)
・電子タバコ

どの治療法が一番いいかは、好みや年齢、妊娠中か授乳中か、体調によって変わってきます。かかりつけ医に相談してみましょう。

研究によると、これらの方法はいずれも効果的であることがわかっています。

ニコチン置換療法(Nicotine Replacement Therapy;NRT)

タバコを吸う主な理由は、ニコチン中毒になっているためです。
NRTは、タバコに含まれるタールや一酸化炭素、その他の有毒化学物質がタバコの煙に含まれていない、低レベルのニコチンを処方する治療方法です。
これにより、禁煙中に起こり得る不快感やタバコが吸いたいという欲求が強まる、「ニコチン離脱」による影響を減らすのに役立ちます。
<入手方法と使用方法>
NRTは薬局や店舗で購入できます。医師の処方箋も利用できます。

次のように利用できます。

・皮膚パッチ
・チューインガム
・吸入器(見た目はプラスチックタバコのようなもの)
・錠剤、口の中で噛むタイプのもの、トローチ
・鼻スプレーや口腔スプレー

パッチはニコチンをゆっくり放出します。1日中貼る必要があるものや、夜は貼らないタイプのものもあります。

吸入器やガム、スプレーはすばやく効果を発揮するので、いち早くニコチン離脱症状をおさめたい時にはいいかもしれません。

どのタイプのNRTが効果的であるかはわかってはいませんが、1種類のNRTを使うより、何種類かのNRTを組み合わせて使った方が効果的であることは間違いありません。
その組合せでいちばんおすすめの方法は、パッチと即効性のあるもの(たとえばガムや吸入器、または鼻スプレーのようなもの)とを組み合わせることが多いです。

NRTの治療は通常8~12週間で、用量を徐々に減らして最終的に停止するまで続きます。

ほとんどの人はNRTを使うことができ、以下のような方も含みます。

・成人や12歳以上の子ども
18歳未満の子供は医師のアドバイスを受けずにロゼンジ(NRTの一種)を使用しないでください
・妊娠中の女性担当医は、禁煙に役立つならNRTを勧めると思います。
・授乳中の女性
担当医は安全な使い方をアドバイスできます。
NRTを使用する前に必ず使用上の注意を読んで、問題なく使えるどうかはきちんと確認してください。 たとえば腎臓や肝臓の問題がある場合や、最近心臓発作や脳卒中になったことがある場合には、医師の診察を受けてから使ってください。
NRTの副作用としては、以下のようなものがあります。
・パッチ使用時の皮膚への刺激
・鼻スプレーを使用した場合の鼻、喉または目の刺激
・入眠困難(不眠症)、たまに鮮やかな夢を見る
・胃の不快感
・めまい
・頭痛
いずれの副作用も、ほとんど軽いものです。ただしその副作用がひどい場合は、NRTの用量や種類を変更する必要があるため、かかりつけの医師にご相談ください。

バレニクリン(Champix)

バレニクリンは2つの作用を持つ医薬品です。 NRTと同様、ニコチンの離脱症状を軽減するだけでなく、喫煙によって得られる効果もブロックします。
研究によれば、禁煙するのに最も効果的な治療薬であることがわかっています。
バレニクリンは処方箋でのみ入手できるので、通常はかかりつけの医師に相談する必要があります。 1日に1~2錠服用し、禁煙を始める1、2週間前から服用をはじめます。 治療は通常約12週間続きますが、必要に応じてさらに長く使うこともあります。
バレニクリンは、ほとんどの人にとって安全なものとされていますが、お勧めできない人もいます。 たとえば、次のような方には適していません。

・18歳未満の子ども
・妊娠中または授乳中の女性
・重度の腎臓疾患の人々

また、バレニクリンの副作用には以下のようなものがあります。

・不快感
・入眠困難(不眠症)、たまに鮮やかな夢を見る
・口の渇き
・便秘または下痢
・頭痛
・眠気
・めまい

重い副作用がある場合は、かかりつけの医師にご相談ください。

ブプロピオン(Zyban)

ブプロピオンは、もともとうつ病の治療に使われていた薬なんですが、禁煙に効果があることもわかっています。 どのように作用するかははっきりしませんが、中毒性行動に関与する脳の部分に影響を与えると考えられています。

ブプロピオンは処方箋でしか入手できないため、かかりつけの医師に相談してください。

1日に1~2錠服用し、禁煙を始める1~2週間から服用し始めます。 治療は通常、約7~9週間続きます。

ブプロピオンは、ほとんどの人にとって安全ですが、お勧めできない人もいます。 たとえば、次のような人にはお勧めできません。

・18歳未満の子ども
・妊娠中または授乳中の女性
・てんかん、双極性障害または摂食障害を有する人

ブプロピオンの副作用には以下のものがあります。
・口の渇き
・入眠困難(不眠症)
・頭痛
・不快感
・便秘
・集中困難
・めまい

重い副作用がある場合は、かかりつけの医師にご相談ください。

電子タバコ

電子タバコ(IQOSなど)は、蒸気でニコチンを送る電子製品です。蒸気にタールや一酸化炭素を含まないため、喫煙による有害な影響がほとんどない状態でニコチンを吸収することができます。

研究によると、電子タバコは喫煙をあきらめるのに役立つため、これまでご紹介したどの医薬品よりもはるかに試してみる価値があります。

現在、処方箋で利用できる電子タバコはありません。しかし、医療上の許可を受けた電子タバコ製品が利用できるようになれば、かかりつけ医や禁煙サービスで処方できるようになります。

今のところ、電子タバコを使って禁煙したい場合は購入する必要があります。電子タバコの費用はさまざまですが、一般的にタバコと同じくらいの値段です。

おわりに:自分にあった禁煙方法にチャレンジしてみましょう

現在、禁煙するためのはたくさんの薬や補助具があります。自分にあった方法をみつけて、ぜひとも禁煙に挑戦してみましょう。

そして、禁煙をし始めたら、メリットがあることを忘れずにしましょう。

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