記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
たばこをめぐる環境の変化が著しい昨今、全年代において喫煙率が減少しているとはいえ、いまだ喫煙に走る未成年者は少なくありません。喫煙経験が早いほど習慣化しやすく、年を取るにつれて健康への影響が懸念されます。ただちに禁煙した方がいい理由と、禁煙に役立方法をあらためてみてきましょう。
心身ともに発達途上の未成年にとって、たばこに含まれる有害物質の影響は大人以上に大きなものです。喫煙は肺活量を減少させるので、疲れやすくなる原因となります。また、喫煙には血行も悪くする作用もあるため肌の美しさが損なわれ、しみやたるみが現れやすくなります。
ある調査では、15歳でタバコを吸い始めた人は、20歳代半ばで吸い始めた人より、がんで死亡する可能性が3倍高くなるという統計もあります。また、2016年「全国たばこ喫煙者率調査」によると、成人男性の1日当たりの平均喫煙本数は19.3本と、ほぼ1箱分に相当することから、未成年にとっては費用面から見ても、大きな負担となることがわかるのではないでしょうか。
そして、喫煙はがんや脳卒中などのリスクを高めます。こうした健康被害により医療費が高額になることは簡単に予想できるでしょう。
未成年者が喫煙をしてしまうきっかけには、単なる好奇心以外にも、不安やストレスといった「本人の心の状態」によるものも多数あります。思春期の子供は心が不安定になりやすいので、その世代の子供を持つ親は、たばこの害についてしっかりと説明をしてあげたり、子供の抱えている悩みときちんと向き合い話し合ってコミュニケーションをとることが大切です。
家族に喫煙者がいる家庭では、その子供の喫煙率が高くなる傾向にあるといわれています。また、友だちにすすめられ喫煙を断ることができずにたばこを吸いはじめてしまうケースも見られます。こうした場合も、間違ったことには毅然とした態度で接し、自身を見つめなおさせましょう。ただし、そのことでいじめなどに遭ってしまったとは、親や学校などに助けを求めるように促すようにしてあげましょう。
匂いなどで子供の喫煙に気づいたら、頭ごなしに叱るのではなく、その理由をまずはたずねてみましょう。学校や人間関係のストレスなどで自暴自棄になってしまい、ちょっとした弾みで喫煙をしてしまった可能性も考えられます。こうした場合には、家庭や周囲の環境が発端になっている場合が多々ありますので、日ごろからしっかりと親子のコミュニケーションがとれているかを見直してみましょう。
また、家庭内でほかに喫煙者がいるときは、これを機会に一緒に禁煙に取り組んではいかがでしょうか。一緒に禁煙に取り組むことで、子供の喫煙の抑止になるとともに、受動喫煙の対策にもつながります。未成年者の喫煙は、お酒はもとより、シンナーや危険ドラッグなど、より深刻な非行を助長させる要因のひとつです。親として模範を示しながら、常に子供の気持ちに寄り添い接してあげることをくれぐれも忘れないようにしましょう。