記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
仕事からしばらくの間離れていた、あるいは精神的、情緒的な問題のために長い間失業していたという人は、決して少なくはないでしょう。
長期間、職に就いていない人の多くはうつ、不安、双極性障害などの心の病が原因で仕事ができなかった人々であり、心の病にかかり、仕事をしていなかった人が復帰するときには、差別やいじめ、再び病気になってしまうことに対する不安が湧き上がってくることも多いと思います。
ここでは、心の病からの復帰について、ポジティブな面を見ていきましょう。
確かに、仕事はストレスの原因になることがありますが、近年の調査で、仕事はほとんどの人に対して以下のような”良い影響”を与えることが報告されています。
・仕事は健康に利益をもたらす
・仕事をしていないことは健康に害をもたらす
・無職であった時期の後の再就職は、健康の改善につながる
仕事をしていることの利益には、次のようなものも含まれます。
・存在証明と目的意識の増大
・新たな交友関係を築く機会
・経済状況及び資産状況の改善
・自分が社会の中で積極的な役割を担っているという感覚
病気の後に仕事に復帰することはたいていの場合前向きな経験となります。これは、双極性障害のような重度の心の病にかかっていた人にも、“日常の不安”のような、より一般的な問題に対面している人にも同じことが言えます。
仕事をするために病が100%回復している必要はなく、少なくともある程度回復していれば問題ないとされています。職場復帰には、復職することによる欠点にまさるほどの利益を得られる可能性あります。既に職に就いている状態で、あなたの戻る場所がまだ残っている場合は、職場に復帰することについて医師に相談してみましょう。
復職するために、雇用主や職業専門の健康アドバイザーとの面談を行うときには、医師の推奨があることを伝え、復職に関して懸念していることについて話し合ったり、仕事への復帰をよりやりやすくするための調整を頼むようにしましょう。
自身の状況によっては、以下のようなことを確認しておくことをおすすめします。
・時間の融通性:例えば、非常勤として復帰できるかどうかや、薬の効果で午前中眠気がある場合は午後の遅めの時間から働いてもかまわないかなど
・短期または長期の同僚によるサポートが得られるか
・状態が芳しくないときに休むことのできる場所はあるか
医師やお近くの職業案内センター、メンタルヘルス・ワーカーから、職場復帰についての助言をもらうことができます。
また、進行している心の病がある場合でも、職業案内センターで障害者雇用アドバイザーに相談可能です。心の病を抱えた人々が再び仕事に戻れるように、懸命にサポートしてくれるでしょう。
職場復帰を検討するときは、下記のことを自身で必ず確認するようにしましょう。
・どこで働きたいか
・どのような種類の仕事がしたいか
・どのようなタイプの支援が必要か
・自分の健康に関連して受け取っている補助金を含めた、自分の経済状況
専従職員だけが選択肢というわけではありません。パート職員やボランティアなど、職場復帰に適した選択肢はたくさんあります。
ボランティアは、仕事のある生活に戻るためのもっとも一般的な”リハビリ方法”です。助けを必要としている人々を手助けすることは自尊心によい影響をもたらし、自分の不安について考えることをやめるのに役立ちます。
さらに、ボランティアに携わることは、給料が支払われる仕事に就く機会につながることもあります。復職の準備ができたときに、自分がやってきた慈善活動についてアピールすることは、仕事を得るために役立つこともあるでしょう。
長い休職から復帰する際は、生活のリズムも変わっているため、どうしても腰が重くなりがちです。うまくやれるかどうか、不安のほうが先にたつこともあるでしょう。
しかし、復職は、あなたの人生にとって必ずポジティブな影響を与えてくれることが期待できます。できるところからでいいので、「エイヤ!」と、思い切って飛び込んでみましょう!