痛みを和らげる非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)

2017/2/16

佐藤 典宏 先生

記事監修医師

産業医科大学第1外科

佐藤 典宏 先生

非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)は、抗炎症作用をもつステロイド以外の薬剤の総称です。NSAIDsは、体内のプロスタグランジンの量を減らすことで炎症や発熱を減らして関節炎などの症状から痛みを和らげ、血液凝固を防ぐのに役立ちます。

NSAIDsにはどのような種類がありますか?

NSAIDsは、体内に痛みを感じさせるシクロオキシゲナーゼ酵素(COX-1酵素、COX-2酵素)を制御する効果があります。
伝統的なNSAIDsには、COX-1阻害薬とCOX-2阻害薬の2種類があります。

COX-1阻害薬

COX-1阻害薬には、以下の種類があります。医師はこの中から適切なNSAIDsを処方します。
・ジクロフェナクナトリウム
・エトドラク
・フェノプロフェンカルシウム
・フルルビプロフェン
・イブプロフェン
・インドメタシン
・メクロフェナメート(日本未承認)
・メフェナミン酸
・メロキシカム
・ナブメトン
・ナプロキセン
・オキサプロジン
・ピロキシカム
・スリンダク
・トルメチンナトリウム

COX-2阻害薬

COX-1を阻害するために発現する副作用を抑えるために開発されたCOX-2阻害薬にはセレコキシブという薬があります。

COX-1とCOX-2の主な違いは何ですか?

COX-1酵素は胃の内層を保護する作用がありますが、COX-2酵素はその作用はありません。

COX-1阻害薬は、両方の酵素の機能を停止させます。COX-1酵素が遮断されることで痛みや炎症は軽減されますが、胃の保護層も減少します。 その影響で、潰瘍や出血などの症状が出ることがあります。

一方COX-2阻害薬は、COX-2酵素のみの作用を停止するため、胃を刺激する危険性が低いと考えられます。

NSAIDsの副作用はどのようなものがありますか?

NSAIDsもまた、すべての薬と同様に副作用があります。副作用は基本的には重度ではなく、頻発することはまれです。
副作用には、以下の症状がみられます。
・めまい
・頭痛
・吐き気
・下痢
・過剰なガス
・便秘
・極度の衰弱、疲労
・口渇
COX-2阻害薬では上記の副作用に加え、以下のような症状がみられることがあります。
・腫れ、むくみ
・皮膚のかぶれ、かゆみ
・異常な打撲や出血
・睡眠障害(不眠症)

重篤な副作用

・アレルギー反応(呼吸困難、じんましん、唇・舌・顔の腫れ)
・筋肉のけいれん、しびれ
・体重の急増
・黒く血の混じった便
・血尿や血の混じった吐しゃ物
・聴力の低下や耳鳴り
・黄疸
・腹部けいれん
・胸やけ
・消化不良
重篤な副作用がみられたときは、できるだけ早く医師を受診してください。

NSAIDsを長く服用しても問題ありませんか?

NSAIDsは、高用量または長期間の服用によって胃や腸の中で重度の出血、心臓発作や脳卒中を発症する危険性が高まります。1週間以上の服用にあたっては、この危険性について医師に相談し、場合によってはほかの治療方法を探す必要があるかもしれません。

薬物相互作用とは何ですか?

同時に2つ以上の薬剤を使用すると、それぞれがうまく体内で処理できず作用しないまま副作用の危険性が高まることを「薬物相互作用」といいます(たとえばビタミンやハーブサプリメントが薬の効果にも影響を与えることがあります)。また、特定の飲食物が薬の副作用を悪化させる「食物相互作用」を起こすことがあります(たとえばCOX-1阻害薬の服用中にアルコールを飲むと肝疾患や胃出血の危険性が高くなります)。
薬物相互作用は危険性が大きく、服用している市販薬やほかの処方箋薬、ビタミン、ハーブサプリメントがあるときは、すべてを医師に報告してください。また、新しい薬やハーブサプリメントを使用するときは必ず医師に相談してください。

おわりに

意識障害を起こさず、ほかの感覚に影響を与えない用量で痛みを除去する鎮痛薬は、その名のとおり痛みを鎮める効果がありますが、副作用も多々みられます。医師の指示どおりに用法・用量を守って服用することが重要です。 またNSAIDs服用中に避けるべき飲食物がないか、医師に相談してください。

この記事に含まれるキーワード

非ステロイド性抗炎症薬(13) NSAIDs(26) COX-1阻害薬(1) COX-2阻害薬(1) 薬物相互作用(1)