記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2018/7/11 記事改定日: 2020/6/4
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
人間ドックや健康診断の血液検査の項目に「CRP」という数値があります。このCRPの数値が高いとどのような病気が疑われるのでしょうか。がんのときの数値の変化やCRPの基準値、異常値の場合の対処法などを紹介します。
CRP(C-リアクティブ・プロテイン)とは、炎症や感染症、がんなどの有無を調べるときに計測する数値です。細菌やウイルスに感染したときや、がんに伴い組織に障害が起きたとき、免疫反応障害に伴い炎症が起きたときなど、血液中に増える急性反応物質の一つです。
CRPは炎症などが生じると数時間ほどで増加し始め、半日ほどで数値が上がります。また一度数値が上がると、薬を使用した場合でも数値が下がるまでには24時間ほどかかります。
そのため、発症直後や治療をしてすぐに計測したCRP数値は指標になりません。
CPRは肝臓で産生されている血液中にあるタンパク質で、健康的な状態のときはごく少量しか存在しません。しかし、身体の中で何らかの炎症やダメージが生じると、肝臓での産生が一気に促されることで血液中のCRP値が高くなります。
炎症やダメージによって肝臓でのCRPの産生量がアップするメカニズムについては、まだまだ分かっていない部分もありますが、現在のところは炎症やダメージが生じることによって身体の中で産生されるサイトカインなどの物質が肝臓に何らかの働きかけをするためと考えられています。
CRPは、病原体の有無や炎症のレベルなどを確認するための指標にはなりますが、炎症や細胞組織破壊が起きている場所の特定まではできません。そのため、CRP値が高いからといってがんと特定することはできず、CRP以外の血液検査やその他の検査結果も一緒にみて、診断が下されます。
CRPの数値が基準値よりも高くなる要因には、下記のものがあります。
風邪や胃炎、虫歯、やけど、骨折が完治すると同時に、CRPの数値は下がります。CRP検査結果で基準値よりも高い数値が出たら、焦らずに現在の自分の体の状態を確認してみましょう。
通常、炎症や感染症などが原因となり数値が上昇している場合は、発熱や不快感などの自覚症状があります。自覚症状がない場合は詳しい検査を受ける必要があります。
また、ストレスや緊張などで数値に影響が出る可能性が指摘されていますので、できるだけリラックスした状態で検査を受けましょう。
人間ドックの検査結果でCRPの数値の上昇が見られた場合は、「最近の身体の状態」「風邪・胃腸炎・怪我などの有無」を確認することになります。
CRPは、炎症や細胞破壊により24時間以内に血液中で増加・上昇し、炎症が治まるにつれて元に戻るという特徴があります。つまり、人間ドックの直前に風邪や胃腸炎にかかっている場合は、CRPの数値が上昇することがあります。それらが原因の場合は、通常数日~数週間で元に戻ります。
肝臓や全身に炎症があって治療せず放置している場合、CRPの数値は元には戻りません。1~2週間後に再度血液検査を行い、数値の上昇が見られる場合は精密検査を受ける必要があります。
ただし、CRPの結果だけでは炎症が起きている臓器の特定はできません。他の炎症反応検査や「γ-GDP」「AST」「ALT」などの検査結果と照らし合わせて診断を行い、精密検査に進みます。
CRPは、病原体の有無や炎症のレベルなどを確認するための指標になります。ただし上昇しているからといって、がんなど治療が必要な病気であるとは限りません。検査結果で基準値よりも高い数値となり、1~2週間後にも数値の上昇がみられる場合は精密検査を受けるようにしましょう。