記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/11
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
喘息は、毎年2000人近くが命を落としているともいわれる、侮ることができない病気です。発作に対して適切な処置をとらないと、症状が重症化し、死亡してしまうおそれもあります。ここでは喘息の原因を取り上げながら、発作がおきてしまったときの対処法を紹介していきます。
気管支喘息(以下、喘息と言います)は、空気の通り道の奥の気管支が何らかの原因で炎症を起こし、空気の通り道が狭くなってしまった状態を言います。多くの場合何らかのアレルギー反応が原因のことが多いです。炎症を鎮めないでおくと、発作の起こりやすい状態が慢性化してしまいます。 慢性化すると、突然の咳き込みや呼吸をするたびにゼイゼイ、ヒューヒューといった音がする喘鳴、息苦しくなる、といった症状が起こります。
厚生労働省健康局がん・疾病対策課の報告によると、日本の喘息の患者数は450万人にわたり、子供の5%、成人の3%がかかっているとされています。文部科学省の学校保健健康統計を見ると、子供の喘息は小学校低学年から高学年にかけて喘息者が増え、比較的男子のほうが高い値を示していて、ほとんどの場合アレルギーが発作の原因となります。小児期に寛解した人の30%の人が大人になって再発をすることがあります。いっぽう、大人の喘息の60%以上は初めてかかった人で、その原因が明確にできないことが多いとされています。
アレルゲンとなるもの
・ペット
・ダニ
・ハウスダスト
・食べ物
・花粉
アレルゲン以外のもの
・感染症
・ストレス
・運動
・たばこ
・香水
・大気汚染
・環境の変化
必ずしも突然症状が出るとは限らず、数時間、数日をかけて徐々に次のような症状に気がつくことがあります。
・症状が悪化している(咳が出る、息切れがする、ゼイゼイする、胸部に圧迫感を感じるなど)
・息切れが激しいため、話したり、食べ物を食べたり、寝たりするのが困難である
・呼吸が速くなってきていて、呼吸を整えることができないように感じられる
・(持っている方のみ)最大呼気流量計(ピークフローメーター)の数値が通常より低い
もし喘息の発作が出ているのではないかと思ったら、以下のことをしましょう。
座ってゆっくりと安定した呼吸をするように心がけましょう。パニックになり呼吸が浅くなると症状が悪化してしまうので、落ち着いた状態を保つようにしましょう。
お持ちの方はサルタノールやメプチンなどといった気管支拡張薬を吸いましょう。20分ほど間隔を空けて何度か繰り返しても良いです。ただし動悸や吐き気などの副作用が現れることがあります。
喘息の症状を抑える気管支拡張薬を持ち合わせていなかった場合、または使っているのにもかかわらず症状が悪化しているように感じられる場合は無理せず誰かに頼んで病院に連れていってもらうか、救急車を呼びましょう。
生活環境でアレルゲンとなるものがないか見直してみましょう。喘息予防においては、こうした対策が重要視されています。日本人のアレルゲンでとくに多いのがイエダニです。ダニが生息に好む高温多湿やほこりがたまったような環境であれば、こまめに換気を行い、よく掃除をしてください(掃除の時は換気をよくして、掃除によってばらまかれたアレルゲンによる発作が出ないように気をつけましょう)。カーテンやぬいぐるみもよく洗いましょう。ペットの毛もアレルゲンとなりますので、カーペットなどにたまらないようにしてください。
また、のどを刺激するものも喘息の原因となります。屋外の人が多く集まるところに出かけるときは、マスクを着用して花粉や感染症にも気をつかうようにしましょう。当然ですが、たばこの煙ものどを刺激します。喫煙はもちろん、受動喫煙もリスクとなるので、たばこの煙は徹底して避けてください。その他、飲酒も発作を誘発させるおそれがあるので、注意しましょう。
緊急事態と思われるときは、迷わず助けを求めましょう。発作がおさまり、救急車を呼ぶ必要がなくなった場合でも、喘息の病勢が少し抑えきれていないということを示しますので、お早めにかかりつけの病院を受診することをお奨めします。また、発作が起きたときの対処方法は常に頭に入れておき、わからなくなったときのためにメモもしておくと良いでしょう。