下痢にまつわる正しい予防と処置のしかた

2017/8/1

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

ほとんどの下痢は、市販の薬を飲まなくても3日程度で回復するといわれています。心がけたいのは、下痢にならないようにすることです。そのための方法と下痢にかかってしまったときの正しいケアについて解説していきます。

冷凍宅配食の「ナッシュ」
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予防


下痢症状を引き起こす感染症は、手や食べ物を介して感染源が入ることが主な経路となります。石鹸と温水による手洗いとうがいは徹底しましょう。帰宅時はもちろん、おむつの交換後、料理のときなどは忘れずに行ってください。これを徹底することで、ほとんどの感染を防ぐことができるといわれています。

また、特に不衛生になりやすい夏の時期は食中毒に気をつけてください。海外旅行に行くときは、「旅行者下痢症」にならないように、水や露店の食べ物などに注意しましょう。

下痢にかかってしまったときの対策

飲み物

嘔吐をしているときは、特に脱水症状にならないように注意しましょう。回数を分けながらこまめに水分補給をしてください。ふつうの水よりも、塩分と糖分を含んだスポーツドリンクのほうがよいでしょう。

小さい子供の場合も同様ですが、フルーツジュースや発泡飲料は症状を悪化させてしまうことがあります。母乳やミルクが原因で下痢にかかってしまたときは、医師の指示に従って対応してください。脱水症状が悪化した場合は、すぐに医師に連絡しましょう。

食事

下痢にかかっているときの食事については、経過時期ごとの意見の分かれるものの、普段どおりの固形食で構わないとされています。ただし、脂肪の多いものや刺激の強い食べ物は避けてください。ごはん、ジャガイモ、バナナ、スープ、茹でた野菜などがおすすめです。食欲がないときは、無理して食べる必要はありませんが、水分は欠かさないようにしましょう。子供に脱水が見られる場合、十分に回復するまではおもゆなどを食べさせ、経過を見てから普段の食事に戻すようにしてください。

基本的に下痢治療に薬は必要ありません。下痢をやわらげたりするための下痢止めは使用しても良いですが、場合によっては原因の微生物が腸から出ていくのを遅らせるため症状を悪化させることがあります。発熱や頭痛を伴っているときは鎮痛剤を服用してもよいでしょう。ただし、便に血液がまじっていたり、高熱があるときは、薬は使用せずすぐに病院を受診してください。

おわりに:3日以上治らないときは病院へ

下痢によって脱水症状になってしまったり、3日以上下痢が治らないときは病院でくわしく調べてもらいましょう。まれに、食べ物に含まれているグルテンが原因のセリアック病などで下痢が起こっている場合があります。特に小さい子供の場合は、早めの受診を心がけてください。

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