肺炎球菌性肺炎とは―かぜと勘違いしやすい病気に注意しよう!

2017/7/11

山本 康博 先生

記事監修医師

東京大学医学部卒 呼吸器内科医

山本 康博 先生

肺炎球菌感染症は肺炎の種類のひとつで、高熱や寒気、体の痛みや頭痛、咳など、風邪と似た症状を発症します。風邪だと軽く考え放置してしまうと、重い合併症を起こす可能性が高いので注意が必要です。
いざというときに手遅れにならないように、この記事を参考にしながら、肺炎球菌感染症について詳しく理解しておきましょう。

肺炎球菌感染症とは?


肺炎球菌という細菌によって引き起こされる感染症です。肺炎球菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。
高齢者の約3~5%では、鼻や喉の奥に菌が常在しているとされています。これらの菌が何らかのきっかけで進展し、肺炎、髄膜炎、敗血症などの重い合併症を起こすことがあります。肺炎を起こす代表的な病原菌ですが、特に病原性が強く重症になることがあります。

肺炎球菌の起こす感染症としては肺炎、髄膜炎などがあります。本稿では肺炎球菌の起こす最も頻度の高い感染症である肺炎球菌性肺炎について解説します。

肺炎球菌性肺炎の診断


肺炎球菌性肺炎を診断するにはいくつかの方法があります。そして、検査は症状によって異なります。

身体検査

肺炎球菌性肺炎が疑われる場合、肺炎球菌は肺に炎症を起こす力が強いため、聴診をすると肺で雑音が聞こえることが多いです。

血液検査

肺炎球菌の感染が血液まで広がっていないかを確認するために、血液検査が行われることもあります。敗血症に至っていると血液中に肺炎球菌の存在が確認できます。

また、肺炎球菌に感染すると強い炎症により白血球数やCRP値が上昇します(ただし、CRP値の上昇は肺炎球菌だけが原因ではありません)。

胸部X線(レントゲン)検査

肺炎球菌性肺炎では多くの場合胸部X線検査で肺炎像が確認できます。

潜在的な肺炎球菌感染症を調査するために使われる他の画像検査として、以下のようなものがあります。

・コンピュータ断層撮影(CT)スキャン
・磁気共鳴画像(MRI)スキャン

血圧測定

敗血症に至っている場合は血圧が下がりショック状態にいたり致死的となることがあります。

腰椎穿刺(ようついせんし)検査

腰椎穿刺検査は、脳脊髄液(脳と脊髄を取り囲む液体)のサンプルを採取し、細菌の存在を確認するための検査です。サンプルのなかに、感染している白血球や細菌が含まれている場合、髄膜炎が疑われます。

肺炎球菌による細菌性髄膜炎は極めて重度の感染症であり厳重な管理が必要です。

尿中抗原検査

尿中抗原検査は、肺炎球菌感染症の診断に役立つ検査です。
尿サンプルを採取し、免疫クロマトグラフィー法を使い検査します。これにより、肺炎球菌の外殻を構成する特徴的なタンパク質分子を検出することができます。

肺炎球菌感染症の治療

自宅での治療

軽症であり、家で治療する場合は、通常、抗生物質を7日-10日間分処方され、十分な休息とたくさんの水分をとるように求められます。
体調が良くなったように思えても、処方された抗生物質は必ず最後まで服用しましょう。抗生物質をすべて服用しないと再発する可能性があります。

病院での治療

症状がひどい場合は、抗生物質を点滴します。脱水を防ぐために水分を補給したり、呼吸を助けるために酸素が与えられることもあります。

治療の結果次第では、数日後には点滴から抗菌薬の錠剤に切り替えることができます。

病院で治療するほとんどの人は、7-10日間ほど抗生物質を服用する必要があります。入院期間は、髄膜炎のような深刻な肺炎球菌感染症を発症するかどうかなど、感染者の健康状態によって決まります。

おわりに:予防が大切。アルコール、喫煙習慣も再考を!

肺炎球菌感染症を予防するためにも、規則正しい生活を過ごすように心がけ、うがい、手洗いなど衛生管理もふだんから徹底しましょう。なお、65歳以上の方はご自身がワクチン接種の適応であるか確認をしましょう。ワクチン接種によって重症の肺炎球菌感染症を予防できると報告されています(肺炎にならなくなるというわけではありません)。

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