記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/1 記事改定日: 2018/3/27
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
近年ではいたるところにマッサージ屋さんがあり、肩こりや腰痛でお悩みの方は、定期的に通ったりしているのではないでしょうか。今回の記事では、腰痛に効くとされるマッサージやセルフマッサージのやり方、そして腰痛を悪化させるリスクはあるのかなどについて解説します。
腰痛の治療には、オピオイドなどの薬物や外科手術が用いられることもありますが、副作用が懸念されるため、それほど一般的ではありません。また、重要なのは痛みをまったくなくすことよりも、痛みをコントロールしながら機能の改善をはかっていくことであり、そのための方法としてマッサージが推奨されています。
継続的にマッサージを受けることで、筋肉・靭帯まわりの軟部組織の癒着が徐々に解消されると考えられていて、50歳以上の中高年には特に有効とされています。また、リラックス作用をもたらすことから、偏頭痛や睡眠の改善も期待され、こちらも薬に頼らない生活を目指すうえで心強いことでしょう。
腰痛が起きている場合は、腰の大きな筋肉である「広背筋(こうはいきん)」、広背筋の下に位置し、腰を曲げる際に使う「外腹斜筋(がいふくしゃきん)」、お尻の「大臀筋(だいでんきん)」の3つの筋肉の凝りが原因であることが多いです。これらの筋肉をほぐすイメージで、下記のセルフマッサージを行ってみましょう。
1.うつ伏せになった状態で、腰に手を当て、親指を円を描くようにして回す
2.手の位置を少しずつ上へ移動し、同じように回す(手の届く範囲で)
3.右手で左の太ももを持ち、腰が少しひねられた状態のまま、左手で先述のように親指で円を描くように揉む
時代や地域によって、マッサージのスタイルにはさまざまなものがあります。具体的には、下記のようなマッサージがあります(ここで挙げるものは、いわゆる民間療法になります)。
ディープティッシュ・マッサージは、体の痛みを伴う「トラブルスポット」に働きかけるのに最適といわれています。筋肉、腱、肌の深い組織を目指して、ゆっくりと圧力をかけていく手法です。慢性的な緊張の緩和が期待できるため、ぎっくり腰などの筋肉傷害(急性期でないもの)の回復に役立つとされています。
ツボ(経穴)と呼ばれる特定のポイントに圧をかけていく、日本ではなじみの深い施術です。ツボを刺激することで体内の気の流れを整え、自然治癒力を高めることを目的としています。
タイ伝統のマッサージで、指圧のほか筋肉・関節をストレッチしていく方法です。リラクゼーションや美容法としても親しまれています。
主に足の裏にあるとされる反射区(リフレックスエリア)を刺激するマッサージです。反射区を刺激すると関連する部位(組織)に変化が起こるという考えに基づき施術が行われます。
マッサージをすると気持ちがいいですが、腰痛の原因によってはかえって悪化の誘因になる恐れがあります。マッサージで効果が得られるのは、筋肉のコリや関節の問題からくる腰痛で、神経や骨由来の痛みの場合は、マッサージが刺激となって痛みが悪化することがあるのです。
また、強い刺激でマッサージすればするほど、体は防御反射を起こし、筋肉はどんどん硬くなっていきます。そうしているうちに、さらに強い刺激でないと快感を感じなくなり、コリがさらに悪化することも考えられます。
マッサージ以外で腰痛を緩和するには、どんな方法があるでしょうか?
古来の中国医学の考えに基づき、専用の鍼を使って経穴を突き経絡を正します。米国国立衛生局やWHOにも認められ、日本では国家資格が必要な医療類似行為になります。
本来は古代インドの宗教行法でしたが、近代になって欧米での人気をきっかけにエクササイズやフィットネスとして定着しました。ヨガのポーズをとることで腰痛はもとよりストレスの緩和にも効果が期待できます。
嗜好品としてだけでなく、ハーブの薬効の鎮痛作用はよく知られています。例えば、ホワイトウィローの抽出物はアスピリンに似ており、デビルズクローも変形性関節症の治療に用いられ、これらを背中に塗って、脳に痛みの信号が到達するのをブロックする効果が期待できるといわれています。
マッサージなどの手技療法は、代替医療とも呼ばれるものであり、医学的な根拠が十分でないものもあります。リスクを避けるためにも、あくまでも医師による治療の補助として用いるようにしましょう。
腰痛の原因によっては自己判断でのマッサージは控えたほうがいいですが、腰痛の原因によっては、マッサージは腰痛だけでなく様々な不調の改善に役立つ可能性があります。医師と相談しながら、自分の状態に合った、安全な方法を選ぶようにしてください。