肺炎球菌感染症ってどんな病気!?子供や高齢者が注意すべき理由とは

2017/7/13

山本 康博 先生

記事監修医師

MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長
東京大学医学部卒 医学博士
日本呼吸器学会認定呼吸器専門医
日本内科学会認定総合内科専門医
人間ドック学会認定医
難病指定医
Member of American College of Physicians

山本 康博 先生

肺炎球菌感染症とは肺炎球菌による感染症のことです。特に乳幼児や65歳以上の人は免疫機能が低いことが多いため、肺炎球菌に対してうまく対抗できずに、感染症にかかりやすい傾向にあります。今回は、そんな肺炎球菌感染症について詳しく見ていきましょう。

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肺炎球菌とは

肺炎球菌には90種類以上の菌株があります。免疫系によって簡単に退治される菌株もありますが、中にはより深刻な感染を引き起こすものもあります。一般的に、肺炎球菌は風邪やインフルエンザよりもはるかに伝染率が低く、ほとんどの人は体内の免疫系が細菌を殺し、発症を防ぐことができます。一方で、子供の保育園、介護施設、ホームレスの避難所など、免疫機能が不十分な人が多い環境では肺炎球菌が流行しやすい傾向にあります

肺炎球菌感染症の症状は種類によって異なりますが、一般的な症状は次の通りです。
・38度以上の高温
・痛み

肺炎球菌の広がり方

肺炎球菌は鼻と口から人体に侵入し、風邪やインフルエンザと同じように広がります。以下に挙げるのが主な感染経路です。

直接的接触

肺炎球菌を保菌している人が咳やくしゃみをすると、細菌を含む微量の液体が空気中に放出されます。それを他の人が吸いこむことで感染します。

間接的接触

例えば、菌を触った手でドアノブに触れ、その菌がついたドアノブをほかの人が触ったあとに自分の鼻や口に触れることで感染する可能性があります。

感染を予防するには

特に感染のリスクが高いとされる人は、肺炎の重症化を防ぐために肺炎球菌ワクチンの接種が最もおすすめの方法です。

肺炎球菌ワクチンについて

肺炎球菌ワクチンには、以下の2種類のタイプがあります。副作用として、注射した部分に痛みや炎症が起こることがありますが、3日以上続くことはほとんどありません。

肺炎球菌結合 型ワクチン(PCV13)

小児期の予防接種の一環としてすべての子どもに与えられ、 8週間、16週間、1歳の3回に、別々の用量で投与されるやり方が一般的です。13種の肺炎球菌からワクチン接種者を保護してくれます。

肺炎球菌莢膜多糖ワクチン(PPV23)

65歳以上の人々および高リスクの人に与えられます。重症な肺炎球菌感染を予防でき、50~70%ほどの確率で有効とされています。

肺炎球菌の治療法について

肺炎球菌の感染症に対しては抗菌薬の投与が必要です。また、肺炎球菌は菌種によっては重症化して全身に菌が回ってしまう状態(侵襲性肺炎球菌感染症)になることがあり、早期の治療が大切です。

おわりに:身近な人や自分が肺炎球菌感染症になったら

いかがでしたか? 肺炎球菌の感染原因や予防法について知ると、免疫機能が未発達の小さな子供や免疫が低下している高齢者は、ワクチンによる感染前の予防と早めの治療が特に重要だということがおわかりいただけたかと思います。肺炎球菌感染の予防を行う際は上記で述べた項目などを参考にし、疑わしい症状が現れた場合は必ず病院を受診しましょう。

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