記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/8/10 記事改定日: 2019/7/31
記事改定回数:1回
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
肺癌は、喫煙者が最も注意するべき癌といえます。自分が肺癌なんてと思う方もいらっしゃるかもしれませんが、咳がひどい、声がかすれているといった症状の背後には肺癌が潜んでいることも十分考えられます。この記事では、肺癌を発症しているときにみられる症状の特徴をご紹介します。
肺癌(原発性肺癌)の約4分の1は、診断が下された時点では自覚症状がなく、健康診断などで胸部X線検査を行った際にたまたま見つかることが多いです。残りの4分の3の人には何らかの症状がみられます。それらの症状は、原発巣(肺のおおもとの腫瘍)による直接的な影響、転移した先に腫瘍がおよぼす影響、もしくは癌が全身に及ぼす影響に起因するものです。
具体的には、以下のような症状が現れます。
時間が経つにつれて咳の症状が悪化するといった症状がみられる場合は、早めに検査を受けてください。喀血(咳とともに血を吐くこと)や血痰がある場合は、量に関係なく、何かしらの呼吸器系疾患がある可能性が高いので、こちらも同様に検査を受けることをおすすめします。
肺癌患者のうち、4分の1は胸部の痛みを感じます。この痛みは持続性で、鈍く、うずく感じです。息切れは、腫瘍による肺の部分的な閉塞、胸水などに起因します。喘鳴もしくは嗄声は、癌に伴う気管支の閉塞を示唆していることがあります。なお、気管支炎や肺炎といった呼吸器感染症の再発を繰り返している場合は、肺癌を発症しているサインの可能性もあります。
肺癌の転移が頻繁に見られるのは、肝臓と骨、そして脳です。そのほか副腎転移なども存在します。
肝臓の転移性肺癌は黄疸を引き起こすことがあります。しかし、診断時に目立った症状がない場合もあります。
肺癌が骨に転移すると、転移した部位の痛みを多くの場合引き起こします。一般的には、脊椎、大腿骨などの長管骨が多いです。また、病的骨折と言って、特に負荷をかけていないのに骨折することがあります。
脳に転移した肺癌は、転移した部位によりますが、頭痛、視力の障害、手足の麻痺、失語(言葉が出ない)、痙攣といった症状を伴うことがあります。
前述のように、肺癌患者の約4分の1は、診断が下された時点では何の症状もなく、偶然発見もされることも多いです。上記で紹介した症状は他の疾患によって現れることもありますが、癌による症状の可能性も否定できません。喫煙歴が長いなど、リスクが高い方や、疑わしい症状がみられる場合は、早めに検査を受けるようにしましょう。