記事監修医師
前田 裕斗 先生
2017/7/26
記事監修医師
前田 裕斗 先生
喘息の発作を起こすととても苦しく、適切にケアできないと呼吸が止まりかねません。
そんな苦しい発作が起こらないようにするため、呼吸器科の医師の治療を受けることは当たり前ですが、代替治療といわれる民間療法を併用することで発作をコントロールしやすくなったという事例も報告されています。
この記事では、喘息の代替治療についてまとめました。
多くの人が、鍼治療からヨガなどの補完的な代替治療を試みています。
補完代替医療としての喘息の治療は、呼吸法から漢方薬まで様々です。残念なことに、臨床試験の結果がいまだに乏しいため、補完代替医療の安全性と有効性については、まだはっきりとわかっていません。
喘息のために、どの民間療法が効果がある可能性が高いか、参考にしてみましょう。
鍼治療では、体の特定の部分の皮膚に、非常に細い針を挿入します。
いくつかの研究では、喘息発作の症状は、鍼治療で改善する可能性があることが示唆されていますが、その有用性を十分に評価するには、より詳細な研究が必要な状態です。
鍼治療を検討している場合は、経験豊富なはり師や、できれば医師の資格をもっているはり師のもとで、治療を受けましょう。
ヨガなどの呼吸法は、深呼吸を動きの中に取り入れ呼吸を整えることが目的です。
喘息の原因となる、アレルギー反応を根本的に改善するとは考えられませんが、呼吸訓練により、症状が改善した例が、いくつかの研究で明らかになっています。
漢方薬は、アジアでは、肺の病気の治療法として、何千年も使用されてきました。いくつかの研究では、効果が示唆されていますが、より多くの研究が必要です。
中国語、インド、日本の伝統的な医学では、漢方薬をとりいれていることもあります。
特定の漢方薬をいくつか組み合わせて使用したほうが、1種類だけを取るよりも効果があるとされています。漢方薬の摂取については必ず医師に相談しましょう。また、漢方薬を試す前に、以下を考慮してください。
漢方薬の摂取内容は、しばしば標準化されておらず、質と効力が異なる場合があります。
漢方薬による副作用は、軽度から重度の範囲で、使用する漢方と服用量によって異なります。また、漢方薬には、高血圧を引き起こし、心臓発作や脳卒中の原因となる副作用の可能性があるため、特に注意が必要です。
特定の薬は、他の薬と相互に作用することがあります。
漢方薬を試すのがよくないというわけではなく、慎重になることが重要です。漢方薬を服用する前に、医師に相談し、服用しても問題ないかを確認しましょう。
ビタミンや、その他の不足栄養素の摂取が、喘息症状の緩和に効果があるかを判断するためには、より多くの研究が必要です。以下の栄養素は、症状の緩和に効果がある可能性があります。
重度の喘息の人には、果物や野菜に含まれる、気道の炎症に対して保護的な作用のある栄養素のレベルの低下が見られる傾向があります。
マグネシウム、ビタミンC、ビタミンEなどの抗酸化物質は、喘息に何らかの影響を与えることがありますが、より多くの研究が必要になります。
特定の魚に含まれるオメガ3を含む体によい脂肪酸は、喘息の症状につながる炎症を軽減させる可能性があります。
また、オメガ3脂肪酸には、他にも多くの健康効果がみられます。亜麻仁油やキャノーラ油などの植物由来のオメガ3類が、魚に見られるオメガ3類と同じ有益な効果を持つかどうかは明らかではありません。
重度の喘息を持つ人の中には、ビタミンD欠乏症の症状がある人がいます。ビタミンDが喘息症状を軽減するかどうかについては、今後も研究を続けていく必要があります。
マルチビタミンやサプリメントの錠剤は不足した栄養素の補給に役立ちます。しかし、日常の食事から栄養を摂取することの方がより理想的といえるでしょう。
冷水魚、ナッツ、グリーン、アマニのようなオメガ3脂肪酸が豊富な果物や野菜を積極的に食べるようにしましょう。
リラックス効果のあるものとして、マッサージ以外にも、瞑想、バイオフィードバック、催眠などがあります。これらが喘息に直接役立つかどうかは不明ですが、ストレスを軽減し、幸福感を促進する効果はあるでしょう。
定期的な運動習慣に加え、リラックスのための習慣を取り入れることは、人生において気分を向上させるために効果的です。
喘息はとても厄介な病気であり、自分に適したコントロール方法を見つけることが、日常生活をよりよく過ごしていくために重要になってきます。
喘息の補完代替医療の効果を立証するためには、更なる研究が必要です。
医師から指示された治療は絶対に止めないようにし、代替治療を試みる前に必ず医師に確認をとりましょう。