記事監修医師
東京大学医学部卒 医学博士
2017/7/19 記事改定日: 2019/12/19
記事改定回数:3回
記事監修医師
東大医学部卒、セレオ八王子メディカルクリニック
二宮 英樹 先生
膀胱炎は再発することも多く、女性を悩ませる代表的な病気のひとつです。もし発症してしまった場合、どうやって治せばいいのでしょうか。
この記事では、膀胱炎の治療やセルフケア、再発を防ぐための注意点について解説していきます。
膀胱炎(急性膀胱炎)は、主に大腸からの細菌が膀胱内に侵入し、増殖して膀胱で炎症を起こす細菌感染症です。排尿痛、頻尿、尿混濁、下腹部の不快感などの特徴的な症状が突発的に現われます。
一般的に女性の方が膀胱炎になりやすいとされていますが、これは男性に比べて尿道が短かく膀胱と肛門との距離も離れていないため、細菌が膀胱内に入りやすいからです。
気をつけなければいけないのは、膀胱炎のような症状は、前立腺肥大症、前立腺がん、膀胱結石、膀胱腫瘍、尿道の狭窄(きょうさく)、神経因性膀胱、膀胱異物など泌尿器科に関する病気が原因のことがあるということです。
次項でセルフケアを紹介していきますが、症状が改善しない場合や、膀胱炎を繰り返し発症している場合、妊娠中の女性は、できるだけ早く病院で診てもらいましょう。
軽度な膀胱炎は、膀胱内に増殖した細菌を尿と共に排出するよう促すため、水分を多く摂るなどの対策で自然に治ることもあります。
しかし、膀胱炎は再発しやすいのが特徴です。特に不適切なセルフケアを続けて正しい治療を受けないと膀胱の炎症が慢性化してしまうことも少なくありません。排尿痛、下腹部痛、尿の混濁などが見られるときは比較的進行した膀胱炎の可能性があります。放置せずにできるだけ早く病院を受診して適切な治療を受けるようにしましょう。
ほとんどの膀胱炎は、抗生物質を服用することで症状が改善します。ただ、抗生物質を服用して1~2日で症状が改善することも多く、そのような場合では「治った」と思って服用をやめてしまう人もいるでしょう。
膀胱炎は自然に改善することも多い感染症ではありますが、指示された期間より早くに薬の服用をやめてしまうと、膀胱に生き残っていた菌が再繁殖して膀胱炎が再発したり、抗生物質に耐性のある細菌(薬剤耐性菌)を増やしてしまう可能性があります。
薬剤耐性菌が増えると。抗生物質の効果が弱まってしまうだけでなく、細菌感染症の治療自体が難しくなってしまうおそれがあるのです。
膀胱炎の治療目的は、症状を和らげ、感染を縮小し、再発を防ぎ、腎臓損傷や敗血症などの深刻な合併症を予防することです。また、膀胱炎を何度も繰り返さないようにするためは、発症時に抗生物質で完治させることが大切になってきます。
医師が処方した抗生物質は、必ず指示通りにすべて飲むようにしましょう。
膀胱炎を予防・再発を防ぎたい場合、まずは水分をしっかり摂って排尿の回数を増やし、膀胱の細菌を排出するようにしましょう。
尿意を感じたらできるだけ早くトイレに行き、膀胱を空にするよう心掛けてください。また、女性は排泄後は前から後ろに向かってお尻を拭くようにしましょう。
排尿以外では
などの点に注意して過ごしましょう。
膀胱炎は一度なってしまうと再発しやすい病気のため、予防と再発防止が重要です。今回ご紹介したようなセルフケアを取り入れながら、膀胱炎を予防していきましょう。
ただし、膀胱炎以外の病気からきている症状の可能性や症状が治まっていても完全に治っていないこともあります。膀胱炎の症状が出たときが病院を受診し、適切な方法で治療を進めていきましょう。
※抗菌薬のうち、細菌や真菌などの生物から作られるものを「抗生物質」といいます。 抗菌薬には純粋に化学的に作られるものも含まれていますが、一般的には抗菌薬と抗生物質はほぼ同義として使用されることが多いため、この記事では抗生物質と表記を統一しています。