記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供の喘息は自然治癒する、という話を聞いたことはありませんか?今回は子供の成長とともに喘息が治るケースや、再発予防のポイントについてお伝えしていきます。
小児喘息の約70%は、中学生くらいまでに寛解するケースが多いです。一方、約3割の子供は本格的な気管支喘息に移行するとされています。
なぜ小児喘息の多くが軽快するのかは完全には解明されていませんが、発作の原因となるトリガーに触れても症状が出なくなることはあっても、喘息自体が完全になくなったとは限りません。特に、動物アレルギーのない子どもや症状が軽い子どもで、症状が一時的に消える傾向があるとされています。
一定期間、喘鳴(呼吸時に「ヒューヒュー」「ゼーゼー」といった音が聞こえる状態)や咳、息切れといった症状がみられない状態が続くと、寛解とみなされます。次のような場合、寛解に近づいている可能性があります。
・喘鳴、胸の圧迫感、咳、息切れなどが長期間出ていない
・薬を使わなくても運動ができる
・発作時に使う薬の使用頻度が減る
ただし、寛解したように見えても再発する可能性はあります。大人になってから再発する人もおり、その際には子供の頃とは異なるトリガーで症状が出る場合もあります。
思春期に症状が落ち着いた方のうち約半数は30〜40代で再発するという統計もあり、以下の特徴がある場合、将来的に長期的な喘息になる可能性が高いと考えられています。
・両親が喘息を持っている
・アトピー性皮膚炎がある
・花粉、カビ、ダニなど空気中のアレルゲンに反応しやすい・
・食物アレルギー(乳、卵、ピーナッツなど)がある
・風邪をひいていないのに喘鳴がある
喘息の自然経過(自然歴)を変えることはできませんが、症状をしっかりコントロールすることは可能です。子供の発作を予防するためには、発作を引き起こす原因(トリガー)を避けることが大切です。
一般的な喘息のトリガーとして、以下のようなものがあります。
・花粉
・ペット
・ダニ
・ハウスダスト
・タバコの煙
・急激な気温変化
・その他アレルゲン
喘息を完全に治すことは難しいものの、成長とともに症状がほとんど出なくなるケースは珍しくありません。ただし、寛解後も再発の可能性があるため、引き続き注意が必要です。かかりつけの耳鼻科・呼吸器科の医師と相談しながら、治療・管理を続けていくことが大切です。