記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
2017/7/27
記事監修医師
MYメディカルクリニック横浜みなとみらい 院長 東京大学医学部卒 医学博士日本呼吸器学会認定呼吸器専門医日本内科学会認定総合内科専門医人間ドック学会認定医難病指定医Member of American College of Physicians
山本 康博 先生
子供の咳、気になりますよね。特に、続いて抜けない咳、夜中に起きてしまうような咳の発作は、見ていてつらくなります。子供は、成長すると喘息の症状がなくなるのでしょうか? 吸入器や毎日の服薬がいらなくなるのでしょうか?この記事では、そんな疑問に答えるため、子供の喘息についてまとめました。
子供の喘息症状である喘鳴や息切れは、そもそも出なくなるものでしょうか。
ときどき、幼い子供の喘息症状が消えることがあります。こうした子供たちは喘息ではなく、肺の病気が原因ではなく一時的な症状として喘鳴が出ている可能性があります。喘鳴は喘息と同じように治療されますが、たいてい5、6歳までに自然治癒します。
それ以上の年齢の子供で喘鳴や息切れといった症状がある場合、喘息があるとみなされます。その子供たちは、常に喘息の症状が出ていることも多いですが、そのうちの半数は、青年期に症状が消えるといわれています。
「なぜこのようなことが起こるのかは明らかになっていません」と、アレルギー専門医は言っています。
ただし、かつて発作を引き起こしたトリガー(喘息症状を起こすきっかけになるもの)で喘息の症状が出なくても、子供の喘息がなくなったわけではありません。症状の中断がみられるのは、動物にアレルギーのない子供、軽症の喘息の子供に多いといわれています。
子供が長期にわたって、喘息の症状がみられないと寛解したとみなされます。
以下のような場合、子供は寛解に近づいている可能性があります。
・喘鳴、胸の圧迫感、咳、息切れといった症状がなくなってから長時間経っている
・薬がなくても運動ができる
・症状を治すための救急薬がほとんど必要でなくなる
しかし、喘息の症状が再発する可能性は常にあります。たまに大人になってから再発する人もいて、その場合、以前とは違うトリガーで喘息が発症した可能性も考えられるでしょう。思春期に症状が落ち着いている子供のうち、約半数が30代から40代で再発する可能性があることが研究で明らかになっています。
もし、次に挙げる症状が喘息を持つ人にみられる場合、長期にわたる喘息を発症している可能性が高くなります。
・両親も喘息である
・アトピー性皮膚炎がある
・空気中のアレルゲン(木、草、雑草などの花粉、カビ、イエダニ)に反応する
・食物アレルギー(牛乳、卵、ピーナッツ)がある
・風邪を引いていないのに喘鳴がある
・特定のタイプの白血球の数が多い
大人になって、喫煙や体重増加なども喘息の症状が再発する可能性を高めます。
喘息の自然経過(自然歴)を変えることはできませんが、喘息をしっかりとコントロールするすることはできます。
子供の喘息発作を予防するために、喘息を発症する原因物質から子供を遠ざけるようにして、症状の管理を手伝ってあげましょう。
一般的な喘息のトリガー(原因物質)として、以下のようなものがあります。
・花粉
・ペット
・イエダニ
・汚れ
・タバコの煙
・気温変化
・アレルギー
耳鼻科や呼吸器科の医師とともに作成した喘息行動計画(アクションプラン)のサポートと適切な治療薬があれば、日常生活を過ごすことができます。
喘息を完治させることは難しいですが、症状がほとんどでなくなることは頻繁にみられます。ただし、寛解した後も再発の危険性はあるので注意が必要です。耳鼻科や呼吸器科のかかりつけ医師と相談しながら、喘息行動計画に沿って治療していきましょう。